経済とは気であるという解りやすい理由

経済とは気であるという解りやすい理由
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/28002054.html

『 FXや株のトレードで使うチャートの分析に、PIVOTという目安があります。チャート分析をする為のインジケーターの一つで、とても広く使われているものです。証券会社なんかは、毎日、「今日のPIVOTの値」をメールで配信してくれたりします。

開発したのは、J.W.ワイルダー氏で、テクニカル分析の父と言われている人です。ワイルダー氏の開発したインジケーターは、RSI、DMI、ADX、PIVOT、パラボリックSAR、ボラティリティ・システムなど、有名所、メジャーなインジケータがズラリと並びます。全てを使ってなくても、このうちの一つをチャートに表示させているトレーダーは多いでしょう。

さて、こう書くと、PIVOTとは、さぞや高度な数学解析を使った複雑なインジケーターなんだろうなぁと考えガチですが、計算式はしごく単純です。前日の最高値・最安値があれば、全てのPIVOTは計算出来ます。(前日終値 + 前日高値 + 前日安値)÷ 3が基準のPIVOTになります。PPと略します。何を求めているかと言えば、前日の値幅の中間の値です。つまり、これより価格が高い場合、強気で上昇傾向にあり、低い場合、弱気で下降傾向にあると判断する基準の価格です。

さて、この単純な値に何の数学的な根拠があるのでしょうか。「まったく、ありません」理系の人が見たら、頭を抱えそうな回答ですが、この数値が数学的に重要である根拠は、まったく無いのです。この前日の値動きのど真ん中という値は、今現在に取引をしているトレーダーがポジションを持つ時の、心理的な指針になっているから重要なのです。トレーダーにとって、今が強気なのか弱気なのかというのは、ポジションを持つ心理的な大きな判断材料になります。にわとりが先か卵が先かの話になりますが、今、まさにチャートを見つめているトレーダーの多くの判断基準が、前日の値幅の中間値を基準に判断されるのです。

なぜかと言う問には、そうなっているからとしか言いようがありません。敢えて言えば、トレードしているのが、機械ではなく人間だからです。AIなどで自動で売り買いするシステムもありますが、AIが判断をする基準にもPIVOTは取り入れられているので、結局のところ人間のトレーダーと同じような判断基準を持ちます。

経済とは気であるというのは、こういうところから来ています。まったく原因の判らない、突然の暴落・暴騰は、市場では良く起こります。良くいわれる「嫌気」とか「強気」とか、市場の状態を表す言葉は、全てに「気」が付きます。明確な理由がある場合もありますし、トレーダーは、そういう情報に敏感であって当然ですが、市場は気で動いていると言っても過言ではありません。

人が市場を動かしている、それゆえに、特定の数字が意味を持つ場合があるのです。PIVOTには、さらに前日の高値・安値から計算される、R1~R3、S1~S3という値があります。これは、Rがレジスタンスの略で、Sがサポートの略です。価格が上昇する時の抵抗ラインが、レジスタンス。価格が下降する時のサポートラインがサポートになります。これは、トレードにおいて、とても意識される重要な価格です。

その理由も同じです。前日の値動きを元にして、PIVOTで計算されて示されるので、心理的に重要な価格として、トレーダーに意識されるのです。数学的な根拠はありません。まぁ、PIVOTは、R4、S4以上も求められるのですが、そこまで行くと、ニュースになるくらいの暴落・暴騰が市場で起きた時ぐらいで、年に何回あるかという話になるので、多くの日常はR3、S3までで十分に間に合います。

月に何百兆円と取引される国際市場の世界で、最も重要なインジケーターの一つが、根拠の無い理由で設定されています。それが、市場が気で動いているとされる理由です。この事をもって、本で勉強したから、知識を蓄えたから、分析をたくさんしたから、「市場で勝てるようになるわけではない」という理由がお分かりでしょうか。

世の中の多くのスキルというのは、費やした時間に応じて、向上するものです。しかし、トレードに関しては、それが当てはまりません。何十年単位で勝ち続けても、一度の取引で全てを失う事があります。天才相場師と言われた、ヴィクター・ニーダー・ホッファー氏も、緻密な分析と独自開発の手法で、数十年相場で勝ち続けましたが、アジア通貨危機という場面での一度の逆張りで、全財産を失いました。しかも、相場が反転したのは、彼が強制ロスカットされて、4時間後の事です。

市場は法則で動いているわけではなく、その時々の環境で、有効な手段が限られた期間続くというだけです。それも、完全にたまたまです。その為、誰かの真似をしても、その時の相場が調子の良かった時期と一緒じゃないと、意味を成さない事も、しばしばあります。

その為、情報商材やセミナーを参考にして、相場を自分の眼で読む人は、トレードが上達しますが、それを真似する人には、何の役にも立ちません。それらは、「ある時期、うまくいった事がある、一つのやり方」が紹介されているに過ぎないからです。

これは、他国の言葉を覚えて、しゃべれるようになる経過と似ています。その言葉が溢れる環境に身をおいて、懸命に努力すると、いつのまにか言葉が頭にスッと入ってきて、理解できるようになり、その国の言葉で表現ができるようになります。

この文法を覚えたから、この単語を暗記したから、その国の言葉がしゃべれるようになるわけでは、ありません。トレードも、これと似ています。』