NATOとロシア、主張の溝大きく ウクライナ情勢巡り

NATOとロシア、主張の溝大きく ウクライナ情勢巡り
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『【ブリュッセル=竹内康雄、モスクワ=桑本太】北大西洋条約機構(NATO)は12日、緊迫するウクライナ情勢を巡ってロシア側と協議した。閉幕後に記者会見したNATOのストルテンベルグ事務総長は、具体的な内容では溝が大きかったと認めた一方、双方が対話を継続する必要性を共有したと明らかにした。

会合の枠組みは、NATO・ロシア理事会と呼ばれる。関係悪化からこのところ開催されておらず、約2年半ぶりに開かれた。NATOからはストルテンベルグ氏や加盟国の代表が、ロシアからはグルシコ外務次官らが出席した。

ストルテンベルグ氏は、NATO加盟国とロシアの間には「大きな違いがある」とした上で「この違いを埋めるのは簡単でない」と語った。会合ではロシア側にウクライナ国境付近での軍備増強に懸念を表明。緊張緩和に向けた行動をとるようロシア側に求めた。

ただ「同じテーブルを囲み、問題に取り組んだのは前向きな兆候だ」と評価した。ストルテンベルグ氏によると、対話を続けるため、今後の会合に向けてスケジュールを詰めることで一致した。

一方、ロシアのグルシコ外務次官は終了後に開いた会見で「(NATOとの協議は)今のところ前向きな議題はない」と不満をにじませた。「NATOの政策と軍備増強はロシア抑止に焦点を合わせている」と懸念を示し、NATO拡大が欧州の安全保障に悪影響を及ぼし、ロシアに受け入れがたいリスクを生み出すと主張した。インタファクス通信などが伝えた。

ロシアはNATOの新規加盟凍結や東欧からの撤退を求めたが、NATO側は拒否した。ストルテンベルグ氏は「各国が独自の安全保障体制を選択する権利がある」と訴えた。その上で偶発的な衝突を避けるため、軍事演習の透明性を高めることを議論すると明らかにした。

ウクライナ問題を巡っては、米国とロシアが10日にスイス・ジュネーブで2国間会合を開いた。13日にはウィーンで欧州安保協力機構(OSCE)の会合が開かれ、緊張緩和に向けた外交対話が続く。

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察 ロシアのウクライナへの武力行使を回避するための交渉は、米ロ二国間協議に加えて、NATOロシア理事会、そして13日に開かれる欧州安保協力機構(OSCE)という多層的な枠組みで行われています。

米国にとっても、ロシアの武力行使への経済制裁を行う際のパートナーであり、ロシアからのエネルギー供給停止となれば直接の被害を被る欧州の同盟国とともに協議することに意義がありますし、欧州にとっては米ロだけで協議が進んでしまうリスクを回避できます。

公明党の山口那津男代表が日米中とASEAN諸国が加盟する日本版OSCEの創設を提唱しておりますので、米欧ロの多層的な対話枠組みを日本はよく見ておく必要があるでしょう。

2022年1月13日 8:06いいね
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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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分析・考察 NATOは冷戦後、それなりにロシアに配慮して対話の枠組みを作ってきました。2002年に設置されたNATO・ロシア理事会はその中心的存在でした。またブリュッセルのNATO代表部内にかつてはロシアの代表も場所を与えられていたのですが、今はなくなっています。

双方の主張の隔たりは大きく、数回の交渉で埋まることはないと思いますが、今はとにかく対話を続けること自体が目的です。

とりあえず2019年以前の状況に戻すというのも、一つの手かもしれません。ロシア側から一方的に対話を打ち切られるようであれば、軍事力行使ありというサインですので、一気に緊張が高まりますし、日本も制裁の準備が必要になります。

2022年1月13日 12:31いいね
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説 ロシアは自国の安全保障に関わる問題で、強硬姿勢を貫く見通しである。
ウクライナを含む旧ソ連圏を、自国の事実上の勢力範囲として固めたいのだろう。

ロシア外務省は昨年 12 月 10 日、ウクライナとジョージア(グルジア)の NATO への将来的な加盟を認めた 08 年の NATO 首脳会議の決定を無効とするよう求める声明を出した。

プーチン大統領はバイデン米大統領に対して、NATO が拡大しない法的保証を直接求めた。

これに対し、民主主義の理想を掲げるバイデン政権は、ウクライナなどの国家主権を無視できない。

EUには米ロによる「第2のヤルタ協定」への警戒感もくすぶる。この問題の協議は平行線をたどるだろう。

2022年1月13日 8:45 』