イラン核合意復活に立ち塞がる3つの難問

イラン核合意復活に立ち塞がる3つの難問
岡崎研究所
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/26316

『イラン核合意の復活を巡る交渉につき、3月23日、イランのアブドラヒアン外相は「今日、我々はかつてない程合意に近付いている」と述べたが、交渉は最終局面にあるとされ、政治的決断が求められる段階に至っていると報じられ始めてから5、6週間を経過するというのに未だ合意に至らない。

テヘラン筋によれば、20ページの文書(制裁、核に関するコミットメント、復活した核合意の実施の手順と検証に関する付属文書を含む)が用意されているらしいが、合意に至る前に処理を要する障害がある。
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 第一に、対ロシア制裁がロシアのイランとの貿易、投資、軍事協力を阻害しないことの保証をロシアが米国に要求したという一件があった。

しかし、イランは制裁解除を得るために核合意の復活を実現することに決しており、ロシアの妨害を嫌った様子である。イランの不興を買うことは面白くないと判断したのかロシアはこの要求を取り下げた。

 第二は、かねてのイランの要求であるが、米国が再び核合意を離脱しないことの保証である。

この件について、2月21日、イラン外務省の報道官は、米国が離脱しないとの政治的保証を提供し得ないのであれば、イランは「本来的な保証」を受け入れるであろうと述べ、その意味は、米国が再び離脱し制裁を課すことがあれば、イランは迅速に核合意違反を始めるということだと示唆した。

 「本来的な保証」という概念を問題視する向きもあるが、米国が再び離脱した場合にもイランが前回のように相当の期間核合意を順守し続けるとは誰しも予想しないであろう。そうであれば、そしてイランが国内対策として何らかの文章を必要とするのであれば、工夫出来ないことはないであろう。

 第三は、革命防衛隊に対する外国テロ組織の指定の解除を求めるイランの要求である。
イランは、この指定が、仮に核合意が復活し米国の制裁が解除されても外国企業のイランへの投資を阻害することになるとしているのであろう。

 というのは、革命防衛隊はイラン経済のそこここの枢要な部分に支配的な地位を有しているためである。逆に、

イスラエルは指定が革命防衛隊の暴虐な性格を世間に認知させ、資金流入を阻止する効用を持つことを重視しているであろう。米国は結論に至っていないが、核合意復活の交渉の枠外で双方が了解を遂げること、あるいはイランから何等かの見返りの約束を取り付けることなど、打開の道を探っているようである。』

『湾岸諸国やイスラエルが持つ懸念

 核合意の復活には湾岸諸国やイスラエルの懸念が強い。

フィナンシャル・タイムズ紙のデビッド・ガードナーは、3月23日付け同紙掲載の論説‘Iran’s enemies in the Middle East are closing ranks’において、イランの脅威に対してイスラエルを含む地域の諸国が共同戦線を組む兆候が見えることを指摘している。

しかし、イランが核兵器の取得にこれ以上接近することを止める賢明な策が彼等にある訳ではなく、要は米国の決断次第という段階にあるように思われる。

 3月26~30日に中東を訪問したブリンケン国務長官は、彼等の説得に努めた。

他方、最近、イエメンの武装組織ホーシー派がサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)に対する攻撃を拡大しているが(イランと調整された攻撃なのかどうかは不明)、3月25日にもジッダ、ラアス・タンヌーラ、ラービグのアラムコの施設などに対しミサイルとドローンによる相当規模の攻撃を行った。

米国はイランの脅威に対するイスラエルや湾岸の安全に重大な関心を有することを具体的に示すことが必要になっている。

 ブリンケンは「より長期でより強固な」合意を求めると語っていたが、そうはなりそうにない。

しかし、時間稼ぎのためであっても、核合意を復活させることには、ロシアとの対立が緊迫し、中国とも緊張関係にある状況下では十分な合理性があると言うべきであろう。

もし、核合意が復活することになるのであれば、議会に対しても、バイデン政権はこの合理性を説くことになるのではないかと思われる。』