政策不確実性指数の最近の動向

政策不確実性指数の最近の動向
https://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/19022801.html

 ※ オレの言ってる、「パラメータ」の「神髄」がここにある…。

 ※ 頭のいいヤツは、大したものだな…。

『政策不確実性指数のとらえ方

この政策不確実性指数を開発したのは、ノースウェスタン大学のBaker、スタンフォード大学のBloomそしてシカゴ大学のDavisの3人の経済学者です。

彼らは政策の不確実性を定量化するため新聞報道の頻度に注目しました。政策をめぐる不確実性が蔓延しているときには、恐らくそのことについて報じられることが多いはずだと考え、政策の不確実性に言及する記事をカウントし、その件数の大小から政策の不確実性の度合いを捉える方法を考案しました。

彼らがどのようなことについて書かれた記事を集めたかというと、大きく分けて4つあります。

1つ目に、が政策を決めるかという不確実性です。

2つ目に、どういう内容の政策がいつ取られるのかという不確実性です。

3つ目に、政策効果に関する不確実性です。例えば、為替介入の効果があるのかないのか、あるいは中央銀行が新たに導入した政策の効果は大きいか小さいかという不透明性です。

4つ目に、政策が取られなかったことで生じる経済の先行き不透明性です。

ここで着目する政策は、経済政策だけに限りません。安全保障政策が経済の先行きを不透明にする場合もあります。

このため、彼らは安全保障政策も政策分野の1つとして含めています。例えば、2002年に米国がイラク攻撃をする可能性が高まった中で、連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長は「米国の安全保障政策によって経済の先行きに不確実性が増している」と警告しました。これは安全保障政策における2つ目と3つ目のことを端的に表す一例です。

政策不確実性指数の作り方

米国の指数を作るために、彼らは主要10紙に掲載された記事の中から、3つのカテゴリーの用語を少なくとも1つずつ含む記事を収集しました。

1つ目は「経済」に関するカテゴリーの用語(economiceconomy)、2つ目は「不確実性」に関するカテゴリーの用語(uncertainuncertainty)、3つ目は「政策」に関するカテゴリーの用語(regulationlegislationcongresswhite housedeficit、federal reserve)です。そして収集された記事の件数を基に指数を算出しました。

ここで重要なのは、「政策」に関するカテゴリーの用語です。これら6語は彼らが思いつきで選んだ用語ではありません。彼らやリサーチアシスタントの学生が実際に多くの新聞記事を読んで得られた結果を基に選び出された用語セットです。

彼らがどのようにしてこれらの用語を採用したかというと、まず「経済」と「不透明」のカテゴリーの用語を含む記事の中からランダムに約3700記事を抽出します。

そしてその記事1つ1つを読み、その記事が先ほど挙げた4つの不確実性について書いているかどうか判定します。もし、そのことについて書いていれば、そこで使われている政策に関係する用語を漏れなく記録します。

この作業を全ての記事について行うことにより、政策の不確実性について書かれた記事ではどういう用語がよく使われているかが分かります。

彼らは出現頻度が高い15個の用語を特定しました。その15語を「政策」のカテゴリーの用語候補として採用し、それらを使って約32000通り用語セットを作りました。

そして、それぞれの用語セットについて人間が記事を読んで判定した結果とコンピュータによる記事の分類結果を照合したところ、両者がもっとも似通うのが先ほどの6語からなる用語セットでした。このことから用語数が多ければ多いほど良いというわけではないことが分かります。

先ほど示した用語セットを基に作った指数と人間が記事を読んで判定した結果を基に作った指数は合致しません。

例えば、1987年のブラックマンデーのときは、人間による判定結果を基にした指数の方が低いです。

一方、2010年代前半の「財政の崖」の時は、逆に人間による判定結果を基にした指数の方が高いです。

しかし、全体的に見ると、両者は期間を通じておおむね似た動きをしています。このため、1980年代から現在までずっと同じ用語セットを使っています。

個別政策の指数の作り方

彼らは、通商政策、財政政策、金融政策など特定の分野に焦点を当てた指数も作っています。

具体的には、先ほどの3つのカテゴリーの用語に加え、関心のある政策分野に関係する用語を検索条件に追加して記事検索を行い、そうして得られた記事を基に指数を作ります。
例えば、通商政策不確実性指数を作る場合、「経済(Economy)」「政策(Policy)」「不確実性(Uncertainty)」のカテゴリーの用語に加えて、通商政策に関する用語を検索条件に追加で入力し記事検索を行います。

全体の指数を作るときとの違いは、記事を収集する新聞の数です。全体の指数では主要10紙に掲載された記事が利用されていますが、個別の政策の指数では地方紙を含む2000以上の新聞に掲載された記事が利用されています。

これまで述べてきた手法を用いて、彼らは米国以外の国の指数も作っています。しかし、そのときに起こる問題の1つは、「政策」に関するカテゴリーの用語をどう選び出すかです。

日本の政策不確実性指数の作り方

日本では主要4紙(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞)に掲載された記事を基に指数を作っています。

どういう用語を使っているかというと、Economyのカテゴリーは「経済」「景気」の2つ、Uncertaintyのカテゴリーは「不透明」「不確実」「不確定」「不安」の4つです。

そして、Policyのカテゴリーは「税制」「課税」「歳出」「財政」など32個の用語です。
ここで、Policyのカテゴリーの用語は米国のように実際に新聞を読んで選び出したものではありません。

米国のPolicyのカテゴリーの用語を決めるときに候補に挙がった15個の用語に対応する日本語を採用しています。

本来は米国と同様の方法で用語セットを作るべきですが、現在は対応できていません。しかし、私たちはこれから約2000記事を1つ1つ丁寧に読み、用語セットの改良を行おうと計画しています。

EconomyとUncertaintyのカテゴリーの用語については、新聞社が提供している英語版の記事を利用して、日本語版の記事と照合することにより利用頻度が高い用語を選び出しています。

私たちも、個別の政策の不確実性に関心があったので、財政政策金融政策通商政策、そして為替政策の不確実性指数を作りました。作成方法は米国と全く同じです。

すなわち、Economy、Policy、Uncertaintyのそれぞれのカテゴリーの用語に加えて、個別の政策に関係する用語を検索条件に入力して記事検索を行います。

例えば、通商政策不確実性指数を作るために、私たちは「貿易摩擦」「通商摩擦」「通商問題」「非関税障壁」などの用語を採用しました。

これらの用語は、1987年以降の「経済白書」や「経済財政白書」を注意深く読み、通商政策について書かれているところでよく出てくる用語から選び出したものです。全体の指数を作るときと同様に朝日、日経、毎日、読売の4紙から記事を収集しています。

(※ 以下、省略)』