EU・中国が首脳協議、習氏「自主的な対中政策」要求

EU・中国が首脳協議、習氏「自主的な対中政策」要求
米との協調けん制、EUは対ロシア支援で警告
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『【ブリュッセル=竹内康雄、北京=羽田野主】欧州連合(EU)と中国は1日、テレビ電話形式の首脳協議を開いた。ロシアのウクライナ侵攻に関して、EUは中国にロシアを支援しないよう求め、制裁の抜け道を使わないよう警告した。習近平(シー・ジンピン)国家主席は欧州側の「自主的な対中政策」を要求し、米国と同調して対中圧力を加えないようくぎを刺した。

中国国営中央テレビ(CCTV)によると、習氏は「中欧は不安定な世界情勢に安定要因を提供すべき」と述べ、経済制裁などを通じた米欧主導のロシア包囲網をけん制した。

習氏は「中欧は幅広い共通の利益と深い協力基盤を有しており、協力と調和こそが問題を解決する」とも述べた。「欧州側が自主的な対中認識を形成し、自主的な対中政策を進め、中国側と共に、中欧関係の安定した発展を共同で推進することを望んでいる」と中国に対する厳しい姿勢を見直すよう迫った。

首脳協議では、EUのミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長が、習氏と李克強(リー・クォーチャン)首相とそれぞれ別に話し合った。首脳同士の対話は2020年12月にEUと中国の投資協定で大筋合意して以来だ。

協議後の記者会見で、ミシェル氏はロシアによるウクライナ侵攻が世界の安全保障と世界経済の脅威となっている認識を習氏と共有したと表明。そのうえで「中国に戦争終結に向けて役割を果たすよう促した」と説明した。

フォンデアライエン氏は「中国は我々の制裁を妨げるべきではない」と伝えたと明かした。EU高官は3月31日、中国がロシアに軍事支援をしたり、制裁を回避したりしている「確固たる証拠はない」と記者団に説明。こうした行為が確認されれば「もはや(中国は)中立とはいえない」と語った。

EUは首脳協議でロシアへの協力が確認された際の制裁などには触れなかったもようだが、内部ではハイテク部品の供給制限などを議論している。

EUが中国のロシア支援を懸念するのは2つの理由がある。一つは経済大国の中国がロシアを助ければ制裁の実効性が薄れることだ。もう一つは中国がロシア側につけばすでに悪化しているEUと中国の関係の改善が一段と遠のくことだ。

このところEUと中国の関係は悪化を続けている。21年3月には中国での少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害にあたるとして中国の当局者らに約30年ぶりに制裁を科した。中国は即座に反発し、報復制裁を発動した。

リトアニアが台湾との関係強化に動き、中国は事実上の貿易制限措置を導入。EUが世界貿易機関(WTO)に提訴する事態にも発展した。関係悪化から、20年12月に大筋合意した投資協定の批准に向けた手続きは事実上止まっている。

それでもEUは中国との関係悪化に歯止めをかけたいのが本音だ。EUの20年のモノの貿易額をみると、輸入では中国はロシアの4倍、輸出では2.5倍で景気浮揚には中国との通商関係は欠かせない。

実際、ドイツなどを中心に中国がロシアに協力しないことを確認できれば投資協定の手続きを再開すべきだとの声がある。李氏は1日、投資協定の批准手続きを進めるよう呼びかけた。

気候変動や新型コロナ対策でも、中国なしに実効性のある対策を打ち出すのは難しい。3月31日にはEUと中国のエネルギー担当の閣僚がエネルギーのクリーン移行を話し合った。
もっとも、習指導部も米国との長期対立をにらむ上で、EUとの関係修復は欠かせないとみている。中国共産党系の環球時報は3月31日付の紙面で「中国とEUの首脳協議は動揺する世界のためにチャンスをもたらす」と主張した。EUが米国の「新冷戦」戦略に乗らずに中国と経済連携を進めることがお互いの経済発展につながると強調した。

中国外交を専門にする北京のある大学の教授は「カギを握るのはドイツだ。ドイツを取り込めばEUの周辺国はついてくる」と語る。自動車分野など中国の巨大な市場のさらなる開放をちらつかせて引き込む戦略をとるとみられる。

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