パキスタン首相、軍の支持失う内閣官房「首相は失職」

パキスタン首相、軍の支持失う
内閣官房「首相は失職」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB044ND0U2A400C2000000/

『【ニューデリー=馬場燃】パキスタンのカーン首相が野党勢力から不信任案を突きつけられ下院解散・総選挙実施に追い込まれた。背景には、同国で強い政治力を持つ軍の支持を失ったことがあるもようだ。

カーン氏は3日、国民向けテレビ演説で「下院を解散し総選挙の準備に入るようアルビ大統領に伝えた」と発言した。大統領も議会を解散したと表明した。政府の内閣官房は、3日夜時点でカーン氏が首相を失職したとしており、政情は混沌としてきた。

「軍は政治プロセスに何ら関係していない」。パキスタンの報道機関によると、軍高官は3日、カーン氏の総選挙実施の表明後にこう語った。同国内では、従来はカーン氏を支持してきた軍が足元で距離を明確に置き始めたとの見方が広がる。

球技クリケットの元スター選手だったカーン氏は2018年8月に首相に就任した。政治基盤が弱かったものの、軍の支持も得ていったんは実権を掌握した。ただ外交関係者は「カーン氏は昨年から軍内部の人事を巡って軍と衝突し、支持を失い始めていた」と指摘する。野党勢力がカーン氏に不信任案を突きつけたのも、軍が途中で横やりを入れてこないと判断したためとみられている。

カーン氏の経済・外交運営の失策も響いている。消費者物価指数は同氏の首相就任以降、2桁前後の上昇率で推移している。国際通貨基金(IMF)の財政支援に依存する経済構造を転換できず、社会の不満が強まっていた。

米国やインドとの関係も悪化した。米バイデン政権は21年8月にアフガニスタンを掌握したイスラム主義組織タリバンをパキスタンが支援したとみなし、米国とパキスタンの外交は途絶えている。インドとも所有権を争うカシミール地方を巡って対立し、19年に印パ間の貿易が停止している。

総選挙は3カ月以内に実施される見通しだが、与野党のどの政党が主導権を握るかは判然としていない。』