[FT]「ゼロコロナ」政策が招く中国の食料不足

[FT]「ゼロコロナ」政策が招く中国の食料不足
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0726T0X00C22A4000000/

 ※ ある意味、「自分で自分の首を締めている」「セルフ・制裁」みたいなものだな…。

 ※ しかし、「国産ワクチン」への信頼の観点(特に、感染予防力の点)からは、「ウイルスとの共生」とはいかないんだろう…。

 ※ 人口も桁違いに多いんで、「感染爆発」ともなれば、収拾がつかなくなるんだろう…。

『公式データによると、東北部の吉林省と遼寧省、黒竜江省の3分の1もの農家は、当局がロックダウンを敷いた影響で、農業資材の不足に直面している。この3省は、中国の穀物生産の2割以上を占めている。

コメやトウモロコシなど春に作付けする穀物の生産量が減少すれば、主食の自給自足を目指す中国政府の数十年に及ぶ努力は台無しになりかねない。結果的に輸入拡大を強いられ、世界の食料インフレを加速させる恐れもある。

この1週間は、上海市の全市民を対象としたロックダウンが国内外で注目を集めているが、吉林省は過去1カ月のほとんどの期間、さらに厳しい措置を講じて感染拡大と戦っている。

吉林省政府によると、農家の約3分の1は3月末、つまり作付け開始の約3週間前になっても、肥料を十分に確保できていなかった。

交通規制など厳しい制限

農家や工場経営者は、感染を完全に抑え込む中国の「ゼロコロナ」政策がこうした混乱の原因だと非難している。当局はこの政策の下で、交通規制や店舗の営業停止など厳しい制限を行っている。

北京を拠点とする中国政府の農業政策アドバイザーは、中国は「食料不足に直面する」リスクがあると警鐘を鳴らす。

匿名を条件に取材に応じた同アドバイザーは「農業のためにゼロコロナ政策を調整する必要がある」と語った。「ウイルス対策を何よりも優先すべきではない。これをいつまでも続けるわけにはいかない」という。

吉林省・吉林市政府は、春の作付けの準備は非常に難しいことが分かったという。「すべての農家に肥料を供給するのが(予定より)遅れている」と市のウェブサイトで通知している。

吉林市の60エーカーの土地でコメを栽培する農家のリー・チンホワさん(38)は、配達の遅れで肥料の在庫が通常より8割以上も少なくなっていると明かした。「発注分が来週中に届かないと、種まきに最適なタイミングを逃してしまう」という。

中国農業農村省にコメントを求めたが、回答はなかった。

ロックダウンは23都市で実施

野村のアナリストの推計によると、中国では現在、少なくとも23都市(合計人口は1億9000万人超)が全面的ないし部分的なロックダウンを実施している。「新型コロナは夏場に収束するとの見方が一般的だった2020年春とは異なり、現在は終わりが見えない」と同社アナリストは指摘している。

折しも春の作付けの問題は、ウクライナ紛争で中国にとって重要な家畜飼料であるトウモロコシの出荷が停止する中で起きた。国際貿易センター(ITC)のデータによるとウクライナは2013年以降、中国にトウモロコシを出荷しており、この2年後には海外の最大の供給国となった。

肥料工場は苦境に立たされている。河北省にある大手肥料メーカー、根力多生物科技の幹部は、顧客への出荷や原料の確保に「多くの困難」を抱えていると語った。これは業界全体で問題となっており、中小メーカーの多くは操業を停止しているという。

3月以降に5万人以上の新型コロナ感染者が報告されている吉林省では、地元で手に入らない種子や肥料を運んできても、他地域からのトラックの乗り入れを拒否する町や村が少なくない。

農家の不満をさらに増しているのが、都市部のロックダウンで多くの出稼ぎ労働者が行動を制限され、農村部の作付けに戻れないという実態だ。戻れたとしても、14日間の隔離期間を経なければ作業に取りかかれない。
原料の仕入れや労働者の採用に影響

吉林省梨樹県で80エーカーの農場を営むリー・ジジョンさんは「今回の作付けシーズンはこれまで経験した中でも指折りの厳しさだ」と嘆く。「原料の仕入れや労働者の採用にこれほど苦労することはめったにない」

吉林市政府は3日、地元のトラック運転手が市外に種子や肥料を配送できる「グリーンチャネル」を開設すると発表した。だが、市外への配達後に市内に戻ることは認められないという。

この措置は「コロナ禍が春の作付けに及ぼす影響を可能な限り軽減する」狙いがあるとしている。

吉林市の運転手、ガオ・フカイさんは「肥料を出荷するために家族と離ればなれになるリスクを冒すつもりはない」と話す。帰宅が認められなければ「トラックでの生活」を強いられかねないと不安を口にしている。

山東省の農業都市・臨沂市は、地元の運転手が上海への配送後に新型コロナの陽性判定を受けたため、他都市からのトラックの受け入れを停止した。当時、同市で確認された感染者数はわずか58人だった。

結果として肥料不足が生じ、いまだ解消されていない。臨沂市で肥料販売を手がけるワン・タオさんは「私たちと政府とでは優先するものが違う」と語る。「政府はウイルスを撲滅することしか頭にないが、私たちには生活がある」

By Sun Yu

(2022年4月6日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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