中国外相「ロシアの懸念重視を」 米国務長官と電話協議ウクライナ問題で

中国外相「ロシアの懸念重視を」 米国務長官と電話協議
ウクライナ問題で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN271420X20C22A1000000/

『【ワシントン=坂口幸裕、北京=羽田野主】米中両国政府は27日、ブリンケン米国務長官と中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が電話協議したと発表した。ブリンケン氏はロシアがウクライナを再侵攻した場合に世界にもたらす安全保障と経済のリスクを強調し、緊張緩和と外交が責任ある道だと伝えた。

バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が2021年11月15日に実施したオンライン協議を踏まえ、偶発的な衝突回避に向けた両国のリスク管理や気候変動対策などをめぐっても意見を交わした。

中国外務省の発表によると、王氏は「欧州安全保障のメカニズムを形成すべきで、ロシアの合理的な安全保障上の懸念を重視し、解決すべきだ」と強調した。ロシアが21年12月に提案した北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大の停止を柱とする合意案を支持する考えを伝えた。

中国には米国が懸念を強めるロシア侵攻によるウクライナ危機で、影響力を高めたい考えだ。ロシアのプーチン大統領は2月4日開幕の北京冬季五輪の開会式に合わせて訪中し、習氏と会談する。中国にはロシアの主張を支持しつつ、プーチン氏が最終的にウクライナ侵攻を思いとどまれば、米ロ双方に「貸し」をつくることができるとの読みがある。

中国にとってウクライナ問題は台湾統一を占う上での試金石にもなる。米軍が実質的にどこまで介入するかを見極めようとしている節がある。

王氏は「台湾問題で火遊びをしたり、反中の内輪のサークルをつくったりするのをやめるべきだ」とも主張した。日米両国が22日にフィリピン海で合同演習を実施し、米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」などが参加したことを批判したものとみられる。反発した中国は人民解放軍の戦闘機などを台湾の防空識別圏(ADIZ)に相次ぎ進入させている。

ブリンケン氏は中国本土と台湾は不可分だという中国の立場に異を唱えない一方、台湾の安全保障にも関与する「一つの中国」政策に変更はないとの考えを伝えた。

王氏は「北京冬季五輪を邪魔するのもやめるべきだ」とも訴えた。米国務省が出国を希望する中国駐在の米外交官とその家族の退避を検討していると伝えられていることに、中国は「中国の感染対策を中傷し、冬季五輪の成功を妨げようとしている」(環球時報の電子版)と反発している。

米中外相の電話協議は今年に入って初めて。中国外務省の発表によると、ブリンケン氏から電話し、まもなく迎える春節(旧正月)のお祝いの言葉を伝えたという。

22年は秋に米国の中間選挙や共産党最高指導部の人事を決める5年に1度の共産党大会を控えている。互いに相手に譲歩したとみられる動きは取りにくい構図にある。』