米欧「原則譲らず」 ロシアに回答、東方拡大停止拒否

米欧「原則譲らず」 ロシアに回答、東方拡大停止拒否
ミサイル配備制限など提示、近く米ロ外相会談へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26F1C0W2A120C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕、ブリュッセル=竹内康雄】米政府と北大西洋条約機構(NATO)は26日、ロシアが提案した欧州の安全保障体制構想について、それぞれ書面で回答したと発表した。ロシアが強く求めるNATOの東方拡大停止の確約を拒む一方、米国は双方が軍事演習を制限する案などを提示した。ロシアの対応が焦点になる。

米国のサリバン駐ロ大使が26日、ロシア政府に書面回答を渡した。ブリンケン米国務長官は近くロシアのラブロフ外相と会談し、米国が示した内容などについて話し合う。両氏は21日にもスイス・ジュネーブで協議した。

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米欧はロシア軍がウクライナ国境付近に10万人規模の部隊を展開し、2014年に続きウクライナに再侵攻できる態勢が整っていると警戒。ロシアは21年12月にウクライナ国境周辺での軍事的緊張を和らげる条件として欧州の安保体制の合意案を示した。

ブリンケン氏は26日の記者会見で、回答について「我々が守っていく基本的な原則を明確にした。(米国の立場に)変更はない」と述べた。NATOの東方拡大停止に関し「NATOのドアは開かれている。それが我々の約束だ」と明言した。ロシアが求めるウクライナなどをNATOに加盟させない保証について拒否した。

NATOのストルテンベルグ事務総長も同日の記者会見で「核心的な原則では譲歩しない」と表明した。加盟国の拡大停止などには応じないとの考えを改めて訴えた。「我々とロシア(の立場)が離れているのは明らかだ」と溝の深さを認めた。

米国は回答でロシアが要求する東欧からのNATO軍の撤退や、核兵器を自国の外に配備しないとの条項も受け入れなかったとみられる。NATO加盟国の多くが米国の「核の傘」に入っており、核兵器の撤去に応じればNATOの存在意義を揺るがす恐れがあるためだ。

欧州各国とロシアの国境付近での軍事演習に加え、地上配備型中距離ミサイルの配備を制限する提案も伝えた。すでに米国がロシアとの2国間協議で示していた。過去にロシアが主張した内容を含んでいるものの、自国の安保構想と隔たりがある。

ブリンケン氏は「我々は対話に前向きだ」と改めて強調した。「ボールはロシア側にある。ロシアが対話の道を選んでも、ウクライナを再侵攻しても、どちらにも対応できる準備をしている」と語った。米国は侵攻すれば欧州と協調してロシアに大規模な制裁を科す準備をしている。

ストルテンベルグ氏も「我々はロシアの懸念を聞く用意がある」と話した。関係悪化後に閉鎖した双方の代表部の再開も呼びかけたうえで「解決を希望しているが、一段の情勢悪化にも備えている」と指摘した。

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察

米国とNATOが原則を譲らない断固とした姿勢をロシアに見せることは、米欧同盟の結束を維持するためにも、ロシアに隙を見せないためにも重要な一手だと思います。

これまでバイデン政権も欧州の同盟国も、ロシアに宥和的な姿勢や発言が目立ち、それに対する米国内からの批判もあり、引き締めを図る必要があったと思います。

一方で、軍事演習の制限や地上配備側の中距離ミサイルの制限という交渉の余地もロシアに与えており、妥当な措置だと思います。

日本のようなアジアの同盟国にとっては、米国が同盟国との緊密な関係を維持して、敵対勢力からの脅しに断固をした姿勢を示すことは、中国や北朝鮮を抑止するためにも重要です。

2022年1月27日 8:32』