ウクライナ「安保、米欧含め新条約を」 ロシアと協議
ロシア国防省「首都の攻撃縮小」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2901Y0Z20C22A3000000/
『【ウィーン=細川倫太郎、イスタンブール=木寺もも子】ウクライナとロシアの交渉団は29日、トルコのイスタンブールで対面形式の停戦協議を行った。ウクライナ側は米欧を含めた安全保障体制の構築や領土問題棚上げなどを提案し、ロシア側は回答を留保した。同日、ロシア国防省は首都キエフなどで「軍事活動を縮小する」と発表した。緊張緩和を印象づけるとともに、キエフ近郊でロシア側が苦戦していることが背景にありそうだ。
ロシア側の代表団は協議終了後に記者団に対し、提案をプーチン大統領に報告した上で回答すると明らかにした。ウクライナ側代表団によると、今後はオンラインで協議を継続するという。
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ウクライナ側は協議の中で、北大西洋条約機構(NATO)への加盟は断念する方針を示した。代わりに、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国にドイツ、トルコなどを加えた新たな安全保障条約や欧州連合(EU)への加盟をロシアが妨げないことなどを求めた。
領土問題は棚上げすることも提案した。ロシアが2014年に一方的に編入したクリミア半島などについては「合意の中には含まない」とし、今後15年以内に解決を目指すという。
ロシア側の交渉団に参加しているフォミン国防次官は協議後、記者団に「ウクライナ側から明確な提案がなされ、協議が建設的に行われた」などとコメントした。ロシア国防省は29日、侵攻しているウクライナの首都キエフと北部チェルニヒウでの軍事活動を縮小すると発表した。
ロシアによるウクライナへの侵攻は1カ月以上が過ぎた。ロシア軍は当初、早期のキエフ掌握を計画していたものの、ウクライナ軍の反攻を受け、苦戦が続いている。ロシア軍は親ロ派勢力の支配地域を含む東部地域に攻勢を強める方針を示していた。
ロシア軍がキエフへの侵攻を諦めたかは定かではない。東部地域などでロシア軍の攻撃は続いており、停戦が即座に実現する見通しは立っていない。
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中林美恵子
早稲田大学 社会科学部教授
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分析・考察
今度こそ解決に向けたサインがなくもない協議だった。
もし本当にロシアがキエフとチェルニヒウから兵を引き揚げるなら、5月9日(ロシアがドイツに勝った記念日)までに終戦合意の可能性も…というのは米国のロシア専門家の言。
ゼレンスキー大統領側の要求は矛盾して見えるが、ロシアが国内用に言い訳する逃げ道にも見える。
ウクライナが安保の保証に米欧を巻き込めれば、実質的なNATOジュニアメンバーだ。ハードルは高いが、ゼレンスキー氏の国際社会を巻き込む力は侮れない。
ロシアへの経済制裁は、容易には解除されまい。それでもロシアにすれば、更なる制裁よりましだ。ロシアに合理性は残っているのだろうか。
2022年3月30日 1:52
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福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
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分析・考察
当初から、「軍事侵攻した側が得をしたという解決はあってはならない」と書いて来ました。それは最悪のサインを世界に送ることになり、近い将来の、更なる侵略や暴力を招くリスクが高いからです。何より、ウクライナの人々の安全と未来は、それでは保障されません。
すべての交渉は、単に合意に至るという結果ではなく、「どんな条件で」というその細部に、神が宿ります。世界はそこに注視し、交渉をサポートすべきでしょう。
2022年3月30日 7:51
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