英、インドとFTA交渉開始 30年までに貿易額倍増

英、インドとFTA交渉開始 30年までに貿易額倍増
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR12DS80S2A110C2000000/

『【ロンドン=中島裕介】英政府は12日夜(日本時間13日朝)、インドと自由貿易協定(FTA)の交渉に入ると発表した。欧州連合(EU)離脱後の英国の外交方針である「インド太平洋地域への傾斜」の一環として、インドの経済成長の取り込みを狙う。英政府によると英印間の貿易は2019年時点で年間約239億ポンド(約3.8兆円)あり、両国は2030年までにこれを倍増させる方針だ。

17日の週から第1回の交渉を始める。訪印中のトレベリアン英国際貿易相がインドのゴヤル商工相らと会談し、交渉入りを確認する。

英国のジョンソン首相はFTAの交渉入りについて「成長著しいインドとの貿易協定は、英国企業や労働者、消費者に多大な利益をもたらす」と歓迎した。英政府はFTAが実現すれば関税の削減により最大で150%の関税がかかるウイスキーや自動車の輸出に追い風になるとみる。風力発電の部品など、インドでの需要が大きい環境関連の輸出の増加も見込んでいる。

EU離脱に伴い、新たに非関税障壁が発生したことなどから、英国の対EU貿易は新型コロナウイルスの影響からの回復が鈍い。21年1~10月のEU向け輸出は19年の同時期に比べて12%減った。逆にEU域外への輸出は8%増えている。今後もEU貿易の不調をEU域外で補う構図となる公算が大きい。

英政府はこの流れに沿って、環太平洋経済連携協定(TPP)への22年中の参加を視野に交渉を進めているが、最大の貿易相手の米国とのFTA交渉は難航している。関係が悪化する中国との貿易協定は選択肢に入っていない。英国の総貿易額に占めるインドの比率は1.5%と小さいが、英連邦としてのつながりの深さや将来の成長余力への英側の期待は大きい。
ただインドは自国産業保護の姿勢が強く、交渉が順調に進むかどうかは見通せない。インドはEUとのFTA交渉を07年に始めたが、自動車部品の関税引き下げなどを巡って対立し、13年に中断した。21年にEUの中国離れもあって、交渉再開を合意したばかりだ。東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への参加も、安価な農産物の流入の懸念などから見送った。

ジョンソン氏とモディ印首相はFTA交渉に向けた地ならしとして、21年5月に両国経済界からの新規の投資案件や貿易をまとめたパッケージで合意した。両国はこうした先例をテコにFTA交渉も円滑に進めたい考えだ。』