米政府、週内に対ロシア追加制裁 プーチン氏を裁判に

米政府、週内に対ロシア追加制裁 プーチン氏を裁判に
キーウ近郊、市民410遺体発見で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN04DHX0U2A400C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は4日、ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊で民間人とみられる多数の遺体が見つかったのを受け、プーチン大統領を「戦争犯罪人だ」と非難した。「戦争犯罪裁判ができるように詳細を把握しなければならない」と述べた。ロシアへの追加制裁を週内にも発表する。

ホワイトハウスで記者団に語った。ウクライナ検察は3日、キーウ北西のブチャなどで民間人410人の遺体が見つかったと表明した。欧米メディアも遺体が路上に横たわる写真や映像を伝えた。バイデン氏は4日、プーチン氏について「この男は残忍だ。 ブチャで起きていることは常軌を逸している」と批判した。

バイデン氏は3月16日、プーチン氏を「彼は戦争犯罪人だと思う」と初めて明言していた。

サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は4日の記者会見で、ブチャの状況を踏まえ「戦争犯罪のさらなる証拠を示している。証拠を集め、事実を明らかにする」と訴えた。ウクライナのゼレンスキー大統領が主張するジェノサイド(大量虐殺)と断定することには否定的な考えを示した。

今回の事態を受け、欧州の同盟国・有志国などと協調して追加制裁を科す方針だ。バイデン氏はロシアに「さらなる制裁を科すつもりだ」と明言。サリバン氏は「同盟国や有志国と調整中だが、今週に追加の経済的圧力を発表する予定だ」と明らかにした。

近くウクライナに追加の武器支援を実施する。バイデン氏は「ウクライナに戦闘を継続するために必要な武器を提供し続けなければならない」とも強調した。ロシアが攻勢をかけるウクライナ東部の態勢を増強する狙いがある。

バイデン政権は1日に最大3億ドル(370億円)の新たな軍事支援策を発表したばかりで、レーザー誘導ロケット砲や最新鋭ドローン「戦術無人航空機システム」などを供与した。サリバン氏は「ウクライナに米兵は送らないが、あらゆる可能な選択肢を検討し続ける」と指摘した。

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

UNは機能しなければ、インターポールに訴え、プーチンに対するレッドノーティスを発動すべき。逮捕できないが、抑止力になる

2022年4月5日 8:19

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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分析・考察

ロシア軍による民間人大量殺害が明るみに出たことで、米欧は態度をさらに硬化。

バイデン米大統領はプーチン氏について「この男は残忍だ」と形容しつつ、戦争犯罪人として裁くことを主張した。

しかし、米欧にできることは限られている。記事にもある通り、米軍のウクライナ派兵は第3次世界大戦リスクがあるため、バイデン政権にとってタブー。経済制裁は及び腰であり、仮にEUがロシア産原油の輸入を止めても、インドのように代わりに買う国がある。EU全体によるロシア産天然ガスの輸入停止は景気の大幅悪化に直結する。

戦争犯罪を裁く法廷にロシアが同意してプーチン氏が出廷するはずもない。ロシア非難は一段と強まるが、手詰まり感も漂う。

2022年4月5日 7:56

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