ジョコビッチ、全豪出場できず 査証取り消しで出国

ジョコビッチ、全豪出場できず 査証取り消しで出国
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM153P30V10C22A1000000/

『【シドニー=松本史】オーストラリアの裁判所は16日、豪政府がテニスのノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)のビザ(査証)を再び取り消した決定を支持する判断を示した。これを受け同選手は国外退去となった。17日に開幕する全豪オープンテニスへの出場は不可能となった。

同選手は16日夕方「非常に失望した」との声明を出した。ロイター通信によると、16日夜のドバイ行きの便で出国した。同選手は全豪オープンでの4連覇と前人未到の四大大会21度目の優勝を目指していた。男子ツアーを統括するATPは16日「大会にとって損失」との声明を発表した。

同選手は新型コロナウイルスのワクチン接種の有無を明らかにせず大会の主催者らから「免除措置」を受けたと主張していた。一度は裁判所が査証取り消しは無効と判断したが、モリソン豪政権は強硬姿勢を堅持した。

新型コロナに関する厳しい規制下で生活してきた国民感情に配慮した。豪紙「エイジ」週末版などが実施した世論調査では、回答者の71%がジョコビッチ選手の豪州滞在を認めるべきではないと答えた。法律の規定で同選手は今後3年間の豪入国が禁じられる。

モリソン首相は16日の声明で「我々の国境(管理)を強固に保ち、豪州人の安全を守るものだ」と裁判所の判断を歓迎した。「豪州人はパンデミックの間、多大な犠牲を払ってきた。その犠牲がもたらした(低い死亡率などの)成果が守られることを求めている」と強調した。

ジョコビッチ選手はスペインからドバイ経由で5日深夜に豪メルボルンに到着した。豪政府は6日、同選手が主張する「免除」の証拠が不十分だとして査証を取り消した。同選手側が即日裁判所に処分取り消しを求め、10日に豪裁判所は同選手の入国を認める判断を示していた。これに対してホーク豪移民相は14日「公共の利益」などを理由に再度同選手の査証を取り消し、2度目の法廷闘争となっていた。

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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ひとこと解説

豪州の裁判所の判断は「公共の利益」と言われているが、具体的にはテニスの世界的プレーヤーが反ワクチン主義を宣伝することが社会に対する脅威だという判断。

しかし、豪州政府の混乱により、世界的な話題になってしまったため、むしろジョコビッチ選手の反ワクチン姿勢がよく知られるところとなり、豪州だけでなく世界的に宣伝することになってしまった。

もともとはビクトリア州政府が感染経験のある人はワクチン接種を免除されるという、あまり科学的に根拠のない規制に基づいて入国許可を出したところから始まった大騒ぎ。

2022年1月17日 12:33』