北欧、安保中立を転換 フィンランドがNATO加盟検討

北欧、安保中立を転換 フィンランドがNATO加盟検討
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『【ブリュッセル=竹内康雄】軍事的な中立を掲げてきたフィンランドやスウェーデンが安全保障政策を転換する議論を始めた。北大西洋条約機構(NATO)加盟などを検討し、6月のNATO首脳会議までに結論を出すとみられる。ロシアと北欧との緊張が高まるのは確実だ。

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フィンランド政府は13日、ウクライナ侵攻を受けた安全保障環境の変化を分析した報告書を議会に提出した。ニーニスト大統領は声明で「フィンランドの方向性を明確に定めねばならない」と表明した。議会での審議を経て加盟の方針が決まれば、5月にも加盟を申請する方針だ。

ロシアは反発する。ロイター通信によると、ロシア前大統領で安全保障会議のメドベージェフ副議長は14日、フィンランドなどがNATOに加盟すればロシアは防衛力を強化しなければならないと警告した。「バルト海の非核化は協議できなくなる」とけん制した。

フィンランドはロシアと約1300キロメートルの国境を接する。第2次世界大戦で旧ソ連の侵攻を受け、戦後は旧ソ連への刺激を避ける意味もあり中立政策をとった。旧ソ連崩壊後は欧州連合(EU)に加盟したが、NATOとは協力しつつも非加盟を保ってきた。

「欧州の安保環境はロシアのウクライナ侵攻で根本的に変わった」。フィンランドのマリン首相は13日、スウェーデンのアンデション首相との共同記者会見で強調した。

スウェーデンでも伝統的にNATO加盟に反対の立場だった与党・社会民主労働党は11日、加盟を含む安全保障の強化に向けた議論を始めた。3月下旬の世論調査では6割弱が加盟を支持した。

NATOの根幹は集団安全保障を定めた条約5条だ。一つの加盟国に対する攻撃をNATO全体への攻撃とみなし、加盟国は攻撃された国の防衛義務を負う。加盟すればNATOに守られる一方で「他国への責任を持つことになる」(アンデション氏)。

NATOは6月末にマドリードで首脳会議を開く。NATOのストルテンベルグ事務総長はかねて両国が加盟申請をすれば「歓迎されるだろう」と話している。

北欧諸国はロシアと距離が近く、とりわけロシアとつながるバルト海は軍事的重要度が高い。NATOにとって、すべての北欧諸国が加盟国になれば防衛しやすくなる。ただ加盟が認められるにはロシアと近いハンガリーを含めた加盟全30カ国の同意が必要になる。』