米、「赤い州」と「青い州」で深まる対立 中絶やLGBTQ

米、「赤い州」と「青い州」で深まる対立 中絶やLGBTQ
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『【ニューヨーク=山内菜穂子】米国で共和党優勢の「赤い州」と民主党の強い「青い州」の対立が激しさを増している。人工妊娠中絶やLGBTQ(性的少数者)の権利といった世論を二分するテーマをめぐって各州が法整備を急いでいるためだ。11月の連邦議会の中間選挙に向けて州間の「分断」はさらに深まりかねない。

共和党州が中絶禁止、民主党州も対抗

「レッドステート(赤い州)」、「ブルーステート(青い州)」対立の最前線の一つとなっているのが中絶問題だ。南部テキサス州が2021年9月、妊娠6週ごろからの中絶を禁じる州法を施行した。中絶の大半を禁止するもので、これを機に「赤い州」で中絶の権利を制限する動きが広がった。

「青い州」も対抗する。西部コロラド州のポリス知事は4日、女性が中絶を選ぶ権利を明記した州法に署名した。州内の自治体が中絶の権利を独自に制限することも禁じた。コロラド州は中絶を重罪とする法案を5日に可決した南部オクラホマ州に隣接している。

西部アイダホ州で3月、テキサス州をモデルにした中絶制限法が成立した。その隣に位置する「青い州」のワシントン州とオレゴン州も対策を急ぐ。オレゴン州は1500万ドル(約18億円)の予算を投じ、中絶を望む女性を支援する。旅費の補助も検討している。ワシントン州は3月、女性や医療提供者への法的措置を禁じる法律を制定した。

米最高裁は6月ごろ、中絶を制限する南部ミシシッピ州法の合憲性について判断する見通し。最高裁判事は保守派が多数を占めるため、これまで胎児が母体外で成育可能になるまでの中絶を認めてきた米国の基準が変わる可能性がある。最高裁の判断をにらみ、州レベルの法整備が今後さらに進むとみられている。

フロリダ州、小学校で性自認の話題も禁止

LGBTQの権利も「赤い州」と「青い州」で一大論争になっている。南部アラバマ州議会は7日、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの子どもへの医療的ケアの提供を禁じる法案を可決した。学校での性自認などに関する話し合いも制限する。

これに先立ちフロリダ州のデサンティス知事は3月28日、主に小学校で性自認や性的指向の話題を禁止する州法に署名した。テキサス州のアボット知事は2月、医療的ケアを受けるトランスジェンダーの子どもの親を調査するように行政機関に命じた。

一方で「青い州」のカリフォルニア州はトランスジェンダーの子どもや親を支援する法案を審議中だ。提案者のスコット・ウィナー州上院議員は「テキサス州などから移り住む子どもや親を保護する」と狙いを語る。

ニューヨーク市もフロリダ州法を批判する意見広告をフロリダ州内で展開し、LGBTQの人々らに同市への移住を呼びかけている。

「赤い州」と「青い州」の対立の背景には、11月の中間選挙に向けてそれぞれの支持基盤を固める思惑がある。マスク着用やワクチン接種といった新型コロナウイルス対策や学校での歴史教育のあり方も対立するテーマになっている。

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