北朝鮮向け原油輸出半減へ 米、安保理に追加制裁決議案

北朝鮮向け原油輸出半減へ 米、安保理に追加制裁決議案
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『【ニューヨーク=白岩ひおな】米国が国連安全保障理事会の理事国に配布した北朝鮮に対する追加制裁決議案の内容が13日、明らかになった。弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮への原油輸出の上限を年間200万バレルに半減させることが柱だ。たばこの輸出禁止や、北朝鮮系のハッカー集団「Lazarus Group(ラザルスグループ)」の資産凍結が含まれる。近く安保理で採択を目指すが、中国やロシアの同意が得られるかは不透明だ。

日本経済新聞が13日確認した米国の決議案では、北朝鮮への年間の原油輸出上限を現行の400万バレルから200万バレル、石油精製品の輸出上限を50万バレルから25万バレルに半減させると明記した。北朝鮮への「鉱物性燃料や鉱物油、それらの蒸留製品」の輸出禁止も求めている。

北朝鮮へのたばこや製造たばこ輸出も禁じる。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記はヘビースモーカーとして知られる。

北朝鮮に対し、弾道ミサイル発射だけでなく巡航ミサイルの発射や「核兵器を運搬できるその他のシステム」の使用も禁じる。北朝鮮からの「情報通信技術関連サービスの調達や調達の促進」の禁止も盛り込んだ。北朝鮮は2~3月に性能を抑えた大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイルを撃ち、3月24日にICBMを発射するなどミサイル発射を強行している。

北朝鮮の偵察総局傘下のハッカー集団、ラザルスグループに対する資産凍結も科す。ラザルスグループは2017年に世界各地で感染が広がったランサムウエア(身代金要求型ウイルス)「WannaCry(ワナクライ)」、金融機関と顧客口座へのハッキングのほか、14年のソニー・ピクチャーズエンタテインメントへのサイバー攻撃に関与したとされている。

採択されれば17年12月以来の制裁決議となる。米国は北朝鮮によるICBM発射を受けて開いた3月末の安保理の緊急会合で、追加制裁案を提案する意向を表明していた。米韓当局は北朝鮮が近く核実験を実施するとの見方も強めている。ただ、会合では中国やロシアが追加制裁に反対し制裁緩和を訴えるなど、常任理事国間での隔たりも目立った。

米欧や日本が追加制裁の根拠とするのが、17年11月末に北朝鮮が火星15号を発射した際、同年12月に安保理が採択した制裁決議だ。「北朝鮮がさらなる核実験や大陸間射程に達する弾道ミサイルの発射・システムの開発に取り組んだ場合」、安保理は「北朝鮮への石油の輸出をさらに制限する行動をとることを決定する」と警告する文言が盛り込まれている。

17年12月の決議では、ガソリンやディーゼル燃料、灯油などの石油精製品の北朝鮮への年間供給上限を50万バレルと定めた。当時の北朝鮮による輸入量450万バレルから9割を削減する内容だった。原油供給の規定は中国への配慮から「現状維持」としつつ、年間上限を「400万バレルまたは52万5000トン」と明示した。

北朝鮮はその後も制裁逃れを続けており、サイバー攻撃で奪取した暗号資産(仮想通貨)を核・ミサイル開発の資金源にしているとみられている。安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルによる年次報告書によると、20~21年半ばに北朝鮮は北米や欧州、アジア拠点の少なくとも3つの交換所を攻撃し、計5000万ドル(約63億円)以上の仮想通貨を盗み出した。21年には交換所や投資会社への7回のサイバー攻撃で合計4億ドル相当の仮想通貨を盗んだ。

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