国連総会緊急会合 人権理事会、ロシア資格停止を可決

国連総会緊急会合 人権理事会、ロシア資格停止を可決
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『【ニューヨーク=白岩ひおな】国連総会は7日に開いた緊急特別会合で、国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止する決議を日米欧など93カ国の賛成多数で可決した。
中国やロシア、北朝鮮など24カ国は反対票を投じ、インドやブラジルなど58カ国は棄権した。ウクライナでの民間人殺害を受け「ロシアによる重大かつ組織的な人権侵害」があったとして「重大な懸念を表明する」と明記した。

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ウクライナのクレバ外相はツイッターで「戦争犯罪者は人権を保護する国連の機関に居場所がない。歴史の正しい道を選んだすべての加盟国に感謝する」と歓迎した。

一方、ロシアのポリャンスキー次席大使は採択後「今日の恥ずべき投票の後、ロシアは(23年までの)任期終了前に人権理を脱退した」と表明した。

人権理事会での資格停止は、リビアのカダフィ政権(当時)による反体制派の武力弾圧を受けて同国の資格を停止した2011年3月以来。リビアは政権移行を受けて同年11月に理事国に復帰した。ただ、理事国が任期を待たずに離脱する場合には、理事国の空席はただちに投票で補充する決まりとなっている。

ウクライナのキスリツァ大使によると、決議案は日米欧など少なくとも50カ国が共同提案した。賛成国は3月2日の非難決議(賛成141カ国)、人道状況の改善を求めた24日の決議(賛成140カ国)と比べて大幅に減った。

一方、反対は過去2回の決議(いずれも5カ国)から19カ国増え、棄権も前回の決議(38カ国)から20カ国増えた。

中国は前回までの棄権から反対に転じた。張軍大使は投票に先立つ演説で「人権分野での対立を激化させる危険な先例となり、国連のガバナンスに深刻な影響をもたらす」と反対の理由を説明した。人権理の理事国を務める中国は新疆ウイグル自治区などをめぐり自国内で人権問題を抱えている。

欧州連合(EU)のスコーグ大使は可決後、記者団に「ロシアが反対票を投じるよう強い圧力をかけ、投票結果に反映された」と語った。「自国に直接関係なく、まだどちら側にもつきたくないと考える国もある」とした。

ロシア代表部は投票前、加盟国に対し、賛成や棄権、不参加は「非友好的なジェスチャーとみなす」と警告する書簡を送っていた。

人権理は47カ国で構成し、スイスのジュネーブに本部を置く。理事国の任期は3年。ロシアは23年までの任期だが、人権理は「人権に対する重大かつ組織的な侵害を犯した」場合、理事国の権利を停止できると定めている。

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池内恵
東京大学先端科学技術研究センター 教授
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分析・考察

ロシアの人権理事国資格の剥奪は、「西側の結束」を示したが、ロシアの明確な脅しもあり、新興国・途上国の明確な支持を得られていない。

加盟国193カ国のうち、賛成93、反対24、棄権58(不投票18=棄権に近い不投票から、投票資格がないか投票能力がない国が含まれる)という結果のうち、棄権をもし消極的な反対、あるいはロシアへの配慮の表明と考えれば、93:82と、伯仲しているようにも見える。

不投票を棄権に加えれば93:100になる。投票数の3分の2(棄権は含まず)で理事国の資格停止ができる規定から、棄権は直接否決をもたらす効果が薄いことから、棄権・不投票のハードルが高くないから棄権したとも考えられる。

2022年4月8日 5:41

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

以前、国連総会緊急招集でロシアの非難決議を採択した時は141ヶ国の賛成が得られたが、今回は98。

国際機関での資格停止を求めるのはそれだけハードルが高いが、それでも賛成多数になったということは、ロシアのやったことの悲惨さが多くの国に響いたということだろう。

興味深いのは人権問題で国連の報告書などで指摘されているコンゴ民主共和国が賛成に回ったこと。また、ロシアと近いと言われるハンガリーもEUのメンバーとして賛成している。

2022年4月8日 1:51 』