[FT]21年の中国GDPが17日発表 5つの注目点

[FT]21年の中国GDPが17日発表 5つの注目点
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『中国国家統計局は17日、2021年10~12月期と同年通年の国内総生産(GDP)成長率の速報値を公表する。共産党と軍、政府のトップとして異例の3期目を目指す習近平(シー・ジンピン)国家主席にとって、経済的にも政治的にも重要な節目となる。
中国・上海の路上で中国のGDP統計を示す電光掲示板(2021年10月16日撮影)=ロイター

中国共産党は21年12月に開いた中央政治局会議で、不動産部門の悪化で揺らいでいる経済と金融システムを安定させることの重要性を強調した。だが、中国恒大集団など不動産大手のデフォルト(債務不履行)につながった政策を放棄する方針は一切示さなかった。

劉鶴(リュウ・ハァ)副首相率いる習政権の経済チームにとって、今後数カ月は安定と財政規律のバランスを取れるかどうかが問われる。

GDPの発表に際して以下の5つのポイントに注目したい。(※ 数字は、オレがつけた)

1、10~12月期の前期比成長率はゼロ前後か、1%以上か?

中国のGDPは21年1~3月期と7~9月期にいずれも前期比で0.2%増にとどまり、4~6月期は1.2%増となった。

前期比の数字は、ニュースの見出しとなる前年同期比よりも経済の健全性をはるかに的確にとらえる。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で、前年同期比は浮き沈みが激しくなっているためだ。

21年通年の成長率は、公式目標の6%を容易に超えるはずだ。だが、10~12月期も前期比で低成長が続けば、劉氏と中国人民銀行(中央銀行)には成長をさらに後押しするよう圧力がかかるだろう。同氏は国務院(政府)金融安定発展委員会のトップとして、中銀を実質的に支配している。

2、不動産部門の見通しは悪化が続くか、安定するか?

中国の主要70都市の不動産価格は21年11月に前月比で0.3%下落し、前月からの下落率は約6年ぶりの大きさとなった。

この傾向は、世界で最も富の分配が不平等な国のひとつで「共同富裕」を実現するという習氏の公約に沿ったものだ。しかし、不動産価格の下落が激しすぎると、経済に意図しない影響をもたらす可能性もある。

不動産部門は中国GDPの4分の1以上を占めるとみられる。ここ数カ月の不動産業界の苦境は固定資産投資の減速というかたちで表れている。21年1~11月の同投資額は前年同期比5.2%増となった。

この伸びは予想に届かず、1~9月の7.3%増も大きく下回った。9月には、不動産各社の借り入れを制限する20年の規制強化のあおりを受け、恒大集団がデフォルトに陥るおそれがあることが明らかになった。

3、共産党は「ゼロコロナ」政策を続けられるか、失敗して経済に打撃をもたらすか?

20年前半に新型コロナが事実上封じ込められて以来、中国の輸出部門は堅調に推移している。局所的なクラスター(感染者集団)を封じるために重要な製造拠点や大型港で断続的にロックダウン(都市封鎖)が敷かれたが、輸出全体の伸びは落ち込むことなく、一貫して堅調に推移している。

しかし、この状況は変わる可能性がある。感染力の強い変異型「オミクロン型」の流行でさらなるロックダウンが広がるおそれがあり、これが不動産不況とともに消費者心理を冷え込ませているためだ。11月の小売売上高は前年同月比で3.9%の増加にとどまり、市場予想の4.7%増を大きく下回った。

今週は、陝西省の省都である西安市(人口1300万人)と、2つの小都市が完全なロックダウン下に置かれている。規模の大きい天津市と広東省深圳市の2都市は、全市民を対象としたPCR検査を円滑に進めるため、部分的なロックダウンを実施している。

ただ共産党は、10月か11月の開催が見込まれる党大会で習氏の3期目就任が正式に承認されるまで、パンデミック対策に徹底して取り組む姿勢を崩さないだろう。

4、厳しい経済、中銀は金融政策で景気下支えを迫られるか?

人民銀行は21年12月、事実上の政策金利と位置づける最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の1年物を20年4月以来初めて引き下げたが、利下げ幅は0.05%にとどまった。また、住宅ローン金利の目安とされるLPR5年物は据え置きとした。

人民銀は、債務の膨張を抑制しようとする近年の努力を台無しにする可能性がある「洪水のような刺激策」よりも、農業やハイテク製造業といったセクターに融資を振り向けるための照準を絞った預金準備率の引き下げを選好してきた。

5、中国の人口のピークの到来は予想より早まるのか?

国家統計局は、21年の出生率(人口1000人あたりの出生数)の速報値を発表するとみられている。20年には前年の10.5人から8.5人に減少し、初めて10人を割り込んだ。

中国の20年の出生数は1200万人と、約60年ぶりの低水準を記録した。

By Tom Mitchell

(2022年1月13日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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