ロシアの戦費増大、高額兵器投入が背景 停戦協議に影響

ロシアの戦費増大、高額兵器投入が背景 停戦協議に影響
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR270DI0X20C22A3000000/

 ※ 『ロシアはウクライナで様々な兵器を使用することで、輸出先の国々に「効果」を見せている可能性がある。兵器は天然資源と並ぶロシアの主要な輸出品だ。ウクライナでは同国にトルコが軍用のドローン(無人機)を提供し、ロシア側に大きな損害を与えている。トルコはアジア向けを含め、輸出拡大を目指している。』…。

 ※ まあ、ヤレヤレな話しだ…。

 ※ 「戦争」が、「兵器技術」の進歩の「実験場」であるのは、いつの時代でもだ…。
 ※ 「矛(ほこ)と盾(たて)」の故事を、引くまでもない…。

『ウクライナに侵攻したロシアの戦費がかさみ、同国経済を圧迫している。背景には作戦の長期化による補給の拡大、膠着の打破を目指す高額の「新兵器」の投入がある。兵器の主要な輸出国であるロシアが実戦を通じ、顧客の新興国などに性能を示す思惑もある。米欧の制裁も加わってロシア経済は揺らぎ、停戦協議に影響を与えそうだ。

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米経済誌フォーブス(ロシア語版)はウクライナ軍の情報による試算として、ロシアが2月24日の侵攻開始から16日間で計51億ドル(約6200億円)の軍需品を失ったと報じた。戦車などの軍用車両、戦闘機などを含む。

欧州のシンクタンク、CIVITTAなどが3月上旬にまとめた報告書によると、ロシア軍が侵攻の当初4日間で失った兵器や兵員のコストは70億ドル。戦闘に関連するすべてのコストは1日あたり200億~250億ドルにのぼるという。

この数字がどこまで実態を表しているのか明確でないが、その後も多額の戦費をロシアは支出している。同国経済の大きな負担になっているのは確実だ。世界銀行によると、2020年のロシアの名目国内総生産(GDP)は約1兆5000億ドルだった。

戦費が膨らむ背景にはロシアによる高額兵器の投入がある。ロシア国防省は3月18日にあったウクライナ西部イワノフランコフスク州の地下軍事施設に対する攻撃で「極超音速ミサイル『キンジャル』を使った」と表明した。米欧には極超音速兵器でないとの見方もあるが、同省は同月20日にもキンジャルをウクライナで使用したと主張した。

極超音速ミサイルは米国、中国、北朝鮮なども開発を進めている最新鋭兵器だ。敵の迎撃ミサイルをかわす効果が高い。ロシア側によると、18日はミグ31戦闘機がウクライナ南部のクリミア上空から発射し、おおむね東京―福岡間の1000キロメートルを超える距離を10分かからずに飛行した。

標的になった武器庫はウクライナが旧ソ連時代に核弾頭の貯蔵に利用するほど頑丈に造られていたが、破壊されたもようだ。

米欧防衛当局は、ロシアが殺傷能力が非常に高く、多くの民間人も巻き込む燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)やクラスター弾もウクライナで使ったと批判している。

ウクライナの戦況は膠着している。ロシア軍はウクライナの首都キーウ(キエフ)の包囲を緩め、占領地を広げている同国東部へ部隊の一部を移動させている。春になって気温が上がるにつれ、ウクライナでは雪解け水によるぬかるみが広がり、戦車を軸とするロシアの地上部隊の動きは鈍っている。短期決戦というロシア側の目算は外れた形だ。

米欧が警戒するのは、ロシアが同国にとっての戦況の好転を狙い、生物・化学兵器や核兵器といった大量破壊兵器を投入してくる可能性だ。

ロシアはウクライナの研究所が生物兵器の研究をしていたと主張し、同国側は明確に否定している。米欧はロシア側が今後、ウクライナ側が使用したとみせかける「偽装」をしかけたうえ、生物・化学兵器で「反撃」するシナリオがあり得ると考える。

ロシアのペスコフ大統領報道官は3月22日、核兵器を使用する可能性について、米CNNに対し「我が国の存在自体が脅かされた場合、それが使われる可能性がある」と述べ、否定しなかった。キンジャルには核弾頭も搭載できる。

ロシアはウクライナで様々な兵器を使用することで、輸出先の国々に「効果」を見せている可能性がある。兵器は天然資源と並ぶロシアの主要な輸出品だ。ウクライナでは同国にトルコが軍用のドローン(無人機)を提供し、ロシア側に大きな損害を与えている。トルコはアジア向けを含め、輸出拡大を目指している。

(若杉朋子、ロンドン=中島裕介)

米CSIS「キンジャルは弾道ミサイル」

【ワシントン=中村亮】米戦略国際問題研究所(CSIS)はロシアがウクライナで使用したキンジャルを極超音速ミサイルでなく「空中発射型の弾道ミサイル」だと指摘する。

ロシア製の地対地弾道ミサイル「イスカンデルM」の空中発射型で、「ミサイル防衛システムに対し無敵だとの主張はやや誇張した可能性がある」と説明する。

一般に「極超音速兵器」の速度はマッハ5(音速の5倍)以上だ。

大きく分けて①ロケットから分離して攻撃目標まで飛行する極超音速滑空体(HGV)②空気を取り入れながら加速することが可能な極超音速巡航ミサイル――の2つのタイプがある。キンジャルはいずれにも該当しないとみられている。弾道ミサイルの大半は速度がマッハ5以上だ。

HGVは理論上、経路や高度を調節しながら、ミサイル防衛システムをかわして極超音速で飛行することができる。

バイデン米大統領は「(ウクライナで)極超音速兵器が使われた」と明言したが、米政権内や英国の国防筋では深刻な軍事上の危機ではないとの見方が支配的だ。

オースティン米国防長官は米CBSテレビで「これで流れが変わるとは思わない」と語った。

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