ロシア軍を妨げる雪解けの泥地

ロシア軍を妨げる雪解けの泥地 短期決戦のもくろみ外れ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2108N0R20C22A3000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】ロシア軍は侵攻したウクライナでの作戦を一部、縮小する方針だ。ロシア国防省が29日に表明した。想定を超えて戦闘が長引いたことで、春の訪れとともに雪解け水で地面がぬかるみ、戦車を主体とする地上軍の移動が滞っているもようだ。米欧側の情報によると、ロシア軍の補給が不調で、兵士の士気も上がらない。文字通り「泥沼」にはまりつつある。

ウクライナ側のSNS(交流サイト)には最近、泥地に乗り捨てられたロシアの軍用車両の写真が投稿された。ウクライナ軍に破壊された戦車もあるが、泥の中で動けなくなったケースも多いとみられている。

ウクライナは屈指の穀倉地帯だ。肥沃な土壌をつくる要素の一つが豊富な水量だといわれる。春先は雪解け水があふれ、舗装された道路を除けば車や歩行者の通行は難しくなる。その傾向は例年、3月後半が顕著だ。

ウクライナ各地でぬかるみが増える現状で、ロシア軍の車両は泥地を避け、主に幹線道路を選んで移動している。部隊が進むスピードは遅くなり、ウクライナ軍の攻撃を受けやすくなる。

欧州の有力シンクタンク欧州外交問題評議会(ECFR)の専門家、グスタフ・グレッセル氏は「ロシア軍は補給でもアスファルトで舗装された道を使わざるを得ない。ウクライナ軍はこの状況を知って待ち伏せている」と解説する。ロシア軍が食料、燃料、武器を前線へ十分に供給できていない一因だとの分析だ。

英国防省は28日、ロシア軍の補給の不調が続いており、状況が「一段と厳しくなっている」などとツイッターに投稿した。

ロシア側も雪解け前に戦闘を終えるつもりだったようだ。侵攻を開始した2月下旬には、ウクライナの土壌表面がほどよく凍り、戦車を含む軍用車両の進行に好都合だった。侵攻開始から数日で戦闘を終えるシナリオを描いていたとみられる。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、防衛アナリストらの話として、ロシアの部隊の軍用車両は「整備の状態が悪く、タイヤやスペアの部品も多くが粗末だ」と伝えた。泥地で身動きがとれなくなると、そのまま車両を捨てて立ち去る兵士もいるという。』