[FT]中東・アフリカで広がるロシア支持のプロパガンダ

[FT]中東・アフリカで広がるロシア支持のプロパガンダ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB051O60V00C22A4000000/

 ※ 「BRICs(ブリックス、英語 Brazil, Russia, India, China から)は、2000年代以降に著しい経済発展を遂げた4か国(ブラジル、ロシア、インド、中国)」がもてはやされたのは、遠い昔の話しだな…。

 ※ 『また、BRICs4か国に南アフリカ共和国 (South Africa) を加えた5か国は、BRICS[5] と総称される[6]。近年はBRICSの表記が一般的である。』…。

 ※ 南アを加える場合は、「BRICS」と表記されることは、知らんかった…。

『ロシアがウクライナ侵攻に踏み切ってから、インドの医師を名乗る女性がツイッター上でロシアのプーチン大統領を支持すると表明した。「#IStandWithPutin(私はプーチンを支持する)」というハッシュタグが添えられ、ウクライナ侵攻を正当化するプーチン氏の動画に誘導するリンクも張られていた。その投稿は拡散し、ハッシュタグも広まった。
ソーシャルメディア上では真偽ないまぜの情報が飛び交っている=ロイター

しかし、青い上着をはおりマスクをした「アディーラ医師」のプロフィル写真はインターネットから流用した写真素材だと研究者は指摘する。各種アプリの画像検索機能を回避するため、画像は反転していた。フォロワー100人未満のこのアカウントは、投稿が5000回以上リツイートされた後に削除された。

ツイッターは自社プラットフォームを悪用される懸念から、このハッシュタグを広めようとしていたアカウントを数十件停止した。だが、そのときすでに南アフリカのズマ前大統領の娘がこのハッシュタグをツイートしていた。

ウクライナのゼレンスキー大統領が世界各国の議会で感情に直接訴える演説を行うなど、西側諸国ではウクライナが情報戦を制している。西側諸国の政府やメディアは援助と支援を求めるウクライナに共鳴し、同国の主張を広く拡散している。だが、アフリカやアジアの中には、2003年の米国主導のイラク戦争といった欧米の植民地主義や軍事介入という負の遺産に悩まされてきた国もあり、ウクライナへの見方は割れている。

カタールのハマド・ビン・ハリーファ大学准教授でオンライン上の情報操作に詳しいマーク・オーウェン・ジョーンズ氏は、「ウクライナに対する共感そのものがないわけではない。ただ、国際世論がウクライナ支援で一致する様相が強まるなか、北大西洋条約機構(NATO)やいわゆる西側に対する怒りやいら立ちを表しているのだろう」と語る。

同氏は「『北の先進国』近くで有事が起きたとなると、国際社会がいかに結束できるかが浮き彫りになった。その一方でアフリカなどでは、自分たちが住んでいる地域が無視されたり搾取されたりしがちだという認識が改めて広がっている」と言う。

一枚岩ではない国際社会

国際社会が一枚岩でないことは、3月2日の国連総会でロシアのウクライナ侵攻を非難する決議に141カ国が賛成し、5カ国が反対、インドや中国を含む35カ国が棄権したことを見ても明らかだ。

こうした状況下では、活動家が指揮する場合であれ政府のプロパガンダマシンが展開する場合であれ、世論操作キャンペーンが広く受け入れられる土壌がある。先述したツイッター上のキャンペーンは過去に偽アカウントや不審なアカウントを使って展開されていたキャンペーンをほうふつとさせる。首謀者は中東やアフリカのロシア人だとされていたが、それをロシア政府と結びつける証拠はない。スタンフォード大学インターネット観測所の研究者シェルビー・グロスマン氏は「真剣にロシアを支持する地域が世界中にある。アフリカもその一つだ」と指摘した。

だが、虚実の境目がはっきりしないこともある。「アディーラ医師」のアカウントは確実に偽物だと、最初におかしいと声を上げたジョーンズ氏は言う。その投稿をリツイートしたアカウントは全部ではないにしろ、その多くが偽の草の根運動を意味する「アストロターフィング」の特徴を示していた。だが、ボット(自動応答プログラム)と同じく、正規のアカウントも#IStandWithPutinをシェアした。このキャンペーンに関してリポートを公表したセンター・フォー・ジ・アナリシス・オブ・ソーシャル・メディアのリサーチディレクター、カール・ミラー氏は「(ロシアと関連付ける)決定的証拠はない」と語った。
誰が仕組んだにせよ、このキャンペーンはインドで即座に支持を集めた。同国のモディ首相はロシア非難を求める西側の圧力に逆らったことで、珍しく党派を超えて支持されている。

南アでは、ロシア・ウクライナ間の戦争に対して関心が集まっているのに乗じて、国内で政治的主張を拡散しようとする政治家もいる。南アを拠点に情報操作について研究する米シンクタンク大西洋評議会のジャン・ル・ルー氏はこう指摘する。

プーチン氏をたたえる南アフリカ前大統領の娘

南アのズマ前大統領の娘ドゥドゥ・ズマ・サンブドラ氏がツイートしたのは#IStandWithPutinというハッシュタグだけではない。プーチン氏が「世界で最も影響力がある人物」であるのに対し、父の後継者ラマポーザ氏は「愚かな大統領」だと20万人近いフォロワーに向けて発信した。同国でポピュリズム(大衆迎合主義)を掲げる政治家のジュリアス・マレマ氏はロシアを擁護する理由を説明するのに歴史を持ち出し、ロシアが「提供してくれた武器や資金を使って、我々はアパルトヘイト(人種隔離)政策と闘った」と語った。

結局、「以前からある反欧米のメッセージ」を広めるためにロシアの言い分を利用しているとル・ルー氏は説明する。「ロシアは欧米に代わる選択肢とみられている」という。

中東では、シリア内戦でアサド政権に軍事支援したロシアに対する見方が大きく割れている。だが、湾岸諸国をはじめ、対米・対ロ関係のバランスをうまく取ろうとしてきた国では、03年にイラクに侵攻し壊滅的被害をもたらした米国に対する見方と違うと疑問を投げかける投稿がSNS(交流サイト)上で多数見られる。

ロシア政府機関の公式アカウントが単に現地のニュースを拡散しているだけのこともある。エジプトの首都カイロのロシア大使館は「ウクライナで進行中の戦争で、非欧州人に対する人種差別があらわになった」とツイッターに投稿した。添えられていたリンクをたどると、中東で起きた戦争の犠牲者よりも欧州人であるウクライナ人のほうがメディアで注目を集めていると訴える動画が再生された。ヨルダンのラジオ局が制作したものだ。

研究者らはこうした情報キャンペーンの影響を過大評価しないよう注意を促している。「この種のキャンペーンが何らかの影響を及ぼしているのかという質問に答えるのは非常に難しい。確認するのは至難の業だ」とグロスマン氏は漏らす。

By Samer Al-Atrush, Benjamin Parkin and Joseph Cotterill

(2022年4月3日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』