FRB「総タカ派」に 5月にも資産縮小、0.5%利上げへ

FRB「総タカ派」に 5月にも資産縮小、0.5%利上げへ
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『米連邦準備理事会(FRB)は6日、3月に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開した。量的引き締め(QT)では保有資産を月に950億ドル(約12兆円)を上限として縮小することでおおむね合意し、5月にも開始することが分かった。今後の利上げペースについては、0.5%の幅で引き上げる可能性があることを強く示唆した。ロシアによるウクライナ侵攻に伴う世界経済の不確実性を注視しつつも、インフレを抑制するために断固たる手段を取ろうとするFRBの姿勢が浮き彫りになった。

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「いまや全員が(利上げに積極的な)タカ派だ」。ヤルデニ・リサーチのエドワード・ヤルデニ氏は議事要旨を受けたFOMC参加者の状況をこう評した。FRBのブレイナード理事含む「長年のハト派もタカ派に転じた」。

議事要旨によると、インフレが加速する可能性を考慮し、多くの参加者が3月の会合で0.5%の利上げをしても良いと考えていた。だがウクライナ侵攻に伴う不確実性を鑑み、0.25%が適切だとの判断に至ったという。今後の会合で1回以上、0.5%の利上げが起こりうるとの見方が多勢を占める。

市場はまず次回のFOMC(5月3~4日)で0.5%の利上げに踏み切るとの見方を深めた。米先物金利の値動きから金融政策を予測する「Fedウオッチ」では、米東部時間6日夜(日本時間7日午前)時点で、5月の会合で0.5%の利上げがあるとの見方が79%に達した。1週間前(67%)より10ポイント超増えた。
パウエルFRB議長のかじ取りに注目が集まる(ワシントン)=ロイター

バンク・オブ・アメリカのイーサン・ハリス氏らは議事要旨の公開後、FRBが今後3回の会合で0.5%ずつ利上げするとの予測を公表した。その後はフェデラル・ファンド(FF)金利が3.25~3.5%に到達するまで0.25%ずつ引き上げるというシナリオだ。

議事要旨にあったウクライナ侵攻の不確実性について、ハリス氏は「悪化に向かわない限り、5月の0.5%利上げの妨げになることはない」との見方を示した。予断はもてないが、「ロシア軍によるウクライナ首都キーウ(キエフ)撤退の報は好感された。コモディティー(商品)価格は急騰から落ち着いた」ことを理由に挙げる。

JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ氏は「会合の議論は、労働需給のミスマッチとそれに伴う賃金上昇圧力に時間が割かれた」と、インフレに関する分析内容に着目する。議事要旨では、期待インフレ率が上がり続けるリスクを、多くの参加者が懸念していることも示された。

だが、急速な金融引き締めは景気減速をもたらす恐れがある。足元で米住宅ローン金利は30年固定で4.7%台と、18年12月以来の水準に急伸。住宅ローンの申込件数は急減している。オランダ金融大手INGのジェームズ・ナイトリー氏は「住宅販売と価格がともに低迷し、消費活動にマイナスに働く可能性がある」と指摘する。

こうした景気減速を見越し、市場の目線は「利上げ後」に向く。ナイトリー氏によると、過去50年間のサイクルで、最後の利上げから最初の利下げまでの平均期間は7~8カ月。23年3月までに利上げを終えた場合、「23年末までに利下げに転じるだろう」と指摘する。

ヤルデニ氏は今年後半には「ハト派がタカ派に景気後退を招かぬよう自制を促す声が再び聞かれるようになるだろう」とみる。今は「総タカ派」の様相を見せるFRBだが、早晩タカ派とハト派が再びせめぎ合う可能性もある。

(ニューヨーク=大島有美子)

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