【解説】 ロシアは軍事的に何を誤ったのか ウクライナ侵攻

【解説】 ロシアは軍事的に何を誤ったのか ウクライナ侵攻
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-60831488

 ※ 初戦のつまづき(キーフ(キエフ)に、電撃的に侵攻し、支配下に置くことに失敗した)が、全てだったような感じだな…。

 ※ 今日は、こんなところで…。

『(2022年3月23日)
ジョナサン・ビール、BBC防衛担当編集委員

ロシアは世界有数の強力な軍隊を保有している。しかし、その強力な軍事力はウクライナ侵攻の開始当初、ただちにあらわにならなかった。西側の軍事アナリストの多くは、ロシア軍のこれまでの戦いぶりに驚いている。「みじめなものだ」と言う専門家もいる。

ロシア軍の軍勢はほとんど前進せず、これまでの損失から立ち直れるのだろうかと疑問視する人もいる。3月半ばになって、北大西洋条約機構(NATO)の軍幹部はBBCに対して、「ロシア軍は明らかに目的を実現していないし、おそらく最終的にも実現しないだろう」と話した。だとすると、いったい何がうまくいかなかったのか? 西側諸国の複数の軍幹部や情報当局幹部に、ロシアが何をどう誤ったのか、尋ねてみた。
事実誤認が前提に

ロシアの最初の間違いは、自分たちより小規模なウクライナ軍の抵抗力と能力を過小評価したことだった。ロシアの年間国防予算は600億ドル(約7兆2600億円)以上。対するウクライナはわずか40億ドル(約4800億円)余りだ。』

『イギリス軍幹部によると、ロシアの軍事投資の大部分は、大量の核兵器と最新兵器の実験に費やされてきた。極超音速ミサイルの開発などが、それに含まれる。ロシアは世界最新鋭のT-14アルマータ戦車を開発したとされる。モスクワの赤の広場で行われる戦勝記念軍事パレードでT-14アルマータが登場したことはあるものの、戦場には現れていない。これまで実戦に投入されているのは、旧式のT-12戦車や、装甲兵員輸送車、大砲やロケットランチャーだ。

侵攻開始当初、ロシアは明らかに空では有利だった。国境近くまで移動させた戦闘機の数はウクライナ空軍の戦闘機の3倍だった。ほとんどの軍事アナリストは、ロシア軍が侵略開始と共に直ちに制空権を掌握するものと見ていたが、実際にはそうならなかった。

ロシア政府は、特殊部隊も、素早い決着をつけるのに重要な役割を担うはずだと考えていたかもしれない。

西側政府の情報当局幹部がBBCに話したところでは、特殊部隊スペツナズや空挺部隊VDVなどが少数精鋭の先遣隊となり、「ごく少数の防衛部隊を排除すれば、それでおしまい」だとロシアは考えていたようだ。しかし、開戦間もなく首都キーウ(ロシア語ではキエフ)近郊のホストメル空港に戦闘ヘリコプターで攻撃を仕掛けたものの、ウクライナ軍に押し返された。このためロシア軍は、兵員や装備、物資の補給に必要な空路を確保しそこねた。
T-14 Armata in Moscow in 2017

画像提供, Getty Images
画像説明,

軍事パレードには登場するものの戦場では見かけない最新式T-14アルマータ戦車

代わりにロシア軍は、補給物資のほとんどを主に陸路で運ぶ羽目になっている。このため軍用車両の渋滞が発生し、渋滞すると予測できる場所も生まれ、ウクライナ軍からは急襲しやすくなっている。道路から外れて進もうとした重装甲車は、ぬかるみで身動きが取れなくなった。「泥沼にはまった」軍隊のイメージが、ますます強くなった。

この間、人工衛星がウクライナ北部上空で撮影したロシア軍の長大な装甲車の列は、いまだに首都キーウを包囲できていない。ロシア軍は主に、鉄道を使った補給ができている南部で、軍を進めている。イギリスのベン・ウォレス国防相はBBCに、ロシア軍が「勢いを失っている」と話した。

「(ロシア軍は)身動きが取れない状態で、じわじわと、しかし確実に、相当な被害をこうむっている」
かさむ被害と低い士気

ロシアは今回の侵攻作戦のために約19万人の部隊を集めた。そのほとんどはすでに戦場に投入されているが、すでに兵の約10%を失ってしまった。ロシア軍とウクライナ軍双方の戦死者数を正確に判断するための、信頼できる数字はない。ウクライナはロシア兵1万4000人を死なせたと主張するが、アメリカはおそらくその半数だろうと見ている。

ロシア兵の間で士気が下がっている証拠もあると、複数の西側当局者は言う。士気は「とてもとても低い」とさえ言う当局者もいる。別の政府関係者は、ロシア兵はそもそもベラルーシとロシアの雪の中で何週間も待機させられた挙句に、侵略を命じられたので、「凍えているし、くたびれて、腹を空かせている」のだと話した。

ロシアはすでに失った分の兵士を補充するため、国の東部やアルメニアなど遠方の予備役部隊さえウクライナに移動させている。シリアからの外国人部隊や、謎めいた傭兵組織「ワグナー・グループ」も、近くウクライナでの戦闘に参加する可能性が「きわめて高い」と、西側当局者は見ている。NATOの軍幹部はこれについて、「たるの底にあるものを必死でかき集めている」印だと述べた。

補給と後方支援

ロシア軍は基本的な部分でつまずいた。軍事には、素人は戦術を語るが、プロは兵站(へいたん、物資補給などの後方支援)を学ぶという古いことわざがある。ロシアは後方支援について、十分に検討していなかったと言える証拠がいくつもある。装甲車の縦隊は、燃料も食料も砲弾も足りなくなった。故障した車両は放置され、やがてウクライナのトラクターに撤去されていった。

複数の西側当局者は、ロシア軍は特定の砲弾も不足しつつあると考えている。巡航ミサイルを含め長距離精密誘導兵器をすでに850~900発は使用済みだが、これは無誘導型の兵器よりも補充しにくい。この不足を補うため、ロシアは中国に支援を求めていると、米政府は警告している。
US soldier operates the Switchblade drone

画像提供, Alamy
画像説明,

アメリカがウクライナに提供する武器には、自爆型のスイッチブレード・ドローンも含まれる見通し

対照的に、西側諸国からウクライナへの武器供与は絶えることなく続いており、ウクライナ側の士気を高めている。米政府は8億ドル(約950億円)規模の武器の追加供与を、発表したばかりだ。対戦車ミサイルや地対空ミサイルが追加されるほか、アメリカ製の小型自爆ドローン「スイッチブレード」も含まれる見通しだ。スイッチブレードはバックパックで運べるサイズで、地上の標的に小型の爆発物を届けることができる。

一方で西側当局者は、プーチン大統領が今からでも「これまで以上に残酷な形で攻撃を激化させる」こともあり得ると警告する。ウクライナ各地の都市を「かなり長期間」攻撃し続けられるだけの火力は、まだ残っていると。

様々な問題が作戦の速やかな遂行を妨げているとはいえ、プーチン大統領は「後には引かないだろうし、むしろエスカレーションを選ぶかもしれない。ロシアが軍事的にウクライナを敗れると、おそらく今でも自信を持ち続けているだろう」と言う情報当局者もいる。そしてウクライナ軍は確かにこれまで激烈な反撃を続けてきたものの、相当量の補給が続かなければウクライナも「いずれは弾と兵士が尽きてしまう」とも、この情報関係者は言う。

開戦当初に比べると、ウクライナが圧倒的に不利な状況ではなくなっているものの、それでもウクライナの劣勢は変わっていないようだ。

(英語記事 Ukraine: What have been Russia’s military mistakes?)』

「ロシア寄り」でも同一視されたくない中国:台湾問題で戦略見直しも

「ロシア寄り」でも同一視されたくない中国:台湾問題で戦略見直しも
https://www.nippon.com/ja/japan-data/a08101/

 ※ 良記事だ…。

 ※ ウクライナ事態に対する、中国が「重視していること」を、丁寧に拾い上げて分析している…。

『党大会を控え「火中の栗」は拾わず

ウクライナ問題に対する中国の姿勢が問われている。

筆者は、以下の理由から、ウクライナ問題について中国が旗幟を過度に鮮明にせず、ロシアへの制裁に反対するなどロシア寄りに見えながらもロシアと同一視されることを避け、交渉あっせんや平和実現について役割を果たそうとする姿勢は示すものの、講和に向けて奔走するようなことはない、と考える。

第一に、中国が長期的な米国およびその同盟国への「挑戦」(と「協力」)があることから、ロシアの存在が必要である。

第二に、しかしながら、中国の対外貿易関係は昨今多元化が進んでASEAN(東南アジア諸国連合)諸国などが重要になっているとはいえ、依然として西側先進国との関わりが深く、ロシアに過度に接近することで西側諸国から敵視されることは好ましくない。

第三に、西側先進国と価値観や安全保障問題をめぐって長期的な対立があり、中国としては開発途上国からの支持を得て多数を味方につけられると考えてはいるものの、周恩来以来の平和五原則に照らしても、途上国の多くが重視する「主権侵害」を「是」とすることはできない。その点ではウクライナの主権を重視し、戦闘停止を求めるという姿勢を取ることになる。

第四に、これこそが重要なことだが、2022年は秋に第20回党大会があり、総書記としての3期目、あるいは党主席を狙う習近平にとって、内政はもとより、外政の面でも大きな失敗は許されない。だからこそ、自ら和平交渉に出て行って失敗したり、先進国を敵に回して経済面などで打撃を受けたりすることは避けたい。

習近平国家主席の三期目は確実だとみられているが、実は中国共産党には党幹部の役職の延長は一度(三期目は認めない)という規定がある(党政領導幹部職務任期暫行規定)。例外規定もあるが、説明が必要だ。また、68歳定年制も明文規定ではなく慣習とされることから、どのように適用されるか不明だ。だからこそ、習近平は秋に向けてまだまだ慎重に振る舞わねばならないだろう。

このようなさまざまな要素によって、中国の想定する政策の可動域は一定の制限を受けると考えられる。政策は抑制的になると考えるのが妥当だし、実際中国はロシア寄りながらも次第に中立的なスタンスを取りはじめている。

「米中対立」とロシアの役割

ウクライナ問題に対する中国の姿勢を見る際に重要となるのは、中国としては2049年に至るまで、基本的に米中の相剋があると認識している点だ。その米国との対抗関係においてロシアは戦略的に重要な存在だ。中国は、開発途上国の支持を得て多数派を確保しながら、米国をはじめ先進国を「時代遅れ」の少数派にしていきたい。

だからこそ、米国が、ロシアと中国とを共に「専制主義」などとして一括りにすることは中国にとって好ましくない。先進国との全面対決は避けたいし、主権侵害が焦点になれば、多くの途上国もそれを非難することになるからだ。

米国などが提案した、国連総会でのロシア非難決議案141カ国もの賛成を得て採択されたことも、国連を重視する中国にとっては脅威だろう。

主権侵害が論点ならば、米国でもカンボジアなどを共同提案国に巻き込みながら過半数を取ることができる。中国としては、世界を舞台に多数派を占めつつ米国に対抗することが今後も求められる。

この点で、非難決議案に棄権無投票の国が、ユーラシアからアフリカ広く分布したことは、中国にとってせめてもの好材料だろう。

中国とロシアとは同盟関係にない。中国は1980年代初頭より、同盟国を持たない独立自主の外交路線を採用している。また中露間には様々な問題があり、利害が常に一致しているわけではない。長期的に見れば、中国から見て世界第2位の軍事大国であるロシアは乗り越えなければならない存在だという面もある。

だが、王毅外相はロシアによるウクライナ「侵略」の後も、中露関係について「共に国連安保理常任理事国であり、互いに最も重要で関係が緊密な隣国であるとともに、戦略的なパートナーである。中露関係は世界で最も重要な二国間関係」であり、「国際社会がどのように険悪になろうとも、中露両国は戦略的なパワーを持ち、また新時代の全面的な戦略的協力パートナーシップ関係を不断に前進させていく」などと述べる。

2022年2月初旬、北京冬季五輪の開幕に合わせてプーチン大統領が訪中したが、国家として五輪に参加できないロシアの首脳を中国は破格の待遇で迎え、習近平主席とマスクなしで会合する姿を『人民日報』が大きく報じた。他の首脳との扱いの差は歴然であった。

習近平は、西側先進国との長期的な緊張関係を踏まえてロシアとの協調を強調し、ロシアとともにNATOの東方拡大について反対するとともに、ロシアからの天然ガス購入を約した。

この段階でプーチンから「侵略」について聞かされていたか定かではないが、北京のロシア大使館がいうように習近平が「侵略」を支持した可能性がないとは言えない。

だが、聞かされていたとしても、侵攻開始から2日程度、すなわち、五輪閉幕からパラリンピック開幕の間の休みの間にロシア軍がウクライナを制圧するというプーチン大統領の説明を信じていたのではないだろうか。

緊密だったウクライナとの関係

中国はウクライナとの関係が希薄というのではない。むしろ、中国がウクライナの武器を購入してきたことなどをはじめとして比較的緊密な関係にある。王毅外相も、ウクライナ問題をめぐる発言で「国際連合憲章の宗旨と原則を堅持し、各国の主権と領土の一帯性、安全を分割してはならないという原則を尊重し、保障すべき」だなどと一般原則を述べるにとどまってはいるが、ウクライナとの二国間関係には相当な蓄積がある。

中国とウクライナが国交を持ったのは1992年だが、それ以来いくつかの共同声明を出している。中でも94年12月4日の共同声明は、「中国政府がウクライナに対して安全を保障する声明において、核を保有していないウクライナに対して無条件で核兵器を使用して脅威を与えたり、使用したりしない。もしウクライナが核兵器を使用した侵略や核の脅威を受けたりした場合には、ウクライナに対して安全保障を提供する」などとしている。

この声明は、2013年の中国ウクライナ友好協力条約でも追認されている。そして、この条約ではウクライナの国家統一と領土の一体性をめぐる政策を中国は支持するとも記されている。これらの条文は、ある意味で一般的な原則の確認であり、ウクライナに対して何かしら特別な保障を与えるものではないかもしれないが、それでも原則論として一定の意味を持つと思われる。

EUへの期待とNATO批判

中国はウクライナ問題をめぐって、2015年のロシア、ウクライナとロシア、フランスによるミンスク合意を肯定的に捉えており、だからこそロシアの侵攻後に独仏との首脳会談を実施したりしている。

また、基本的にEU(欧州連合)との関係を肯定的に捉え、NATO(北大西洋条約機構)については批判を強める。

王毅外相は、「中国と欧州は世界平和の二大パワーだ」という。そして欧州に対しては、欧州が独立自主で、米国の影響を受けないでほしいと求める。

中国と欧州との間の相互依存に基づく関係緊密化は不可逆的だとするが、同時に一部には中国脅威論をあおる勢力がいるなどとして警鐘を鳴らす。

また、NATOについては「冷戦的思考」を体現したものとして、中国が常に批判する。中国はEUに対して米国とは異なるスタンスでウクライナ問題に関わることを求め、またミンスク合意の枠組みであれば中国も支持を与えられるとのメッセージを送っているように見える。

だが、実際に欧州の対米接近顕著であり、フランスのマクロン大統領の唱えていた「戦略的自立性(strategic autonomy)」なども後退しているように見える。

仲介役は「振舞い」だけか

では中国はこの問題の仲介役になるのだろうか。その答えは、積極的な仲介者にはならないが、国際問題が一度起きれば「中国が世界から頼りにされる」といえる程度の振る舞いはするものと思われる。

米中首脳会談も、決して成果は上がらずとも米国側から要請されたから会議をしたとの体裁があれば会談だけは行う。

また、実際に中国の王毅外相はロシアの侵攻直後から仲介役をすでに行なっているとしている。例えば、ロシアの「侵略」が始まった翌日、習近平がプーチンと電話会談を行った際、ウクライナ側との講和を促し、積極的な回答を得たという。

また前述のように、ミンスク合意を念頭に独仏首脳との首脳会談も実施した。そして、中国は戦闘中止、人道主義の重要性を強調し、具体的な人道支援も行っている。

他方、中国はウクライナの周辺国への働きかけを強めている。それは現地の中国人居留民保護のためである。

ウクライナ在住の中国人の避難にはさまざまな困難があり、中国としては周辺国による避難民の受け入れ、支援を求め、まずハンガリーなどと外相会談を実施した。居留民保護は中国国内において重視されている問題であり、習近平政権としては慎重な対応が求められる。

台湾問題への教訓

中国はウクライナ問題から多くを学び、また軍事侵攻コストの高さを認識しているだろう。

元々、習近平政権は2019年1月に台湾への武力侵攻の可能性に言及してから、以後は一度もそれに触れていない。台湾への内部浸透を強め、中国との統一を望む勢力を育成し、強力な武力で圧力をかけながら、「戦わずして統一する」というのが中国の基本方針だ。だが、それも相当に難しい。

そこから見ても、ロシアがウクライナにおいて協力者を十分に育成できておらず、14年のクリミアのようにはいかなかったこと、軍事侵略をしても相当に強い抵抗を受けてしまった場合には長期戦になることを目の当たりにしている。

もし中国が台湾への武力侵攻を想定しているとしても、その戦略の練り直し、あるいはより周到な準備の必要性が認識されたであろう。

また、西側諸国が採用する「制裁」のメニューと、その有効性と限界、そしてロシアによる侵略後にウクライナなどのEU加盟交渉が進められるなど、「侵略」が相手側国際的な空間広げることも確認しただろう。

中国による台湾侵攻がなされた場合、台湾が西側諸国から台湾として国家承認されることがあるなら、それは中国にとって受け入れ難いことだ。

こうした点でウクライナ問題は、中国にとって学習の場となるとともに、台湾侵攻の難しさを改めて認識する機会になったものと思われる。そして、最終的にロシアが「敗北」すれば中国のコスト感は一層増すだろうが、グレー決着でも十分にコストを感じるだろう。
今回のウクライナ問題に対して、日本は対米一致、対先進国との同調を旨とする。これは正しいのだろうが、途上国を含め世界がこの問題をどう見ているか、また中露がともに日本の隣国であることなども合わせて考慮し、あまり単純でない柔軟性複雑さもまた考慮に入れるべきであろう。

バナー写真:オンラインで会談する習近平中国国家主席(上)、マクロン仏大統領(左下)、ショルツ独首相(右下)=2022年3月8日、パリのエリゼ宮(仏大統領府)で撮影(AFP=時事)

『川島 真KAWASHIMA Shin 経歴・執筆一覧を見る

nippon.com編集企画委員。東京大学総合文化研究科教授。

中曽根平和研究所研究本部長代行。専門はアジア政治外交史、中国外交史。

1968年東京都生まれ。92年東京外国語大学中国語学科卒業。97年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学後、博士(文学)。

北海道大学法学部助教授を経て現職。著書に『中国近代外交の形成』(名古屋大学出版会/2004年)、『近代国家への模索 1894-1925』(岩波新書 シリーズ中国近現代史2/2010年)など。』

民間人殺害「国際法違反」 岸田首相非難、対ロ追加制裁を検討

民間人殺害「国際法違反」 岸田首相非難、対ロ追加制裁を検討
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040400295&g=pol

『 岸田文雄首相は4日、ロシア軍が部隊を撤収させたウクライナの首都キーウ(キエフ)周辺で民間人とみられる多数の遺体が見つかったことに関し、「人道上問題となる国際法違反の行為だ。厳しく非難していかなければならない」と表明した。その上で「国際社会と連携しながら、わが国としてするべきことをしっかり行っていきたい」と述べ、ロシアに対する追加制裁を検討する方針を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 松野博一官房長官は記者会見で「無辜(むこ)の民間人に対する極めて凄惨(せいさん)な行為が繰り広げられていたことが次々と明らかになっている」と指摘。戦争犯罪をめぐる国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の捜査に期待を示し、「国際人道法違反であり、断じて許されない」と強調した。 』

韓国次期大統領、首相候補に韓悳洙氏を指名

韓国次期大統領、首相候補に韓悳洙氏を指名 革新陣営の同意獲得目指す
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040300324&g=int

『【ソウル時事】韓国の尹錫悦次期大統領は3日、首相候補に韓悳洙元首相(72)を指名した。

韓氏は経済、外交に通じ、革新・保守の両政権で要職を歴任。首相人事は国会の承認が必要なため、多数を占める革新の「共に民主党」の同意を得ることを重視し、党派色が薄く安定感のある韓氏を起用したとみられる。

 韓氏は経済官僚出身で、革新の盧武鉉政権で財政経済相と首相、保守の李明博政権で駐米大使を務めた。

記者会見した尹氏は「経済、通商、外交分野で豊富な経験を積んだ方だ」と紹介。「新政権は『経済安保時代』への備えを徹底しなければならない」と述べ、経済と外交が密接に関連する現代の課題への対応に適任だと強調した。』

国連総長、独立調査求める ブチャ民間人殺害に「大きな衝撃」

国連総長、独立調査求める ブチャ民間人殺害に「大きな衝撃」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040400159&g=int

『【ニューヨーク時事】グテレス国連事務総長は3日、ロシア軍撤収後にウクライナ首都キーウ(キエフ)郊外ブチャで、民間人とみられる多くの遺体が見つかったことについて「独立した調査によって、説明責任がしっかりと果たされることが不可欠だ」と述べた。

首都郊外で大規模虐殺の疑い ロシア軍、撤収時に地雷設置か―ウクライナ「キーウ州解放」主張

 グテレス氏は、異例の2文だけから成る声明を発表。「ブチャで殺害された民間人の画像に大きな衝撃を受けている」とも語った。ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、グテレス氏はグリフィス事務次長(人道問題担当)に人道的停戦に向けた交渉を指示するなど、仲介の姿勢を鮮明にしている。 』

前財務相が初当選 コスタリカ大統領選決選投票

前財務相が初当選 コスタリカ大統領選決選投票
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040400265&g=int

『【サンパウロ時事】中米コスタリカで3日、任期満了に伴う大統領選の決選投票が行われ、中道右派のロドリゴ・チャベス前財務相(60)が、中道のホセ・フィゲレス元大統領(67)を破って初当選を決めた。現地報道によると、フィゲレス氏は敗北を認めた。就任は5月8日で、任期は4年。

元職と前財相が決選投票へ コスタリカ大統領選

 中央選管当局によると、開票率95.2%の時点でチャベス氏は約52.9%を得票。フィゲレス氏は約47.1%にとどまっている。』

豪印、暫定FTAで合意 中国依存の引き下げで連携

豪印、暫定FTAで合意 中国依存の引き下げで連携
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0232F0S2A400C2000000/

『【シドニー=松本史】オーストラリアとインド両政府は2日、暫定的な自由貿易協定(FTA)について合意したと発表した。同日オンラインで式典を開き両国の貿易担当相が署名した。通商関係を強化し、豪印両国にとって主要な貿易相手国である中国への経済的な依存度を引き下げる。

今回の暫定FTAは「豪印経済協力・貿易協定(ECTA)」と題するもので、豪政府によると発効後に豪産羊肉や羊毛、石炭やアルミナなどの関税が撤廃される。ワインの関税も引き下げられる。今後、より包括的なFTAである「豪印包括的経済協力協定(CECA)」の妥結を目指す。

豪印は日本、米国とともに安全保障の枠組みである「Quad(クアッド)」を構成する。豪州のモリソン首相は2日の声明で「今回の協定は、我々の強固な安全保障面でのパートナーシップとクアッドでの共同努力の上に築かれたものだ」と強調した。

インド側の発表によると、同国のモディ首相もECTAにより両国は「サプライチェーンの強靱(きょうじん)性を高め、インド太平洋地域の安定に貢献することができる」と述べた。』

スリランカ、内閣大幅刷新へ 経済危機の抗議そらす狙い

スリランカ、内閣大幅刷新へ 経済危機の抗議そらす狙い
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB040SV0U2A400C2000000/

『【ベンガルール=共同】経済危機に揺れるスリランカで3日、閣僚会議が開かれ、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領と兄のマヒンダ首相を除く26閣僚全員辞任が決まった。地元メディアが伝えた。マヒンダ氏は引き続き首相の座にとどまるものの、内閣の大幅刷新で国民の不満をそらす狙いがあるとみられる。新内閣は数日中に発足する見通し。

スリランカは中国などへの債務返済に苦しみ、外貨不足で生活に不可欠な物資が輸入できなくなっている。大統領の辞任を求めて一部の市民が暴徒化。政府は1日に非常事態宣言を発令して取り締まりを強化したが、その後も抗議活動が続いていた。ソーシャルメディアの制限も3日に導入したものの、批判を受けて撤回した。

スリランカでは燃料不足が深刻で、軽油やガソリン、炊事に使うガスを買うため、多くの人が連日行列を作り、長時間にわたる計画停電も行われている。』

パキスタン、総選挙へ カーン首相が議会解散要請

パキスタン、総選挙へ カーン首相が議会解散要請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB032DH0T00C22A4000000/

『【ニューデリー=馬場燃】パキスタンのカーン首相は3日、国民向けにテレビ演説し、「下院を解散して総選挙の準備に入るようアルビ大統領に伝えた」と述べた。アルビ大統領はこれを受けて議会を解散したと表明した。カーン氏は経済低迷などを背景に、野党勢力から不信任案を突きつけられていた。パキスタンは3カ月以内に新しい首相を決めるための選挙を実施する可能性が高くなった。

パキスタンでは下院が首相を選出する。下院は同日、カーン氏に対する不信任案の投票を予定していたが、議会運営にあたった副議長が「国益に反する」との理由から却下した。
カーン氏が率いる与党パキスタン正義運動(PTI)は下院(定数342)の第1党だが、不信任案の投票では野党勢力が過半数(172議席)を得るとの見方が強まっていた。野党側は議会解散の決定の無効化を求めて最高裁判所に提訴する構えを示している。』

米台高官、国連参加へ協議 外交圧力強める中国けん制

米台高官、国連参加へ協議 外交圧力強める中国けん制
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0214Q0S2A400C2000000/

『【ワシントン=共同】米国と台湾の高官は3月31日、米首都ワシントンで会談し、国連や国際機関での台湾の参加機会拡大に向け協議した。

米国務省が1日発表した。台湾参加を阻止するために外交圧力を強める中国をけん制する狙いがあるとみられる。台湾は1971年の中国の国連加盟を受け国連から追放され、その他の国際機関からも排除されている。

ブリンケン米国務長官は昨年10月、国連加盟国に対し台湾の国連専門機関などへの参加支持を呼び掛ける声明を発表。民主主義の価値観を共有する台湾の参加実現に向け後押しを続ける構え。中国の反発は必至だ。

米側はシソン国務次官補(国際機関担当)、台湾側は駐米代表部に相当する台北駐米経済文化代表処の蕭美琴代表が参加した。

米台高官は5月の世界保健機関(WHO)総会へのオブザーバー参加や、国際民間航空機関(ICAO)への参加の可能性について集中的に協議した。公衆衛生や環境、開発援助、経済協力に関しても意見交換した。』

中国、南太平洋への進出加速 ソロモンと安保協定合意

中国、南太平洋への進出加速 ソロモンと安保協定合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM31C3F0R30C22A3000000/

『【シドニー=松本史、北京=羽田野主】中国が南太平洋への進出を加速させている。3月末、ソロモン諸島と「安全保障協定」で基本合意した。

内容は未公表だが、事前に流出した協定草案には、ソロモンが中国軍の派遣や艦船の寄港を認めるなど、高度な軍事面での協力が盛り込まれていた。地政学上の要衝での中国の動きに、オーストラリアや米国は警戒を強めている。

【関連記事】中国、ソロモン諸島と安保協定

ソロモン諸島は豪州の北東約2000キロメートルに位置する。伝統的に台湾と外交関係を持っていたがソガバレ首相が2019年に台湾と断交し、中国と国交を結んだ。以降、ソロモンは急速に親中姿勢を強めてきた。

中国外務省の汪文斌副報道局長は3月31日の記者会見で「地域の平和と安定に役に立つ」と安保協定の意義を強調した。

両国政府は内容の詳細を公表していない。ただ、3月24日にSNS(交流サイト)に流出した協定草案には「中国は必要に応じて、ソロモン諸島の合意を得て船舶の寄港や物資補給を行える」と記されていた。「ソロモンにおける中国の人員や主要事業を保護するため中国の関連部隊が利用されうる」との内容も盛り込まれていた。

ソロモン諸島に近い豪州とニュージーランド(NZ)の両国政府はこうした動きに相次ぎ警戒感を表明する。豪州のペイン外相は同25日「軍基地といった施設の設置など、地域の安定と安全を損なう行為に対して特に懸念を抱く」と強調。

NZのアーダーン首相も同28日、地元ラジオ番組で「地域安保の観点からも(中国軍の)必要性や存在意義はほとんどない」と不快感をあらわにした。

一方、ロイター通信などによるとソガバレ氏は3月29日、こうした懸念について「非常に侮辱的だ」と反発した。

ソロモンでは21年11月に中国寄りの姿勢を見せる政府に抗議するデモ隊が暴徒化し、中国系住民が多く住む地域で死者が出た。これを受け、ソロモン政府は治安維持のために中国から警察関係者を受け入れていた。

ソロモンは米国と豪州を結ぶ海上交通路(シーレーン)上に位置する。中国が米国の影響力排除を念頭に設定した、日本の小笠原諸島やグアムを経てパプアニューギニアを結ぶ「第2列島線」にも近い。

軍隊を持たないソロモンに軍事利用できる港や空港が建設されれば、米軍や豪軍の動きが中国によって把握されやすくなるリスクが高まる。

こうした対米戦略の観点もあり、中国は南太平洋への進出を模索してきた。19年に国交を結んだキリバスでは、中国が老朽化した滑走路の改修に向けた費用を支援することが分かった。

18年には中国がバヌアツに軍事基地建設を検討しているとの報道も出た。

米豪は南太平洋での中国の動きに神経をとがらせる。米国のブリンケン国務長官は2月、ソロモンに米大使館を復活させる方針を明らかにした。米政府は1993年にソロモンでの大使館を閉鎖していた。

ソロモン諸島に詳しいアデレード大学のエドワード・カバナー氏は「ソガバレ氏は中国との関係強化を通じて米豪の(懸念をあおり)支援を引き出してきた」と指摘。対中関係を米豪に対する外交カードに使っているとの認識を示す。』

中国、コロナの新規感染1万人超え 上海で拡大続く

中国、コロナの新規感染1万人超え 上海で拡大続く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM031800T00C22A4000000/

『【上海=松田直樹】中国の新型コロナウイルスの新規感染者数が1万人を超えた。新規感染の6割を占める上海市では、2地域に分けて都市封鎖(ロックダウン)を実施しているが、感染者数の増加が止まらない。

全市民を対象としたPCR検査を進めるが、結果の公表が遅れるなど混乱も出ている。市民からは外出制限の長期化を危惧する声が増えている。

中国・国家衛生健康委員会によると2日の市中の新規感染者数(含む無症状)は前日比3271人増の1万3146人だった。データを比較できる2020年4月以降で1万人を超えるのは初めて。西部で1日から都市封鎖を続けている上海市の新規感染者数は1915人増の8226人と2日連続で増加した。

上海西部では約1600万人を対象とした都市封鎖を1日午前3時から5日午前3時まで実施し、期間中に2回のPCR検査も行う。ただ、3日に予定していた2回目のPCR検査を翌日に延期するなど混乱も出ている。対象者が多く検査に時間を要しているためとみられる。

先行して都市封鎖した東部は1日未明に封鎖が解除されたが、大半の地区で現在も外出制限が続く。市民からは「西部も5日に外出制限を解除するのは不可能ではないか」と諦めの声が漏れる。

日常生活も混乱が続く。都市封鎖開始前に市政府は「スーパーのネット宅配などのサービスは継続する」としていたが、配達員が不足し利用できないケースが増えている。

2日には封鎖中の西部を中心に、野菜や肉などの生鮮品を市政府が各家庭に無償で配布するなど対応に追われている。外出ができず「コロナ以外の病気の治療ができない」という不満も出ている。

経済活動への影響も深刻だ。中国メディアによると、3月21日から休園している上海ディズニーランドは2日、チケットとホテルの新規予約の受け付けを当面停止すると決めた。再開の見通しがたたないためとしている。

独フォルクスワーゲン(VW)も上海汽車集団との合弁工場を1日から停止するなど製造業でも影響が広がっている。』

香港長官選、李家超氏が立候補か 現地メディア報道

香港長官選、李家超氏が立候補か 現地メディア報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM031C10T00C22A4000000/

『【香港=木原雄士】香港紙・星島日報など複数のメディアは3日、香港政府トップの行政長官を選ぶ選挙に警察出身の李家超・政務官が出馬する見通しだと報じた。

李氏は民主派への厳しい姿勢で知られ、大規模デモや2021年6月に廃刊に追い込まれた蘋果日報(アップル・デイリー)の取り締まりを主導した。

行政長官選挙は5月8日に行われる。中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が制度を見直した結果、親中派の推薦を受けた「愛国者」のみが立候補でき、中国に近い経済人など約1500人の選挙委員が選ぶ仕組みになった。立候補から選挙結果まで習指導部の意向が強く反映される。

現職の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は3日の記者会見で「個人の意向は適切な時期に発表する」と述べ、再選をめざすかどうか明言を避けた。複数の香港メディアによると、林鄭氏は1日、香港と隣り合う広東省深圳市で中国政府高官と会談した。選挙への対応が話し合われたとの見方が出ている。

行政長官選挙は当初3月に予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて5月に延期された。林鄭氏の任期は6月末まで。』

林鄭長官、再選不出馬を表明 香港
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040400446&g=int

『【香港時事】香港政府の林鄭月娥行政長官は4日、5月に迫った長官選挙に出馬しない意向を表明した。』

デモ抑圧の政務官が出馬か 香港長官選、警察国家化も
https://www.sankei.com/article/20220403-ZFI6IIVMF5KYVAS7CBEW2DCVVA/

『香港紙、星島日報電子版は3日、5月8日に実施される行政長官選挙について、消息筋の話として、2019年の反政府デモを強硬に抑圧した警察出身の政府ナンバー2、李家超政務官が出馬する可能性が極めて高いと報じた。

李氏が当選すれば、1997年の英国から中国への香港返還以降、警察出身者が政府トップに初めて就任する。香港国家安全維持法(国安法)により統制が進んでおり、「警察国家」化への懸念も高まりそうだ。

現職の林鄭月娥行政長官は再選を目指すかどうか明言しておらず、3日の定例記者会見でも「(出馬を巡る)個人の意向は適当な時期に発表する」と述べるにとどめた。

林鄭氏は2017年7月に行政長官に就任、今年6月末に5年の任期が満了する。次期行政長官選の立候補受付期間は今月3日に始まったが、まだ立候補の届け出はない。同紙によると、李氏以外にも1人が出馬する可能性があるという。(共同)』

米、インドと対ロ制裁協議 商工相らに協力要請か

米、インドと対ロ制裁協議 商工相らに協力要請か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0214W0S2A400C2000000/

『【ワシントン=共同】米ホワイトハウスは1日、シン大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)がインドを訪問し、ゴヤル商工相らと会談したと発表した。「ロシアに対する制裁の目標と仕組みを協議した」としており、インドに制裁への協力を要請した可能性がある。

ウクライナに侵攻したロシアに対する欧米主導の経済制裁に、インドは加わっていない。
ロシアのラブロフ外相は1日、インドのジャイシャンカル外相と会談し、エネルギー分野での2国間協力を進める意向を表明した。米国には、インドがロシア産原油などの購入を続ければ制裁の効果が弱まるとの懸念がある。

シン氏は商工相のほか、インド外務省幹部や安全保障の担当者と会談。食料やエネルギー供給での協力、バイデン米大統領が提唱するインド太平洋地域の経済枠組みなども話し合った。ホワイトハウスは「対話は生産的なもので、協議の継続で一致した」としている。』

中国企業の監査、外国当局が検査可能に百度など上場廃止回避狙う

中国企業の監査、外国当局が検査可能に
百度など上場廃止回避狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM022UK0S2A400C2000000/

『【上海=土居倫之】中国証券当局は2日、外国当局による中国企業の監査内容の立ち入り検査を認めると発表した。

中国はこれまで国家安全を理由に検査を拒否しており、中国企業が多く上場する米国が強く反発。インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)など複数の中国企業が米国市場を上場廃止となる可能性が高まっていた。米国への事実上の譲歩で問題解決を狙う。

ただ中国は機密情報を守るよう企業に強く求めており、今後は米国側の対応が焦点となる。

中国証券監督管理委員会が2日、新しい規定の意見公募(パブリックコメント)を始めた。

従来の規定にあった「立ち入り検査は中国当局が行うか中国当局の検査に依拠する」との表現を削除した。

外国当局が中国で行う調査・検査には、中国が必要な援助を提供するという。一方、外国上場の中国企業には機密情報の適切な管理と国家情報安全への協力を求める。

中国企業の外国上場を巡っては、米国が、外国企業説明責任法にもとづき、監査状況についての米当局の検査を求めていた。

米証券取引委員会(SEC)は3月以降、百度のほかSNS(交流サイト)大手の微博(ウェイボ)など複数の中国企業を上場廃止警告リストに加えていた。

ゲンスラー米SEC委員長は3月30日の米ブルームバーグ通信とのインタビューで米側は譲歩しない姿勢を示していた。』

米「中国、安保上の優先事項」強硬姿勢緩めず 商務次官補

米「中国、安保上の優先事項」強硬姿勢緩めず 商務次官補
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0223J0S2A400C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権が最重要の戦略的競争相手とみなす中国について、1日、日本経済新聞の取材に応じたケンドラー米商務次官補は「中国軍の近代化は米国の安全保障上で(対処すべき)優先事項だ」と強調した。先端技術が軍事力向上に使われるのを防ぐため、禁輸対象の企業を増やすと説明した。

【関連記事】米主導の対ロシア輸出規制 商務次官補「参加国拡大へ」

目下政権はウクライナ情勢への対応に追われるが、「ロシアは米国(の政策)を転換していない」と述べ、変わらず中国に厳しく臨むと表明した。

米国が警戒するのは、中国がめざす半導体の自給率引き上げだ。

議会では、中国の半導体受託生産最大手である中芯国際集成電路製造(SMIC)への制裁を強化すべきだとの声がある。ケンドラー氏は「輸出規制は非常に素早く対応できる。あらゆる選択肢を排除しない」と語った。

米政府は2018年に成立した輸出管理改革法に基づき、中国やロシアなどに実用化前の新興技術が流出しないよう規制する義務を負った。

議会では政府の対応が不十分だとの批判があるが、ケンドラー氏は「(政府は規制すべき)新興技術を特定するために、一貫して広い網をかけてきた。今後も続けていく」と反論した。

日米は1月にオンラインで開いた首脳協議で経済版の閣僚協議「2プラス2」を創設し、経済安保で連携することで一致した。

ケンドラー氏は「ともに輸出規制の効力を高めるために様々な形で情報を共有できる」と述べ、日米連携の強化に意欲をみせた。対中国を念頭に、ハイテク輸出規制の手法で足並みをそろえる。』

米政権、リベラル派へ配慮 核巡航ミサイル開発中止へ

米政権、リベラル派へ配慮 核巡航ミサイル開発中止へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN030BF0T00C22A4000000/

『【ワシントン=中村亮】バイデン米政権が新型の核巡航ミサイルの開発計画を打ち切る背景には、核軍縮を訴える与党・民主党のリベラル派への配慮がある。

中国やロシアと軍縮対話のメドは立たず、オバマ元大統領から引き継いだ「核なき世界」の実現はさらに遠のいていた。

バイデン政権は2021年3月に公表した国家安全保障戦略の暫定版で「核兵器の役割を下げる手段を講じる」と明記した。国防総省が月内にも全容を公表する「核体制の見直し」で、その具体策を示す段取りを描いた。

だが見直しの過程では同盟国が核の役割低下に相次いで懸念を示し、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて米政権は抑止力維持を優先する方向が決定的になった。

3月末に公表した核体制の見直しの概要では、核使用を原則として核攻撃に対する反撃に限る「唯一の目的」と呼ばれる構想の採用を見送る方針を明らかにした。

民主党のリベラル派は反発した。エドワード・マーキー上院議員は25日、唯一の目的の見送りが報じられると「バイデン大統領は軍事戦略において実存する核兵器の役割を減らす歴史的機会を逃した」と苦言を呈した。

核巡航ミサイルの開発中止に、こうしたリベラル派の不満を和らげる意図があるのは明らかだ。

米議会予算局(CBO)は核巡航ミサイルとその核弾頭の開発コストについて30年までに100億ドル(約1兆2200億円)と推計。開発を中止すれば、国防費を減らして社会保障やインフラ整備などに使うよう求めるリベラル派の意向に沿う形になる。

開発中止は核軍縮に向けて最低限のノルマを達成したにすぎない。バイデン政権は、オバマ政権がまとめた核兵器の近代化に30年間で1兆ドルを投じる計画をおおむね踏襲する。小型核弾頭を搭載する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の配備も続ける方向だ。

大胆な核戦力の削減を進められないのは、ロシアや中国との核軍縮協議の進展が見込めないからだ。ロシアとは軍縮について話し合う「戦略的安定に関する対話」の再開のめどが立たない。

欧州ではロシアの核兵器への警戒感が高まっている。ポーランドのトマシュ・ザットコウスキー駐北大西洋条約機構(NATO)大使は3月下旬の日本経済新聞の取材で、ロシアが隣国のベラルーシに核兵器を配備するシナリオに言及したうえで「ゲームチェンジャーだ」と危機感を表明。NATOとして核態勢の強化を迫られると言明した。

中国をめぐっては、バイデン米大統領が21年11月に習近平(シー・ジンピン)国家主席とオンラインで協議して核軍縮やサイバーに関する高官協議を提案したが、具体的な動きは乏しい。

中国は米国のミサイル防衛の高度化に危機感を強め、ミサイル開発を進めているとされる。

国防総省は21年、中国が10年間で核弾頭数を5倍に増やして1000発を保有すると予測した。それでも中国は米国に比べて核弾頭の保有数が少ないため、核軍縮への参加に慎重な姿勢を貫いている。

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

渡部恒雄のアバター
渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
コメントメニュー

ひとこと解説

核軍縮を進めるためには、まずは対抗する関係国がほぼ同規模の戦略を持たなければ削減への交渉が始まりません。

中国が核軍縮交渉に後ろ向きな理由です。遠回りのようですが、まずはこれまで核軍縮条約に縛られていない中国と核戦略で互角にならなければ、中国は核軍縮交渉には乗ってこないでしょう。

全体の核弾頭数では米国が中国よりも大きいのですが、我々が暮らす北東アジアの戦域においては、核弾頭を搭載できる中国の中距離弾道ミサイルが配備されていますが、INF全廃条約の影響で米国の中距離弾道ミサイルの配備はゼロです。

米国の巡航ミサイル開発断念は日本にとっては懸念材料です。

2022年4月4日 8:10

上野泰也のアバター
上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
コメントメニュー

ひとこと解説

バイデン政権による新型核巡航ミサイル開発計画打ち切りは、核軍縮に向けた前向きな一歩ではなく、記事にある通り、民主党内のリベラル派に対する配慮、党内のバランス維持に腐心せざるを得ないバイデン大統領の苦心の策と言える。

バイデン政権は上院の議席数、さらには党内のリベラル派と穏健派の双方を納得させる道筋の模索に苦労し続けている。

ウクライナに侵攻したプーチン大統領は核戦力の使用をつらつかせて(※ 原文ママ)おり、北朝鮮には核実験再開を準備している兆候がある。「核なき世界」はむしろ遠のいているのが実情である。

2022年4月4日 7:48 』

バイデン米政権、核巡航ミサイルの開発中止へ

バイデン米政権、核巡航ミサイルの開発中止へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0246C0S2A400C2000000/

『【ワシントン=中村亮】バイデン米政権は新型の核巡航ミサイルの開発を打ち切る方針を固めた。巡航ミサイルは飛行機のように自力飛行するため弾道ミサイルよりも命中精度が高く、核戦力増強を打ち出したトランプ前政権が新型の開発計画を打ち出していた。計画を撤回しても中国やロシアへの抑止力は確保できると判断しており、世界各地で後退する軍縮の機運をつなぎ留める狙いがある。

国防総省高官が日本経済新聞の取材で「開発計画は撤回された」と明言した。国防総省は4月中にも核政策の指針である「核体制の見直し」の全容を発表する。

見直しでは、低い高度で飛行する「海洋発射型の核巡航ミサイル」と、爆発力を抑えた「小型核弾頭」の扱いが焦点になった。ともにトランプ政権がロシアや中国への抑止力を支える追加戦力として開発に着手し、主に潜水艦での搭載を想定している。都市部への大規模攻撃ではなく、敵国の軍事基地や重要施設に対する限定攻撃を念頭に置く。

高官は「米国は敵の限定的核使用を抑止するために多様な核戦力を維持している」と説明。高い開発コストにも触れて、核巡航ミサイル開発の優先度が低いとの見解を表明した。
一方で米政権は中ロへの抑止力を確保するため、小型核弾頭の配備は続ける方向だ。核体制の見直しの内容を知る別の関係者が明らかにした。米海軍は2020年初めまでに小型核を潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に実戦配備している。

国防総省高官は核巡航ミサイルの開発中止の理由として「SLBM搭載の小型核が抑止力に貢献している」と語った。小型核を搭載したSLBMの戦力などを増強すれば、核巡航ミサイルを新たに開発しなくても十分な抑止力を維持できるとの考えを示した発言だ。

バイデン政権は開発中止により、「核なき世界」を掲げた民主党のオバマ元大統領の路線への回帰を訴える。オバマ氏は10年に世界の核軍縮を主導するとして核巡航ミサイルの廃棄を表明した。ただ、共和党のトランプ政権は18年に開発再開を宣言し、30年ごろまでの配備を目指した。

「核なき世界」への道は近年、険しさを増すばかりだ。中国は核戦力の増強を加速し、ロシアはウクライナで核使用の可能性を排除しない構えをみせる。米政権も抑止力の維持を優先し、核使用を原則として核攻撃に対する反撃に限定する構想の見送りを決めている。』

米バイデン政権、新たな環境規制に本腰 企業は身構え

米バイデン政権、新たな環境規制に本腰 企業は身構え
ワシントン支局 長沼亜紀
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN250270V20C22A3000000/

『米国でフッ素化合物「PFAS(ピーファス)」汚染への関心が高まっている。環境と健康に有害との理解が広まり、バイデン政権が「有害物質」への指定など規制強化に本腰をあげた。企業・事業者は今後重い責任を問われる可能性があり、身構える。小売業ではすでにPFAS使用廃止の動きが広がっている。

「汚染から人々を守り、汚染者に責任を負わせる」。環境保護局(EPA)のリーガン長官は昨秋、2024年までに広範囲で進める規制作りの工程を示した「戦略ロードマップ」を発表し、こう意気込んだ。PFAS規制強化はバイデン大統領の選挙公約だ。

ロードマップによると、EPAは「包括的環境対策・補償・責任法(CERCLA)」に基づく有害物質の指定、飲料水の安全規制の制定、環境水質基準の設定、毒性評価や健康指針の発表などを計画しており、すでにPFAS化合物製造企業への毒性検査の義務付けや飲料水のモニタリング対象の拡大など、着々と取り組みを進めている。
実話に基づく映画が世論を喚起 

PFASはパーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル化合物群の総称で、数千以上の種類があるとされる。水や油をはじく、熱に強い、薬品に強いといった特性があり、1950年代以降、防寒服、レインコート、食品パッケージ、消火剤などに利用されてきた。焦げ付きにくいフッ素樹脂加工のフライパンはPFAS利用の一例だ。

便利な化合物だが、廃棄後分解されるまでに長い時間がかかり、自然界に残り続けることから「フォーエバーケミカル」と呼ばれる。生産加工、流通、使用、廃棄のすべての過程で環境に放出され、除去は難しい。人体には飲料水や大気、土壌、食品、衛生用品、ハウスダストなどを通じて取り込まれる。生体内で蓄積されやすく、出生異常、がん、甲状腺疾患、免疫機能の低下などとの関連がわかっているが、種類が多く毒性レベルやそれぞれの影響の詳細は明確にはなっていない。

PFAS汚染への世論の関心を高めるのに一役買ったのが映画「Dark Waters(ダーク・ウォーターズ  巨大企業が恐れた男)」(2019年)だ。化学大手米デュポンの工場から廃棄されたPFASの一種の化学物質パーフルオロオクタン酸(PFOA)が河川に流れ込み、汚染水を飲んだ住民ががんなどにかかった事例を扱った。

住民は1999年以降訴訟を起こすが、当時規制されていなかったPFOAで企業責任を問うのは困難を極めた。しかし原告側弁護士はついに、デュポンが内部調査の結果、PFOAで出生異常が引き起こされる可能性を認識していたことを突き止める。最終的に2017年、デュポンが計6億7100万ドル(約820億円)を支払うことで和解した。
土壌や牧草、ミルクが高濃度のPFASに汚染されていることがわかり、酪農家はミルクを販売できなくなった(米メーン州)=ロイター

米国ではミシガン州、ニュージャージー州などでも住民や農家、州政府が企業の責任を訴訟で問う例が増えている。
廃止に動く外食チェーンや小売店

政権の規制強化の動きに水道事業者や企業などは身構えている。例えば、飲料水の規制は最大許容濃度という形で設定されるとみられるが、その他の有害汚染物質よりケタ違いに低い基準が定められる可能性が高く、水道事業者は技術的に容易ではない検出・除去に取り組まなければならない。またCERCLAに基づく有害物質に指定されれば、企業は排出報告が義務付けられ、汚染浄化にかかるコストを負担しなければならなくなる。

新たなデータや基準、規則に基づく訴訟のリスクが一段と高まるため、環境法の専門家らは「衝撃に備えよ」と警告している。米大手法律事務所ピルズベリーはリポートで「企業は先を見越してPFASとのつながりを解明し、責任負担を緩和する措置を考慮すべきだ」と進言している。

一方、消費者の関心の高まりを受け、製造業者や小売大手はPFAS廃止に向けて動いている。すでに「マクドナルド」や「タコベル」などのレストラン、「ホールフーズ」などの食料品店、「オフィス・デポ」(事務用品)や「REI」(アウトドア用品)などの小売店がPFASが使われた食品パッケージ、家具、衣料品などの取り扱いの禁止・段階的削減を約束しているほか、2月には「ミリケン」(繊維化学)が年内にPFASを含む繊維製品の全廃、3月には「バーガーキング」(レストラン)が25年までにPFASを含む食品パッケージの廃止を発表した。

米ノートルダム大学が北米で販売されている化粧品を調べたところ、口紅の55%、ファンデーションの63%にPFASの含有がみとめられた。国内ではカリフォルニア州やメリーランド州などですでに化粧品へのPFAS添加を禁じる州法が成立している。連邦議会でも同様の法案が提出されており、年内にも成立する可能性がある。

化学物質に関する消費者啓発に取り組む非営利団体「Toxic-Free Future」(トクシック・フリー・フューチャー)のマイク・シェイド小売業担当ディレクターは、「5年前ならPFASの代替品を探すのが難しかったが、この数年で大きく変わった」と指摘。グローバルに展開している企業が消費者や環境団体の圧力を受けてPFAS廃止に取り組み始めたことから「このトレンドは、日本を含め世界に広がる」と予想している。

【関連記事】
・米国、30年に電動車5割 脱ガソリンを政策で誘導
・13都府県の河川で基準超過 有機フッ素化合物、国調査
・米デュポンとケマーズ、水質汚染訴訟で和解金支払い 765億円
・日華化学、抗ウイルス商品を育成 衣料品向け低迷補う
・小松マテーレ、はっ水効果5倍に高めた新素材 環境にも配慮 』

ウクライナ穀物輸出4分の1に 黒海封鎖、足止め100隻

ウクライナ穀物輸出4分の1に 黒海封鎖、足止め100隻
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR034EX0T00C22A4000000/

【ウクライナ危機!食料安全保障とこの国のかたち】シカゴ穀物相場は乱高下し、夏場に過去最高値も(2) 資源・食糧問題研究所 柴田明夫代表
(2022年3月5日)
https://www.jacom.or.jp/nousei/rensai/2022/03/220305-57309.php

ウクライナの穀物輸出港
(2021年12月23日)
http://www.hattorimichitaka.net/archives/56340565.html

『今般マスコミから、ロシア・ウクライナの軍事対立が穀物市場にどのような影響を及ぼすかという問い合わせを受けた。正直言って、あまり鋭い問題意識とは思えなかったが、一応それに対応するために少しデータなどを整理してみた。

 上図は、ウクライナの穀物輸出が、どの港から行われているかをまとめたものである。
チョルノモルスク、ピヴデンヌィ、オデッサといういわゆる大オデッサ3大港と、ミコラーイフが大部分を占めており、これらはウクライナ南西部に位置するので、仮にロシア・ウクライナ国境で限定的な軍事衝突があっても、穀物輸出へのロジスティクス上の影響はなさそうである。

ベルジャンスク、マリウポリはアゾフ海の港で、もし仮に戦乱などということになったら、ロシアが押さえているケルチ海峡を通過するのに支障が生じないとも限らないが、それはあくまでも紛争が深刻化した場合の事態だし、他の港にシフトすることも可能かと思われる。

 もちろん、大規模な戦闘で住民が逃げ出すとか、カントリーエレベーター(穀物貯蔵施設)や鉄道が破壊されるとか、そんな事態にまで至れば、話は別である。』

黒海地域の国際関係
https://books.rakuten.co.jp/rb/14662893/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_103_1_10000645

『内容紹介(「BOOK」データベースより)

西欧・ロシア・中東の狭間に位置し、歴史上つねに国際政治の焦点だった黒海。

冷戦後のEU/NATOとロシアの綱引きのなか、紛争や跨境性を伴いつつトルコ、ウクライナ、ジョージア、バルカン諸国等が織りなす地域の動態を、外交・経済から宗教まで多面的に分析、その全体像を描き出す。世界政治のフォーカルポイント。

目次(「BOOK」データベースより)

第1部 黒海の地域性ー域内協力と域外関係(黒海国際関係の歴史的展開ー20世紀初頭まで/20世紀黒海地域の国際政治/冷戦後の黒海国際政治/黒海地域の経済協力と国際経済関係)/

第2部 域内国際関係(ロシアの政治変動と外交政策/トルコの政治変動と外交政策/ウクライナの政治変動と外交政策/南コーカサスの政治変動と外交政策/バルカンの政治変動と外交政策)/

第3部 黒海地域の主要課題(長期化する紛争と非承認国家問題/宗教とトランスナショナリズムーレニンゴル、沿ドニエストル、クリミアに共通するもの/輸送・商品・エネルギーの経済関係ーロシアとウクライナの角逐を中心に/企業のトランスナショナリズムーロシアの天然ガスとウクライナ)

著者情報(「BOOK」データベースより)

六鹿茂夫(ムツシカシゲオ)
1952年名古屋市に生まれる。1978年上智大学大学院外国語学研究科国際関係論専攻修士課程修了。1985年ブカレスト大学大学院法学研究科博士課程修了。現在、静岡県立大学大学院国際関係学研究科教授、同附属広域ヨーロッパ研究センター長、日本黒海学会会長、博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

黒海地域の国際関係 単行本 – 2017/1/30
六鹿 茂夫 (編集)
https://www.amazon.co.jp/%E9%BB%92%E6%B5%B7%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%AE%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%96%A2%E4%BF%82-%E5%85%AD%E9%B9%BF-%E8%8C%82%E5%A4%AB/dp/4815808635

『世界政治のフォーカルポイント——。西欧・ロシア・中東の狭間に位置し、歴史上つねに国際政治の焦点だった黒海。冷戦後の EU/NATO とロシアの綱引きの中、紛争や跨境性を伴いつつトルコ、ウクライナ、ジョージア、バルカン諸国等が織りなす地域の動態を、外交・経済から宗教まで多面的に分析、その全体像を描き出した本邦初の著作。

【書評】
・『ロシアNIS調査月報』(2017年8月号、評者:中馬瑞貴氏) 』

『著者について
【編者】
六鹿 茂夫(むつしか しげお)

名古屋市に生まれる(1952年)。上智大学大学院外国語学研究科国際関係論専攻修士課程修了(1978年)、ブカレスト大学大学院法学研究科博士課程修了(1985年)、現在は静岡県立大学大学院国際関係学研究科教授、同附属広域ヨーロッパ研究センター長、日本黒海学会会長、博士(法学)。

著書に、『ルーマニアを知るための60章』(明石書店、2007年)、『グローバル・ガヴァナンス論』(共編、法律文化社、2014年)、『国際関係学への招待』(共編、三恵社、2003年)。

【執筆者】(執筆順)

六鹿 茂夫(編者紹介参照、序章、第2章、第3章) 黛 秋津(まゆずみ あきつ)
東京大学大学院総合文化研究科准教授、第1章

上垣 彰(うえがき あきら)
西南学院大学経済学部教授、第4章・終章

横手 慎二(よこて しんじ)
慶應義塾大学名誉教授、第5章

間 寧(はざま やすし)
ジェトロ・アジア経済研究所地域センター中東研究グループ長、第6章

末澤 恵美(すえざわ めぐみ)
平成国際大学法学部准教授、第7章

廣瀬 陽子(ひろせ ようこ)
慶應義塾大学総合政策学部教授、第8章・第10章

月村 太郎(つきむら たろう)
同志社大学政策学部教授、第9章

松里 公孝(まつざと きみたか)
東京大学法学部教授、第11章

服部 倫卓(はっとり みちたか)
ロシアNIS貿易会ロシアNIS経済研究所調査部長、第12章

安達 祐子(あだち ゆうこ)
上智大学外国語学部准教授、第13章

(所属等は初版第1刷発行時のものです。) 』