習政権、強まる独自色 政治文書のキーワードから探る

習政権、強まる独自色 政治文書のキーワードから探る
大中国の時代
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCA062V30W1A201C2000000/

『中国の歴代政権の政府文書を分析すると、習近平(シー・ジンピン)国家主席の下で政治思想や外交の独自色が強まっている。キーワードを抽出するため、2013年以降の中国共産党中央委員会全体会議(人事決定中心の第1回全体会議除く)で発表されたコミュニケ(公報)と、1980年以降の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の「政府活動報告」に注目。検索大手、百度(バイドゥ)のツールを用いて文書を単語に分類し、出現回数を数えた。

共産党創設以来3回目の「歴史決議」を採択した21年11月の第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)は13年以降で最もイデオロギー色が強まった。「社会主義」「マルクス主義」「マルクス・レーニン主義」は合計79回登場し、前年の約3倍に増えた。過去2回の「歴史決議」を発表した「毛沢東」や「鄧小平」への言及も増えた。

対外姿勢も変化した。20年の5中全会までは、「双方にメリットのある協力」など「対外開放」を念頭に置いていた。一方、21年の6中全会では「中国の特色ある大国外交」を推進し、「対外開放」に触れることはなかった。

全人代開幕式では首相が政府活動報告を発表し、その年の政策指針などを示す。21年までに「習近平」は75回言及され、歴代最多の「鄧小平」(84回)に迫っている。政府肝煎りの脱貧困政策については、所得の不平等さを測るジニ係数が上昇(悪化)に転じた16年前後から記述が急増。「脱貧(脱貧困)」が5回以上言及されたのは16年が初めてだ。21年には「返貧(再び貧困に戻ること)」が増えるなど、貧困問題が習政権にとっての重点課題の一つとなっている。

65歳以上の高齢者が人口の1割まで増加した14年前後からは「養老」に関連する単語が増えた。介護保険の拡充に加え、年金制度の改革で高齢化に対応する考えだ。

企業支援策では政府の視線は国有企業から中小・零細企業に移っている。14年ごろから記述が増え、足元では国有企業よりも頻出している。中国国家統計局の調査によると、18年末時点で中小・零細企業は全企業の99.8%にあたる1807万社にのぼり、13年と比較して2倍以上に増えた。中小・零細企業は中国の雇用の8割を担っており、政府は相次いで資金枠を設けるなど支援を強化している。

食糧問題にも危機感が高まっている。21年の政府活動報告では食糧に関する記述が特に目立った。「穀物(糧食)」への言及も10年以降最多となった。背景には穀物価格の高騰が挙げられる。豚肉は21年に入ってから値下がりする一方、飼料として使われるトウモロコシや大豆は過去10年間で最高の水準が続いている。

(西野杏菜)

大中国の時代 https://www.nikkei.com/theme/?dw=22012100 』