中国・習指導部、上海に統制強める ゼロコロナ徹底要求

中国・習指導部、上海に統制強める ゼロコロナ徹底要求
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0778A0X00C22A4000000/

『【上海=土居倫之】中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が、新型コロナウイルスの早期封じ込めに失敗した上海市政府に対する統制を強めている。衛生政策担当の孫春蘭副首相を派遣し、「ゼロコロナ」政策の徹底を上海市政府に求めた。軍医など中国軍約2000人も派遣した。党中央・中央政府が上海市政府の防疫政策を直接指導し、全国への感染波及の防止を目指す。

「党中央と国務院(政府)の決定に従い、ゼロコロナの総方針を揺るがしてはならない」。2日に上海入りした孫氏は約1週間にわたって市内を視察し、市トップの李強党委員会書記ら幹部に連日こう指示している。7日には市中心部の住宅街を訪れ、「一刻も早く感染者と濃厚接触者を洗い出せるように」と指示した。孫氏は病院や学校のほか港なども訪問。その指導内容はPCR検査の徹底から円滑な物流の確保、東洋医学の活用にまでわたる。

こうした指導の背景には感染拡大に歯止めを掛けられない上海市政府に対する習指導部の不満がある。上海市の7日の新規感染者数(無症状を含む)は2万1222人と7日連続で過去最多を更新。東西に二分してロックダウン(都市封鎖)を始めた3月28日の5倍近くに膨らんだ。

オミクロン型は感染力が強い半面、重症化しにくい。上海市の新規感染者のうち無症状の割合は9割以上に達する。国際的なサプライチェーン(供給網)への影響など経済に配慮して、上海市は3月28日のロックダウン直前まで感染者や濃厚接触者がいる地域に限定した小規模な封鎖にとどめていた。だがこうした戦略が裏目に出て、初期段階での感染封じ込めに失敗した。上海は7日時点で中国本土の市中感染者数(2万4101人)の9割近くを占めている。

7日付の共産党機関紙、人民日報は、上海市の感染拡大に関する論評で「人口大国である中国では、ゼロコロナ政策のみが、医療資源の枯渇を回避し、高齢者や基礎疾患を持つ人の死亡を防ぐことができる」と政策の堅持を訴えた。中国疾病予防コントロールセンターの疫学首席専門家、呉尊友氏は6日の北京市での記者会見で「感染がいつまで続くかは、防疫戦略とその実行力にかかっている」と強調した。

上海市トップの李氏は習氏の腹心の一人で今秋の共産党大会での最高指導部入りがささやかれていた。だが早い段階での感染拡大を阻止できず、政治的に背水の陣にある。香港メディアは、ネットに流出した上海市政府の会議での議事録をもとに李氏の「(コロナに)もし勝てなければ、歴史的な失敗となる」との発言を報じた。3月31日の記者会見では上海市の馬春雷秘書長(上海市共産党委員会副秘書長)が「オミクロン型ウイルスに対する理解が不十分で備えも十分でなかった」と異例の陳謝をしていた。』