[FT]アルゼンチン、IMFとの債務再編が膠着

[FT]アルゼンチン、IMFとの債務再編が膠着 3月期限
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB126FP0S2A110C2000000/

※ 今日は、こんなところで…。

『アルゼンチンが国際金融市場から断絶され、孤立する恐れが再び高まっている。同国は国際通貨基金(IMF)に対する数十億ドルの債務を再編する期限が3月に迫っている一方で、左派の与党・正義党(ペロン党)政権が新たな取り決めについて議会の支持を得られないためだ。

グスマン経済相は一貫して、IMFの支援が海外への資本流出の穴埋めに使われ、民間債権者を救済したと主張してきた=ロイター
現政権で対IMF交渉を担当するグスマン経済相は先週、首都ブエノスアイレスで各州知事へのプレゼンテーションで、IMFとの1年半に及ぶ交渉は結論が出ておらず「何の合意も成立していない」ことを明らかにした。

グスマン氏が知事たちに提示した案では、2027年までの財政均衡を目指し、より迅速な支出・補助金の削減を求めるIMFの要請に抵抗している。同氏はまた、少なくともあと5年間は中央銀行の通貨発行によって財政赤字を補填する方針を示したが、これはインフレの加速につながる。

グスマン氏によると、IMFとは、財政収支を均衡させるための支出額と時期を決める「財政健全化への道筋」について意見が食い違ったという。27年までに財政均衡を実現する方法については詳細を明かさなかった。

米金融大手モルガン・スタンレーのエコノミスト、フェルナンド・セダノ氏は、このプレゼンについて「赤字を縮小するための支出削減に、アルゼンチン当局が消極的であることを裏付けている」と指摘した。「目標達成」のために埋めなければならない「ギャップがかなり大きい」ことも浮き彫りにしているという。

返済滞ればIMFの評判にも打撃

IMFとの協議が続いている一方で、政府はIMFに対する約400億ドル(約4.6兆円)の債務の再編計画を承認するよう、野党優位の新議会を説得する方法も見いださねばならない。この債務は、18年に合意した570億ドルという記録的な規模の金融支援の一環だ。

野党の有力政治家を話し合いの場に呼び出すことさえ難しくなっている。3人の州知事とブエノスアイレス市長は先週、債務借り換えに関する協議への政府の招待を断った。会合は経済相との記念撮影にしかならない、とフェルナンデス大統領を非難した。

アルゼンチンは3月下旬にIMFへ28億ドルを返済しなければならないが、政府には支払いに必要な外貨準備がないため、IMFと新たな取り決めを結ぶ以外に選択肢はないとアナリストらはみている。モルガン・スタンレーによると、同国の純外貨準備高は69億ドルを下回っており、そのうち流動性資金に分類されるのは4億ドルにとどまる。

大半のエコノミストは、IMFへの返済が滞れば壊滅的な事態になるとの見方で一致している。そうなれば、他の国際金融機関からアルゼンチンに割り当てられる融資枠は打ち切られ、信頼できる債権者としてのIMFの評判にも深刻な打撃が及ぶ恐れがある。

20年に一時的なデフォルト(債務不履行)に陥ったアルゼンチンはすでに個人投資家から敬遠されている。20カ国・地域(G20)に加盟する主要な穀物輸出国であり、60年間で21回も救済されている同国は、これ以上国際機関との対立が続けば、国際金融界で「のけ者」扱いされる可能性もある。

グスマン氏は一貫して、IMFの支援が海外への資本流出の穴埋めに使われ、民間債権者を救済したと主張してきたが、5日にも再びIMFを非難した。IMFは実体経済を立て直すことよりも、投資家の信頼を回復することに重点を置いていると責め立てた。

「もちろん、わが国は市場の信頼が高まるよう取り組んでいるが、何よりも優先すべきは、実体経済の状況を改善することだ」と同氏は強調した。

議会の野党、政権内の強硬派もハードル

41年償還の国債価格は、債務再編の合意が間近ではないことがグスマン氏のプレゼンで明らかになったことを受け、額面1ドルあたり33セントを割り込み、1週間の下げ幅は21年9月以来最大に達した。その翌日、アルゼンチン中央銀行は主要政策金利を1年ぶりに2ポイント引き上げ、40%に設定した。これはIMFに対するアピールと広く受け止められた。

フェルナンデス政権がIMFとの問題を解決できたとしても、昨年の選挙で躍進した野党が優位な議会の批准がさらなるハードルとなる。

合意の形成は一筋縄ではいかない。特に、正義党は18年のIMF支援に署名した野党を繰り返し攻撃しており、野党連合は再交渉の政治的コストを分担することに消極的であるためだ。

政府と議会の対立を示す一例として、下院は21年12月、政府の22年予算について、現実的な経済成長とインフレの目標が示されていないとして、19時間に及ぶ審議の末に否決した。

フェルナンデス政権はまた、支出や政府補助金の削減案に抵抗する政権内の強硬派とも戦わねばならない。強硬派は18年のIMF支援がIMFのルールを破るものであり(IMFはこれを否定している)、新たな取り決めにおいてIMFはアルゼンチンを優遇すべきだと考えている。

エコノミストらは審判の時が近づいているとみている。米金融大手ゴールドマン・サックスの中南米担当チーフエコノミスト、アルベルト・ラモス氏は、アルゼンチンのIMFへの返済が滞る可能性は今や「かなり高い」と指摘する。

適切な財政政策を巡り、フェルナンデス政権内で緊張がくすぶっていることから、IMFの信頼できる支援計画の基盤となる構造的な財政調整や改革の「余地は非常に限られている」ことがうかがえるとラモス氏は付け加えた。

アルゼンチン国立銀行の元トップ、カルロス・メルコニアン氏は「経済相は自分が何をやるべきなのか、何を目標とすべきなのか分かっていない」と苦言を呈す。議会には「多くの連合勢力」が存在するため、今後2カ月の間に挙国一致して、信頼できる計画を策定する可能性はなくなったという。

コラムニストで教授のカルロス・パグニ氏は、アルゼンチン紙「ラ・ナシオン」への寄稿で、5日の政府のプレゼンは「国際機関が当局に課した制限よりも、政権内部が設けた制限」を反映しているとの考えを示した。

経済も低迷

国際政治リスクの調査会社、米ユーラシア・グループのダニエル・カーナー氏によると、アルゼンチン政府とIMFが合意を望んでいるとしても、「経済見通しに関して両者の間にはまだ重大な意見の相違がある」という。IMFは12月、「適切な」金融政策を実施するとともに、支出削減や赤字削減、年率50%を超えるインフレの抑制に取り組むよう同国に求めていた。

ブエノスアイレスを拠点とするエコノミストのフェルナンド・マルール氏は、12月に小さな進展の兆しが見られたと指摘する。アルゼンチン政府は同月22日、IMFに19億ドルを支払い、21年の返済額を上積みした。「これらの支払いに応じてきた政府にとって、デフォルトを決断すれば、非常に大きな痛手になるだろう」

正義党と野党の間のムードが冷え込むなか、経済も低迷している。

中央銀行のバランスシートは著しく悪化している。公式および市場のデータによると、準備預金は70億ドルを下回り、過去2カ月間だけで民間銀行システムから10億ドル余りが流出している。

推計によれば、21年の赤字の少なくとも70%は、IMFが同国に縮小を求める通貨発行でまかなわれている。ブエノスアイレスで英調査会社メドレー・グローバル・アドバイザーズの上級アナリストを務めるイグナシオ・ラバキ氏は「政府は時間も蓄えも尽きつつある」と語った。

By Lucinda Elliott

(2022年1月11日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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「接種拒否なら集中治療辞退を」

「接種拒否なら集中治療辞退を」 フランスで議論、揺らぐ医療倫理―新型コロナ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022011200780&g=int

『【パリ時事】新型コロナウイルスに感染した入院患者の増加により、病院職員の人手不足が深刻となっているフランスで、ワクチン接種拒否者は集中治療を辞退すべきだとする医師の提案が議論を巻き起こしている。医療現場でも賛否は分かれており、仏紙フィガロは「医療倫理が崩壊しつつある」と警告している。

沖縄の医師ら休業続出、逼迫懸念 感染や濃厚接触で「医療崩壊」―新型コロナ

 発端は、パリの大学病院のアンドレ・グリマルディ名誉教授が2日付の日曜紙ジュルナル・デュ・ディマンシュに宛てた寄稿。グリマルディ氏は「新型コロナ以外の患者の集中治療室滞在期間は平均4~5日間なのに対し、新型コロナ患者は2~3週間に及ぶ」と指摘。その上で「ワクチンを接種しない自由を選択した人は、集中治療も辞退すべきではないか」と提案した。

 ベラン保健相によれば、仏国内のワクチン未接種者は約500万人と、全人口の1割以下であるにもかかわらず、集中治療病床の大部分を占めている。

 東部ディジョンの救急医はフィガロ紙に「時々疲れ過ぎて、ワクチン未接種のコロナ患者に頭の中でひどいことを考える。『だから言っただろう』とか」と打ち明けた。南部ペルピニャンの看護師2人は「がん患者の手術が(人手不足で)中止になるのを見ると、怒りを覚える」「この仕事をして16年だが、初めて患者に共感できなくなった」と苦しい感情を吐露した。

 一方で「囚人を受け持ったことがある」という別の看護師は同紙に対し、どんな患者でも必要な治療をすべきだと主張した。南部マルセイユの医師も「喫煙者やアルコール依存症患者への治療を拒否することはない」と強調。治療辞退の提案について「われわれの職業の意義に相反する」と非難した。』

[FT]見えないカザフ争乱の背景 抗議デモか、権力闘争か

[FT]見えないカザフ争乱の背景 抗議デモか、権力闘争か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB123410S2A110C2000000/

『中央アジア、カザフスタンのトカエフ大統領はデモ参加者を「テロリスト」と呼んだ。ロシアのプーチン大統領は「革命」を企てる「外部勢力」だと決めつけた。カザフ支配層の権力闘争だという見方もある。

トカエフ大統領はナザルバエフ前大統領の側近を要職から解任した(11日、ヌルスルタン)=タス共同

164人が死亡し、8000人近くが拘束されたカザフの騒乱で間違いないのは、1週間前に周辺部の地方都市で始まった数百人のデモが発端だったということだ。

その後、デモ参加者は雪だるまのように膨れ上がり、数日のうちに全土でたいへんな人数が社会と政治の変革を求めるようになった。

暴力が伴う衝突、国際空港の占拠、政府施設への襲撃に至った事態を鎮めようと、カザフ政府はロシアに部隊の派遣を求めた。 

トカエフ氏はロシアへの出動要請について、騒乱が「一つの(指揮)中枢」が調整した「クーデターの試みだ」と主張し、正当化した。

ところが、この騒乱はカザフの社会と経済に対する深い憤りを背景に自然発生した抗議活動が火をつけたようにみえる。

「デモ参加者ははじめのうち、いつものようなスタイルで抗議する人たちだった。だが、カザフ社会のとても大きな格差に不満を持つ都市周辺の若者や貧困層が加わった」と、最大都市アルマトイのよく知られた人権活動家エフゲニー・ジョフティス氏は説明する。

発端は燃料値上げへの地方都市での抗議デモ
最初のデモはジャナオゼンという小さな都市で、その地域の問題への抗議活動として始まった。産油地帯のカザフ西部で自動車の燃料として広く使われる液化石油ガス(LPG)の価格が2倍に跳ね上がった問題だ。

首都ヌルスルタンから南西へ1000マイル(約1600キロメートル)以上離れたジャナオゼンは、2011年に起きた労働者の権利を巡るデモで警察官が石油施設で働く14人を殺害した後、国内の人権侵害を象徴する場所になっている。

拡大したデモはほどなく、事実上の権力者であるナザルバエフ前大統領とその家族を追放し、経済支配をやめさせるといった、様々な要求も掲げるようになった。

デモ参加者は「老いぼれは去れ!」と声を合わせた。19年に大統領職をトカエフ氏に禅譲するまで30年にわたりカザフを統治した81歳の独裁者、ナザルバエフ氏のことだ。

トカエフ氏はデモ参加者の要求を受け入れた。内閣を総辞職させ、燃料価格を引き下げ、ナザルバエフ氏を強大な権力ポストである国家安全保障会議議長から外した。

それでもアルマトイの状況は収拾がつかないほど悪化していった。アルマトイはかつての首都だ。ナザルバエフ氏がアスタナに遷都し、その後に自身のファーストネームであるヌルスルタンに改称した。

表面的にはいくらか落ち着きを取り戻し始めた先週末の時点で、政府は燃料問題への抗議とその後の騒乱を区別しようとした。

トカエフ大統領「自然発生の抗議を装った」
トカエフ氏は10日「(デモ参加者の要求は)全て聞いたが、何の意味もなかった」と言い切った。「自然に発生した抗議を装った騒乱の波だったのだ」

計画的な騒乱だというトカエフ氏の主張は事態の推移と一致しないと専門家は指摘する。
カザフの元官僚でフランス在住のムフタール・アブリヤゾフ氏はその理由の一つとして、デモには明確なリーダーや共通の要求がなく、ナザルバエフ氏への不満があるだけだと指摘する。

アルマトイの政府庁舎に侵入したデモ参加者ら(5日)=ゲッティ共同

「権威主義の国では(抗議行動で)リーダーが一人だけということはない。なぜなら、(簡単に)つぶされてしまうからだ」とアブリヤゾフ氏は説く。「カザフ市民はとにかくナザルバエフ氏(の権力維持)にうんざりしていた。臨界点に達したのだ」

アルマトイには不満が噴き出す素地もあった。カーネギー・モスクワ・センターのアレクサンドル・ガブエフ氏とティムール・ウマロフ氏によると、アルマトイにはカザフの各地から人が集まり、最近では犯罪が増えていた。抗議活動の拠点として知られるようにもなっていた。

アレクサンドル氏とウマロフ氏は「失うものを持たない怒れる若者が多数、存在していたことが、暴力につながったと説明できる」と最近のリポートで分析した。

トカエフ氏は、デモが始まった後で「宗教過激派、犯罪者、ならず者、混乱に乗じて悪事を働こうとする者、チンピラたち」に乗っ取られたと主張した。

「お金で動員された」との書き込み
実際、現場からのブログやSNS(交流サイト)への投稿によると、デモ参加者の一部は組織化されたグループとしてバスで乗りつけていた。この集団がお金で動員されたと指摘する書き込みもある。SNSに投稿された動画には、警察から武器を盗み出したり、車に隠した武器を取り出したりする様子も収められていた。

人権活動家のジョフティス氏は「(デモの)状況は制御不能になった」と話し、カザフ南西部のイスラム過激派が加担した可能性も考えられると指摘した。

こうした「テロリストたち」が国外から指示を受けているというカザフ政府の当局者の言い分を裏づける大きな証拠はない。トカエフ氏は「テロリストたち」が(デモで)死亡した仲間の遺体を夜間に安置所から運び出したとまで話した。「これが痕跡を隠そうという連中のやり方だ」と主張した。

ビクラム・ルザフノフ氏の件をみれば、デモ参加者の動機を見分けることがいかに難しいのかがわかる。隣国キルギスの著名ピアニストであるルザフノフ氏は先週、200ドル(約2万3000円)を受け取って騒動に参加したとカザフのテレビで告白した。放映された顔面にはあざがあった。だが、カザフで釈放されて帰国した同氏は、(テレビでは)キルギスへの送還をもくろんでうその自白をしたと報道陣に語った。

専門家の一部は、問題の根幹にはトカエフ氏とナザルバエフ氏の権力闘争があるとみている。デモ発生後、ナザルバエフ氏は公の場に姿を見せていない。

「いくつかの交渉が進んでいる」
アルマトイでの衝突は、ナザルバエフ氏の弟のボラット氏が管理していると伝えられるアルティンオルダという市場の近くで起きた。トカエフ氏は、ナザルバエフ氏の側近であるマシモフ氏を国家安全保障委員会議長から解任した。

「トカエフ氏の最初の一手がマシモフ氏の解任だったのは驚くにあたらない」と話すのはフランスのコンサルティング会社アペリオのアナリスト、ジョージ・ボローシン氏だ。「いま私たちが目の当たりにしているのは権力闘争だ」

ナザルバエフ氏のほかの側近たちはまだ無事のようだ。危機の発生でマシモフ氏が詰め腹を切らされたのかもしれない。そう推測するのは、アルマトイのコンサルティング会社ストラテジック・ソリューションズの創業者、サイモン・グランシー氏だ。

「明らかにいくつかの交渉が進んでいる」とグランシー氏は話す。「いずれにせよ、もはやナザルバエフ氏に大きな政治力はない」

トカエフ氏がロシア主導の軍事同盟である集団安全保障条約機構(CSTO)に支援を求めた事実も、グランシー氏の指摘と符合する。

ボローシン氏は、トカエフ氏がマシモフ氏の解任後、カザフの特殊部隊を味方につけられるかどうか確かでなかったため、応援を呼んだと指摘する。特殊部隊はアルマトイでデモ参加者がトカエフ氏の自宅に放火する様子をおおむね座視していた。外国が関与しているというトカエフ氏の主張は、国内の紛争に対するCSTOの介入を正当化するための口実にすぎなかった。

ベラルーシを強権で統治するルカシェンコ大統領が指摘したように、国内に不満がなければ外国が介入しても成功しない。「認識すべきなのは、外部要因だけでは十分でないということだ。その背後には内部要因の存在が不可欠なのだ」。ルカシェンコ氏は10日、CSTOに対し、こう語った。

By Nastassia Astrasheuskaya

(2022年1月11日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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〔イギリスの自動車市場(生産、販売)〕

2019年の自動車生産、過去10年で最低水準に
(英国)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/02/f00a34ee366fe5bb.html

『ロンドン発

2020年02月10日

英国自動車製造者販売者協会(SMMT)は1月30日、2019年の国内自動車生産台数を発表した。総生産台数は前年比14.2%減の130万3,135台となり、3年連続の減少で、2010年以降の最低水準となった(表1参照)。総生産台数の81%を占める海外輸出向け生産は前年比14.7%減、国内向け生産は12.3%減となっている。SMMTは、英国のEU離脱(ブレグジット)期限が複数回延期となり、企業が合意なき離脱(ノー・ディール)による影響を回避するために工場を一時停止したことを生産台数の減少の1つの要因として挙げている。また、SMMTのマイク・ホーズ会長は、自動車生産が過去10年間での最低水準に低下したことに懸念を示すとともに、国際的な競争力の回復が不可欠とし、そのために、EUとの間で全ての自動車製品に対して、関税やそのほかの負担がかからない野心的な自由貿易協定(FTA)を締結することが先決だ、とコメントした。

表1 自動車生産台数 
他方で、世界的な電動車への需要拡大を背景に、電気自動車(EV)などの代替燃料車の生産は前年比34.7%の増加になった。SMMTは、先進技術で高い優位性を誇る英国が、超低排出車やゼロエミッション車の普及・生産の主導権を握ることができる、としている。

2019年の国内の自動車産業に関する投資は、約11億ポンド(約1,562億円、1ポンド=約142円)で、これは過去7年間の平均となる27億5,000万ポンドを大きく下回る水準だ。また、生産活動の再編成のため、日産が2019年2月にスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」次期モデルの英国内での生産計画の撤回を発表したことに加え、ホンダも2021年中に国内生産を終了することを発表した(2019年2月20日記事参照)。こうした動きを受け、自動車関連の企業では、自動車ホースのニチリンや電子部品・空調部品を手掛けるケーヒンが英国拠点の閉鎖を決定したほか、自動車用シートのテイ・エス テックやモーター部品などのユタカ技研も拠点閉鎖に向けた労使間交渉を開始したことを発表している。

メーカー別の生産台数では、インドのタタ・モータース傘下のジャガー・ランドローバー(JLR)が最大で、日産が2位、トヨタが4位、ホンダが5位となった。

表2 各メーカーの生産台数

(木下裕之)』

イギリス自動車市場分析:231万台市場はじつはドイツ車の牙城?日本メーカーのシェアは?トヨタのシェアは何%
https://car.motor-fan.jp/article/10013752

『まずイギリスの乗用車市場の規模だ。欧州の自動車市場は、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアの順に規模が大きい。2019年のイギリス乗用車新車登録台数は、231.1万台だ。
 リーマンショック後の2011年に194.1万台と200万台を割り込んだが、2016年の269.3万台に回復。そこからなだらかに販売台数が落ちていっている。Brexit(英国のEUからの離脱)が自動車販売台数、自動車業界にどんな影響を及ぼすのかは、いまのところわからないが注視していく必要があるだろう。
ブランド別では、フォードがトップ

 231万台の内訳をブランド別に見てみると、トップはフォードで23万6137台(10.2%)である。ここでいうフォードは、ドイツに本拠を置くヨーロッパ・フォードである。フィエスタ、フォーカス、クーガ(KUGA)の人気は非常に高い。2位はVW、3位メルセデス・ベンツ、4位BMWとドイツブランドが続く。

 グラフでは見にくい下位ブランドの販売台数とシェアは次の通りだ。

ダチア:3万951台 1.3%
フィアット:2万9890台 1.3%
三菱自動車:1万6199台 0.7%
レクサス:1万5713台 0.7%
ポルシェ:1万5257台 0.7%
MG:1万3075台 0.6%
ジープ:6193台 0.3%
DS:4299台 0.2%
スマート:4022台 0.2%
アバルト:3488台 0.1%
アルファロメオ:3413台 0.1%
スバル:2997台 0.1%
サンヤン:1930台 0.1%
ベントレー:1595台 0.1%
マセラティ:933台
インフィニティ:292台
ロータス:225台
アルピーヌ:171台
シボレー:62台
その他:2958台
その他インポート:1万4635台 0.6% 』

英、インドとFTA交渉開始 30年までに貿易額倍増

英、インドとFTA交渉開始 30年までに貿易額倍増
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR12DS80S2A110C2000000/

『【ロンドン=中島裕介】英政府は12日夜(日本時間13日朝)、インドと自由貿易協定(FTA)の交渉に入ると発表した。欧州連合(EU)離脱後の英国の外交方針である「インド太平洋地域への傾斜」の一環として、インドの経済成長の取り込みを狙う。英政府によると英印間の貿易は2019年時点で年間約239億ポンド(約3.8兆円)あり、両国は2030年までにこれを倍増させる方針だ。

17日の週から第1回の交渉を始める。訪印中のトレベリアン英国際貿易相がインドのゴヤル商工相らと会談し、交渉入りを確認する。

英国のジョンソン首相はFTAの交渉入りについて「成長著しいインドとの貿易協定は、英国企業や労働者、消費者に多大な利益をもたらす」と歓迎した。英政府はFTAが実現すれば関税の削減により最大で150%の関税がかかるウイスキーや自動車の輸出に追い風になるとみる。風力発電の部品など、インドでの需要が大きい環境関連の輸出の増加も見込んでいる。

EU離脱に伴い、新たに非関税障壁が発生したことなどから、英国の対EU貿易は新型コロナウイルスの影響からの回復が鈍い。21年1~10月のEU向け輸出は19年の同時期に比べて12%減った。逆にEU域外への輸出は8%増えている。今後もEU貿易の不調をEU域外で補う構図となる公算が大きい。

英政府はこの流れに沿って、環太平洋経済連携協定(TPP)への22年中の参加を視野に交渉を進めているが、最大の貿易相手の米国とのFTA交渉は難航している。関係が悪化する中国との貿易協定は選択肢に入っていない。英国の総貿易額に占めるインドの比率は1.5%と小さいが、英連邦としてのつながりの深さや将来の成長余力への英側の期待は大きい。
ただインドは自国産業保護の姿勢が強く、交渉が順調に進むかどうかは見通せない。インドはEUとのFTA交渉を07年に始めたが、自動車部品の関税引き下げなどを巡って対立し、13年に中断した。21年にEUの中国離れもあって、交渉再開を合意したばかりだ。東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への参加も、安価な農産物の流入の懸念などから見送った。

ジョンソン氏とモディ印首相はFTA交渉に向けた地ならしとして、21年5月に両国経済界からの新規の投資案件や貿易をまとめたパッケージで合意した。両国はこうした先例をテコにFTA交渉も円滑に進めたい考えだ。』

原発処理水、中韓も海洋放出

原発処理水、中韓も海洋放出 釜山は海産物が観光資源
(2021.5.9 23:43)
https://www.sankei.com/life/news/210509/lif2105090039-n1.html

『東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出の方針が4月に決まり、反発を強める中国や韓国。今月5日の日韓外相会談でも、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相が「韓国民の健康や安全、海洋環境に潜在的な脅威を及ぼし得る」と懸念を示した。しかし、世界各国の原子力関連施設は原発事故前から処理水と同様にトリチウムを含む水を放出している。韓国・釜山(プサン)のように付近で原子力関連施設がトリチウムを放出しながらも海産物の名所として知られる地域もあり、専門家は反発について「科学的根拠がない」と指摘。説明や補償の必要性を訴えた上で、「釜山の事例は福島の可能性を示す」としており、復興のひとつのモデルにもなり得る。(荒船清太)

 福島第1原発に貯蔵されている処理水は約860兆ベクレルのトリチウムを含む。政府は貯蔵している処理水は大幅に希釈し、毎年最大22兆ベクレルを今後数十年に分けて放出していく方針だが、世界に目を向けると、1年でこの貯蔵量の10倍以上を放出している国もある。

 経済産業省が4月13日にまとめた資料によると、フランスのラ・アーグ再処理施設では2018年に1京1400兆ベクレルのトリチウムを海洋などに放出。英国のセラフィールド再処理施設は19年、423兆ベクレルを海などに流した。中国の福清原発も52兆ベクレルを液体放出している。

 注目されるのが近隣国の韓国だ。釜山港から約30キロの古里(コリ)原発は18年に海洋などに50兆ベクレルを放出し、約80キロ離れた月城(ウォルソン)原発では25兆ベクレルを海洋などに出している。釜山は韓国第2の都市で、工業都市であるとともに韓国最大の海産物市場を抱える観光地としても知られる。釜山港に水揚げされるタイやヒラメ、タコの刺し身にみそなどを付けて出される郷土料理は名物となり、観光客を集めている。

 福島第1原発の廃炉に携わる東京大大学院の岡本孝司教授(原子力工学)は「釜山にできて福島にできないことはない」と話す。

 反発を強める中国や韓国について、「いずれも自国でトリチウムを放出しており、科学的に冷静に対処すべきだ」とした上で、「処理水を放出すれば、今後原発から取り出されるデブリ(溶け落ちた核燃料)の管理も容易になる」と廃炉につながる点も強調する。

 ただ、放出にはいまだ忌避反応も強い。岡本教授は、分かりやすい言葉で現状を正しく伝えることが必要だと強調。「万が一、風評被害が生じた場合はきちんと補償する体制も整えるべきだ」としている。』

韓国人「日本の汚染水放出について韓国はIAEAに任せずに日本からの資料を要求し、自らも影響分析をするべきだ!」

“韓国人「日本の汚染水放出について韓国はIAEAに任せずに日本からの資料を要求し、自らも影響分析をするべきだ!」……もう「影響はほぼない」って結論が韓国でも出てるんだよなぁ”
http://rakukan.net/article/485179079.html

『[経済直筆]このままでは日本汚染水放出防げない(京郷新聞・朝鮮語)

東京電力は先月17日には影響評価報告書発表という重要な手続きを進めた。汚染水を「多核種除去設備」を経て処理し、海水をポンプで引き出して汚染水を希釈した後、海底1キロトンネルを作って海に排出するという具体的な案を提示した。 (中略)

国際原子力機構も日本の計画に合わせて手続きを進めている。日本政府が去る4月、放射線汚染水海洋放出を公式決定すると、国際原子力機関は安全性検証準備団を日本に派遣した。そして今月10日、安全性検証中間報告を来年中に仕上げると発表した。このような進行の中で韓国はどのように対応すべきか?日本の放射線汚染水の放出を防ぐために資料が必要です。何度も提起したように、独自に安全性評価を進めるべきである。日本の影響評価報告書には、韓国に汚染水が到達して被害が発生するかは、最初に評価対象にない。

日本の立場では汚染水が海に拡散すると放射線濃度が安全数値内に落ちるということで、汚染水が韓国まで到達するかについては研究する必要がない。韓国民の不安は韓国政府が解決しなければならない。韓国は放出された汚染水がどのような海洋経路を経て韓国の海に到着するのか独自の研究結果を持っていなければならない。この客観的根拠をもって対応しなければならない。 (中略)

海洋放出の危険性を提起するためには、日本を相手に、絶えず資料を要求し、科学的分析結果を蓄積しなければならない。国際原子力機関に任せてはならない。

にも関わらず、原子力安全委員会は独自の影響評価をしていない。日本原子力規制委員会から今年8月31日に受けた汚染水関連資料が何なのかも公開せず、その資料に対する分析すらしなかった。原安委に情報公開請求をして受けた回答だ。もともと日本にどのような資料を要求したのかさえ公開を拒否した。公開する場合、国家の重大な利益を著しく害する恐れがあるというのが非公開の事由である。

日本は汚染水海洋放出に何の問題もないという具体的な資料を出しているが、原安委はこれに対して国民に何の説明もしていない。

密室行政では、どのような決定をしても国民を説得できない。国民が不安から抜け出せなければ、その被害は国民と水産業に戻る。今市民は不安だ。国際環境団体グリーンピースは、日本の計画通りなら日本が汚染水を放出するのに30年かかると分析した。このように長い期間、国民が安心できない状況があってはならない。
(引用ここまで)

 韓国の左派紙である京郷新聞に掲載された「日本の汚染水放出を止めなければならない」というオピニオン。

 書いている人間は弁護士とのことで専門家でもなんでもない人物。
 ただまあ、韓国人が日本の処理水放出について思っていることをおおよそ代表している感じなのでピックアップ。

 「IAEAには任せておけない」
 「日本に透明性を求める」
 「日本に資料を求める」
 「韓国政府も資料を揃えよ」

 ……って感じですかね。

 韓国の専門家集団である原子力安全委員会は、処理水放出について「科学的に問題はない」との報告書を作成しています。

 また、原子力研究院に所属する研究員も「韓国への影響は微々たるもの」という報告書を作製しています。
 なお、この研究員は「国の意向に逆らう報告書を流出させた」として、懲戒処分となっています。ザ・韓国。

 ま、斯様に韓国側でも科学的に問題ないという結果になっているのですが。
 それと「日本が韓国に対して被害を負わせようとしている」と思いこむ感情は別、ということでしょうね。

 ムン・ジェイン大統領が「汚染水放出を国際海洋法裁判所に提訴せよ」とか言い出したのなんかその粋たるものといえるのではないかな。

 というわけで、韓国は「日本のやることが許せない」というだけなのです。

 許せなければどうだって話になるのですが。

 単に「許さない」というだけの模様。

 IAEAもアメリカもさくっと日本の方針を支持している。
 あれは菅政権のファインプレーでしたね。

 韓国では大統領候補のひとりであるイ・ジェミョンも京畿道知事時代に「太平洋沿岸諸国の都市に自治体の長として共助を求めるメールを送った」だの「これから(日本と)命がけの闘いがはじまるのだ」とか言っていましたっけ。

 ただし、メールの返事はゼロだったようですが。

 まあ、どこの誰と戦うのか知りませんがご自由にどうぞ、というところかな。

 韓国をまともに相手にすると障害になるだけなので積極的な無視を貫いている現状は大正解といえるでしょうね。

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NATOとロシア、主張の溝大きく ウクライナ情勢巡り

NATOとロシア、主張の溝大きく ウクライナ情勢巡り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR12CPP0S2A110C2000000/

『【ブリュッセル=竹内康雄、モスクワ=桑本太】北大西洋条約機構(NATO)は12日、緊迫するウクライナ情勢を巡ってロシア側と協議した。閉幕後に記者会見したNATOのストルテンベルグ事務総長は、具体的な内容では溝が大きかったと認めた一方、双方が対話を継続する必要性を共有したと明らかにした。

会合の枠組みは、NATO・ロシア理事会と呼ばれる。関係悪化からこのところ開催されておらず、約2年半ぶりに開かれた。NATOからはストルテンベルグ氏や加盟国の代表が、ロシアからはグルシコ外務次官らが出席した。

ストルテンベルグ氏は、NATO加盟国とロシアの間には「大きな違いがある」とした上で「この違いを埋めるのは簡単でない」と語った。会合ではロシア側にウクライナ国境付近での軍備増強に懸念を表明。緊張緩和に向けた行動をとるようロシア側に求めた。

ただ「同じテーブルを囲み、問題に取り組んだのは前向きな兆候だ」と評価した。ストルテンベルグ氏によると、対話を続けるため、今後の会合に向けてスケジュールを詰めることで一致した。

一方、ロシアのグルシコ外務次官は終了後に開いた会見で「(NATOとの協議は)今のところ前向きな議題はない」と不満をにじませた。「NATOの政策と軍備増強はロシア抑止に焦点を合わせている」と懸念を示し、NATO拡大が欧州の安全保障に悪影響を及ぼし、ロシアに受け入れがたいリスクを生み出すと主張した。インタファクス通信などが伝えた。

ロシアはNATOの新規加盟凍結や東欧からの撤退を求めたが、NATO側は拒否した。ストルテンベルグ氏は「各国が独自の安全保障体制を選択する権利がある」と訴えた。その上で偶発的な衝突を避けるため、軍事演習の透明性を高めることを議論すると明らかにした。

ウクライナ問題を巡っては、米国とロシアが10日にスイス・ジュネーブで2国間会合を開いた。13日にはウィーンで欧州安保協力機構(OSCE)の会合が開かれ、緊張緩和に向けた外交対話が続く。

【関連記事】
・NATOとの協議「前向きな議題ない」 ロシア外務次官
・米ロ、欧州安保協議 ウクライナ巡り溝深く
・ロシア、ウクライナのNATO加盟反対崩さず

多様な観点からニュースを考える
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察 ロシアのウクライナへの武力行使を回避するための交渉は、米ロ二国間協議に加えて、NATOロシア理事会、そして13日に開かれる欧州安保協力機構(OSCE)という多層的な枠組みで行われています。

米国にとっても、ロシアの武力行使への経済制裁を行う際のパートナーであり、ロシアからのエネルギー供給停止となれば直接の被害を被る欧州の同盟国とともに協議することに意義がありますし、欧州にとっては米ロだけで協議が進んでしまうリスクを回避できます。

公明党の山口那津男代表が日米中とASEAN諸国が加盟する日本版OSCEの創設を提唱しておりますので、米欧ロの多層的な対話枠組みを日本はよく見ておく必要があるでしょう。

2022年1月13日 8:06いいね
13

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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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分析・考察 NATOは冷戦後、それなりにロシアに配慮して対話の枠組みを作ってきました。2002年に設置されたNATO・ロシア理事会はその中心的存在でした。またブリュッセルのNATO代表部内にかつてはロシアの代表も場所を与えられていたのですが、今はなくなっています。

双方の主張の隔たりは大きく、数回の交渉で埋まることはないと思いますが、今はとにかく対話を続けること自体が目的です。

とりあえず2019年以前の状況に戻すというのも、一つの手かもしれません。ロシア側から一方的に対話を打ち切られるようであれば、軍事力行使ありというサインですので、一気に緊張が高まりますし、日本も制裁の準備が必要になります。

2022年1月13日 12:31いいね
3

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説 ロシアは自国の安全保障に関わる問題で、強硬姿勢を貫く見通しである。
ウクライナを含む旧ソ連圏を、自国の事実上の勢力範囲として固めたいのだろう。

ロシア外務省は昨年 12 月 10 日、ウクライナとジョージア(グルジア)の NATO への将来的な加盟を認めた 08 年の NATO 首脳会議の決定を無効とするよう求める声明を出した。

プーチン大統領はバイデン米大統領に対して、NATO が拡大しない法的保証を直接求めた。

これに対し、民主主義の理想を掲げるバイデン政権は、ウクライナなどの国家主権を無視できない。

EUには米ロによる「第2のヤルタ協定」への警戒感もくすぶる。この問題の協議は平行線をたどるだろう。

2022年1月13日 8:45 』

日中関係、接近と緊張 陰の主役は米国

日中関係、接近と緊張 陰の主役は米国
日中国交正常化50年㊤
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA20CES0Q1A221C2000000/

『2022年は日中の国交正常化から50年の節目となる。接近と緊張を重ねた半世紀を経て両国の経済力は逆転した。中国の台頭に伴って米中対立の構図が鮮明となり、日中ともに新たな関係のあり方を探るのが難しい状況となった。

日中関係を振り返ると陰の主役は常に米国だった。50年前、日本が中国との国交正常化にカジを切ったのも1972年2月のニクソン米大統領の訪中がきっかけだ。

いつか米中が日本の頭越しに手を結ぶのではないかと考えると、おちおち眠れない――。朝海浩一郎氏は57年から6年間の駐米大使時代に警鐘を鳴らしていた。

米側は「Asakai’s Nightmare(朝海氏の悪夢)」などと呼んだが「悪夢」は現実となる。71年7月、ニクソン氏が突然、中国訪問を発表。日本側に正式に伝わったのはその3分前だったとされる。

佐藤栄作政権は情報収集能力がないと批判され求心力を失う一因となった。ベトナム戦争撤退を検討していた米国はソ連へのけん制で中国に接近した。そうした国際情勢を見誤った結果だった。

後を継いだ田中角栄首相は就任後すぐに訪中し、72年9月29日の日中共同声明で国交を結んだ。日本は政府開発援助(ODA)などを通じて中国の発展に貢献した。

89年の冷戦終結は中国を巡る環境を変えた。民主化運動を弾圧した89年の天安門事件で中国は国際社会で孤立する。米欧は制裁に踏み切ったが隣国との関係を重視した日本は距離を置いた。中国からの要請で92年には天皇陛下の訪中も実現させた。

中国側には日本との距離を密にして米欧からの包囲網を破る思惑があった。

中国経済の転機は2001年に訪れる。9月に起きた米同時テロに揺れていた国際社会は12月の中国の世界貿易機関(WTO)加盟を歓迎した。

特に米国では経済の自由化によって中国の政治体制にも好影響が及ぶとの楽観論が広がった。その半面、日本では経済面で台頭する中国への警戒感が高まり始めた。

日本が国民総生産(GNP)で旧西ドイツを抜き世界2位になったのは68年。中国は42年後の10年に国内総生産(GDP)で日本を超えて2位となった。このころから中国の周辺国への威圧的な態度が目立つようになる。

沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件も10年の出来事だ。

この時期に中国の強硬姿勢を許したのはオバマ米政権下で米中関係が比較的良好だった背景がある。その間に中国は軍事予算を拡充させ、南シナ海でも領有権の既成事実化を続けた。

笹川平和財団の小原凡司上席研究員は「00年代は米国は対テロ・対中東に傾斜し、中国の脅威に関心を払ってこなかった」と指摘する。

今また米中関係が日中関係に影を落とす。17年に発足したトランプ政権は関税引き上げなど強い態度で臨み、米中関係を逆回転させた。21年にバイデン政権に代わり対立は鮮明となった。

半世紀前に米大統領補佐官としてニクソン訪中をお膳立てしたキッシンジャー氏以来、米国は中国と一定の関係を保ちながら変化を促す関与政策を取ってきた。日本もこの路線に左右されてきたが、いまや米国で対中楽観論は消えた。

日本にとっては中国は隣国であり最大の貿易相手国でもある。対応は一層難しくなる。松田康博東大教授は「日中関係は抑止力を高めながら決定的な対立を避けるマネジメントの時代に入った」と分析する。

中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は昨年11月の林芳正外相との電話協議で国交正常化50周年を機に「正しい軌道に沿って長期安定を図るべきだ」と呼びかけた。「対中、対米の関係をうまく処理するよう望む」とも強調した。

日中間には過去4つの政治文書がある。毛沢東を中国指導者の第1世代と数え、世代ごとに文書を結んできた。第5世代にあたる習近平(シー・ジンピン)国家主席とまだ5つ目の文書を交わせずにいることは先を見通せない現在の日中関係を映す。』

「年寄りは退け」カザフ血を流しながら立ち上がる

「年寄りは退け」カザフ血を流しながら立ち上がる…残酷な30年独裁
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d98da27674e4a92daaba6dac9a46f2e0cf908ed

『「年寄りは退け」。

数千人が逮捕され少なくとも50人の死傷者が出たカザフスタンの反政府デモは燃料価格急騰で触発されたが、デモ隊からはこうしたスローガンが出てきた。2019年に退任したナザルバエフ前大統領(82)をデモ隊が再び召還した。現地ではナザルバエフ氏が3人の娘を連れてすでに海外に逃避したという報道まで出ている。

ナザルバエフ氏はソ連解体直前の1990年から2019年まで29年間にわたりカザフスタンを統治した独裁者だ。彼の銅像は第1の都市アルマトイと首都ヌルスルタンをはじめとする全国各地に立てられている。外信では今回のデモをめぐり長期独裁の疲労感が累積した状況でパンデミックによる経済難が重なりエネルギー価格急騰を契機に爆発したという分析が出ている。

◇30年執権…最大野党解散

鉄鋼労働者だったナザルバエフ氏は1962年にソ連共産党に加入し政界入りした。1984年にカザフスタン閣僚会議議長、1989年に最高統治者であるカザフスタン共産党第1書記を務め、1990年にソ連からの独立後カザフスタンで行われた初の大統領選挙に単独出馬し当選した。通常の独裁者と同じように、それはやはり不正選挙と野党弾圧、不正疑惑が絶えなかった。1999年の再選時の81%を除きすべての選挙で90%台の圧倒的な得票率を記録した彼は、2005年に政府転覆容疑で最大野党「民主選択党」を解散させた。ロンドンに1億800万ドル規模の不動産も保有している。

彼の不正疑惑は家族内部からも飛び出してきた。長女ダリガ氏の夫が義父であるナザルバエフ氏の不正を暴露してだ。野党関係者を拷問したり殺害し、数兆ドルに達する秘密資金を海外に持ち出していたという内容だ。カザフスタンの情報機関と外務省などを経て駐オーストリア大使を務めた彼は2007年に強制離婚させられ、オーストリアに身を寄せていた状態で欠席裁判を通じ政府転覆容疑により懲役40年の刑を宣告された。オーストリアで横領と殺人などの容疑で裁判にかけられ、2015年に拘置所で自ら命を断った。

ナザルバエフ氏の孫であるアイスルタン氏もロシアとカザフスタンの政府間での大規模不正に関する情報を持っていると主張した。英陸軍士官学校卒業後カザフスタン国防省総偵察局で勤めた彼は、祖父が自身に圧力を加えているとして2020年2月に英国政府に政治的亡命を申請したが、6カ月後に30歳の誕生日を控えてロンドンで心臓まひにより死去した。アイスルタンの母でありナザルバエフ氏の長女であるダリガ氏は2020年5月に上院議長(国家序列2位)から突然解任された。

◇後任大統領に最側近補佐官

ナザルバエフ氏は在職当時から事実上終身大統領の道を整えていた。2010年には彼が退任後も国政に参加できるようにし免責特権を与える国家指導者法制定を主導して議会を通過させ、2017年4月には大統領の権限を大幅に縮小する憲法改正を主導した。彼が大統領から退いた後を念頭に置いた事前措置だった。彼は後任の大統領を自身の補佐官出身である最側近のトカエフ氏を担ぎ出した。2019年3月に自ら早期退任してからは国家安全保障会議(NSC)議長を務めて「国家指導者」を自任した。トカエフ大統領は5日、デモが激化すると結局ナザルバエフ氏をNSC議長から解任した。政治的後ろ盾であるナザルバエフ氏を抱えて行くには国政運営の負担があまりに大きかっただけにひとまず線を引くことにした。

ニューヨーク・タイムズは7日、カザフ情勢をめぐり「ストロングマンのジレンマ」と分析した。「独裁者は政治システムの無力化を通じて自身をなくてはならない存在に仕立て上げるが、競争者のいない後継者を立てても新しい政府は強力な政治システムを必要とする」という点からだ。同紙は「ストロングマンの権力継承は実現の可能性が低そうだ」と評価した。独裁が終わればその国はすぐに崩壊するものということだ。』

〔ナザルバエフ氏の三人の娘たち〕

ダリガ・ナザルバエフ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%AC%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%82%B6%E3%83%AB%E3%83%90%E3%82%A8%E3%83%95

『ダリガ・ナザルバエヴァ(Dariga Nursultanqyzy Nazarbayeva カザフ語:Дариға Нұрсұлтанқызы Назарбаева、ロシア語:Дарига Нурсултановна Назарбаева、1963年5月7日 – )は、カザフスタンの政治家。前上院議長。

同国初代大統領ヌルスルタン・ナザルバエフの長女。男子のいないナザルバエフにとって、有力な後継者候補とみなされている。(※ 「いた。」と過去形だろうな…。) 』

『経歴

1963年、ソビエト連邦カザフスタンTemirtau生まれ。

ロモノーソフ名称モスクワ国立大学歴史学部を卒業。1991年準博士、1998年に博士号を取得。

1992年、児童慈善財団「ボベク」副総裁。

1994年、閉鎖型株式会社「「ハバル」エージェント」社長。2001年~2006年5月、「ハバル」会長。

2003年11月、国際現代政治研究所オブザーバー会議議長。

2004年、「アサル」(互助)党党首。

2006年7月4日、「オタン」党副議長(議長は父親)。

2007年7月から「ヌルバンク」役員。

2019年3月20日、大統領に昇格したカシムジョマルト・トカエフの後任として、カザフスタン議会元老院(上院)議長に就任したが[1]、翌2020年5月2日に大統領府よりダリガの解任が発表され[2]、5月4日には中央選挙委員会の決定で上院議員資格を抹消された[3]。


パーソナル・人物

外務第一次官のラハト・アリエフと結婚したが、夫の起訴と関連して2007年6月6日に離婚。2男1女を有する。

アマチュアのオペラ歌手であり、ヴォーカルレッスンを受け、イベントで歌ったりリサイタルを開いている。

政治科学博士。カザフ語、ロシア語、英語、イタリア語を話す。

「パラサト」勲章を受章。2009年4月、フランスのOrdre des Arts et des Lettresを受章。

カザフスタン・ジャーナリスト会議議長。国家テレビ芸術・科学アカデミー国際会議役員、ユーラシア戦略研究センター総裁。ユネスコ問題国家委員会委員。ユーラシア・テレフォーラム共同議長。スポーツ専門学校連盟総裁。 』

ディナラ・クリバエヴァ:伝記、個人生活、スキャンダル
https://jpn.agromassidayu.com/dinara-kulibaeva-biografiya-lichnaya-zhizn-i-skandali-read-060826

『リバエヴァディナラヌルスルタノフナは、国内で最も有名な起業家の1人であるカザフスタンの現大統領の娘です。 彼女の財産は数十億ドルにのぼり、ダース以上の外国銀行と金融機関が投資を管理しています。 しかし、私たちはディナールクリバエバ自身について何を知っていますか? 名声の高みへの彼女の道は何でしたか? 彼女の夫は誰ですか? そして、何人のスキャンダルがこの女性の名前の周りにぶら下がっていますか?

ディナラ・クリバエワ:伝記

将来のカザフ起業家は、1967年8月19日にカラガンダ地方のテミルタウで生まれました。 ディナラクリバエバは、サラとヌルスルタンナザルバエフの中間の娘です。 今日、彼女の父親はカザフスタンの現大統領です。 ディナラはロシアの首都で高等教育を受けました。 それで、1989年に、彼女はモスクワ演劇芸術研究所で学士号を擁護しました。 ルナチャースキー。 9年後、彼女は別の高等教育を受けましたが、今回はカザフスタン経営経済研究所(KIMEP)で行いました。

1998年以来、女性はNursultan Nazarbayev教育基金の理事を務めています。 2001年、カズモイマイアの理事に就任。 そして2004年に、彼はカザフ・ブリティッシュ工科大学JSCの管理委員会の責任者になりました。 2007年、ディナラクリバエバは教育科学の博士号を取得しました。 彼女の論文は、インターナショナルスクールの教育システムを管理することをテーマに書かれました。 2009年の初めに、ディナラクリバエバは、カザフスタン大統領を代表して活動する国家教育基金を率いています。

クリバエフ家

Dinaraの私生活は非常に成功しました。 彼女の夫は、国内で石油とエネルギーの流れを管理するカザフスタンの有名なビジネスマン、ティムールクリバエフです。 彼らは一緒に3人の子供を育てます:アルタイの息子と2人の娘-デニズとアリシア。

チムール・クリバエフとディナラ・クリバエフはカザフスタンで最も裕福な人々の中にいることに注意すべきです。 2015年の最新のフォーブスデータによると、それぞれの状態は20億ドルの制限をわずかに超えています。 つまり、それらの共同資産は42億米ドルと推定されています。 現在、夫婦はスイスに住んでいます。 しかし、公務に関連して、彼らはしばしば故国に飛ぶ。

事業

Nursultan Nazarbayevが娘をマスコミから保護しようとするあらゆる試みにもかかわらず、彼女の資産と投資に関する情報は常に漏えいしています。 たとえば、Dinara KulibayevaはHalyk Bankの大規模な株式の所有者です。 注意すべきは、この構造は、国全体の金融フローの安定を保証し、その所有者にかなりの利益をもたらします。 大統領の娘もミラスと呼ばれる試験的教育プロジェクトを実施しています。 これは、国内で最も優れた知識を生徒に提供する一流の学校です。 たとえば、ここではカザフ語、ロシア語、英語の3つの言語を学習できます。

さらに、クリバエフ家には、世界中に散らばっている多くの投資があります。 彼女の夫であるティムールが家族に多大な利益をもたらす多くの資産を持っているということは言うまでもありません。

慈善活動と社会活動

ちなみに、ディナラクリバエバは、特にジャーナリストがそこにいる場合は、特に公に出ることを好みません。 彼女はまたインタビューをすることはめったになく、対話者が彼女の仕事と私生活を分ける線を越えることを決して許しません。 それにもかかわらず、Dinaraは慈善活動に多くの時間を費やしています。 彼女の行動を通して、彼女は国の文化を改善し、精神的に啓蒙された社会を教育するためにあらゆることをすることを目指しています。 このため、クリバエバは道徳的および倫理的価値を促進し、カザフスタンの青少年育成プログラムにも参加しています。 前述のように、大統領の娘は国の教育基金を運営しています。 したがって、才能のある子供たちがカザフスタンの最高の教育機関で学ぶ機会を得られるようにする責任があるのは、彼女です。』

アリヤ・ナザルバエワ
https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Aliya_Nazarbayeva?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=op

『(※ 翻訳は、Google翻訳)

アルマトイのK.バイセイトヴァ国立音楽学校を卒業。ナザルバエワは、英国ロンドンのリッチモンド大学の国際関係学部と、ワシントンDCのジョージワシントン大学の国際関係学部で学びました。

2001年に彼女はカザフスタン州法アカデミーの法学部を法学の学位で卒業しました。2016年、アルファラビカザフ国立大学の国家認証委員会の決定により、専門分野の「経済学」でMBAの学位が授与されました。イノベーション経済学と経営」。

キャリア

ナザルバエワはカザフスタンの多くの企業を率いています。彼女は父親を通して縁故主義の受け入れ側にいるという批判を受けています。彼女の天然ガス会社はカザフスタンで優遇されていると言われています。[1] 2005年、アルマトイの警察は、建設会社Elitstroiを通じて「AliyaNazarbayevaによる攻撃的な商取引に関する記事」を掲載した新聞SvobodaSlovaを没収した。 [2] 2018年、テミルタウの住民は、汚染された黒い雪に関する請願書を集めて、ナザルバエワを送りました。彼らは、カザフスタンの生態系組織協会の長としての彼女の役割のために彼女に宛てられました。[3] [4]

彼女はいくつかのドキュメンタリーシリーズのプロデューサーです。[5] [6]彼女は、2016年に「母への道」を制作しました。この映画は、クロアチアの国際映画祭のメイン賞や国際映画祭「ユーラシア橋」のグランプリなど、6つの国際映画祭で賞を受賞しました。[7]

家族

カザフスタン最大の石油パイプライン会社であるKazTransOilのゼネラルディレクターであるDimashDosanovと結婚し[8]、4人の子供、娘のTiara(2008年生まれ)とAlsara(2011年生まれ)、息子のAldiyar(2016年生まれ)ともう1人の子供がいます。アラナという名前の娘(2018年生まれ)。

彼女は以前、キルギスの元大統領アスカル・アカエフの長男であるアイダル・アカエフと結婚していた。[1] BBCによると、結婚は「家族との政治的関係を固めるという中央ア
ジアの古い伝統への回帰として多くの人々に見られた」。[9] 』

騒乱カザフを巡る中ロの思惑 権力移行にらみ接近

騒乱カザフを巡る中ロの思惑 権力移行にらみ接近
編集委員 坂井光
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK117670R10C22A1000000/

『中央アジアのカザフスタンで発生した大規模な抗議デモは思わぬ副産物を生んだ。独立から30年にわたり続いた「ナザルバエフ体制」に終止符が打たれる可能性が高まっているのだ。そんな変革期に乗じ、隣国の2つの地域大国が影響力を及ぼそうと動き出した。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

カザフの地方都市で抗議デモが始まったのは1月2日。燃料価格の高騰への不満がきっかけだった。その矛先は長期独裁体制を敷いたナザルバエフ前大統領に及んだ。一部暴徒化したデモの波は全国に広がり、同氏の銅像などは破壊の対象となった。

トカエフ大統領はデモ隊をテロリストと決めつけ、治安部隊には警告なしでの発砲を指示した。あわせてナザルバエフ氏を安全保障会議議長から解任し、同氏の腹心とされる治安機関トップを国家反逆罪の疑いで拘束した。内閣も一新し、権力基盤を固めつつあるようにみえる。

カザフではナザルバエフ氏(左)からトカエフ氏に権力が名実ともに移ろうとしている(2019年6月、握手する2人)=AP

ナザルバエフ氏は1991年のソ連崩壊に伴うカザフ独立から初代大統領として君臨。2019年に辞任してからも影響力を行使していた。

いち早く行動したプーチン氏

同氏の消息は11日現在、明らかになっていない。だが、抗議デモはナザルバエフ体制からトカエフ体制に名実ともに移行することを意味するものになるかもしれない。

ロシアのプーチン大統領は機をみるに敏だ。カザフのデモが広がり、政府が「非常事態」を宣言した5日の翌日には、ロシアが主導する軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」の加盟国であるカザフのトカエフ大統領をはじめ、キルギス、タジキスタン、ベラルーシ、アルメニアの首脳からカザフへのCSTO部隊の派遣で合意を取り付けた。

部隊はロシア軍が主体となり、ベラルーシ、タジク軍などを含む2500人規模。プーチン氏は「デモ隊は外国の訓練を受けたテロリスト」「外国の侵略を目の当たりにした」など盛んに発言し、武力による制圧を正当化し、トカエフ氏擁護の姿勢を鮮明にした。

ロシアにとって旧ソ連のカザフは同盟国であり、いわば裏庭だ。ロシア人比率は高く、国民の2割近くを占める。ロシア語は公用語のひとつだ。関係は多岐にわたり、いまもロケット打ち上げには同国のバイコヌール宇宙基地を利用している。

反ロシアに転じたウクライナを巡り米欧と対立するなか、カザフの政治混乱を放置し、影響力を低下させるわけにはいかない。プーチン氏はナザルバエフ氏については口をつぐんでおり、トカエフ体制への移行を確信しているかのようだ。

カザフを巡り中ロの思惑が交錯している(オンライン協議する中ロ首脳=CCTVのサイトより)

一方の中国はどうか。習近平(シー・ジンピン)国家主席の反応も早かった。

中国国営テレビによると、7日にトカエフ氏にメッセージを送り、外国のテロリストに断固立ち向かった同氏の迅速な対応を称賛。「カラー革命」は容認しないことを伝えた。さらに、カザフは隣国の兄弟国であり、恒久的な包括的パートナーとして支援をいとわないことを表明した。

中国にとってもカザフは地政学的に重要だ。石油、ガス、銅などの資源を輸入。中国が中央アジア諸国から輸入する天然ガスのパイプラインが通過する。

さらに中国と欧州を結ぶ鉄道輸送「中欧班列」の主要ルートもカザフを通る。これはすでにロシアを通過するシベリア鉄道の輸送量をはるかに上回っている。カザフは習氏が進める広域経済圏構想「一帯一路」の要衝なのだ。

習氏は中国通のトカエフ氏に期待

習氏にとってトカエフ氏が実権を握ることは関係を強化するチャンスでもある。

トカエフ氏はモスクワ国際関係大学で中国語を専攻したのちソ連外務省に入省。1983年から北京語言大学に留学するなど、外交官としてのキャリアの多くを中国畑で過ごした。独立後はカザフの外務次官や外相として中国との関係強化に貢献したとされ、深圳大学の名誉教授にも任命された。

11日、オンラインで下院にスマイロフ前第1副首相の新首相就任を提案するカザフスタンのトカエフ大統領(ヌルスルタン)=タス共同

中ロがトカエフ氏を支持するのは、一義的には隣国のデモを放置すると自国にも波及しかねないからだろう。だが、中央アジアの資源大国の権力移行期に自国に有利な関係を築きたいとの思惑があるのは確かだ。

トカエフ氏としては中ロだけでなく西側ともバランスをとるのが最善の外交政策だが、今回のデモ制圧を受けて中ロにより配慮せざるを得なくなった。

裏庭を守りたいプーチン氏と、一帯一路の要衝を攻めたい習氏。いずれにせよトカエフ氏は専制的な手法を強めることが予想される。

3人は2月の北京冬季五輪開会式で顔を合わせる可能性が出ている。』

送電ロスなし「超電導」実用へ JR系、脱炭素を後押し

送電ロスなし「超電導」実用へ JR系、脱炭素を後押し
【イブニングスクープ】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC164JB0W1A211C2000000/

『送電時の損失がほぼゼロの技術「超電導送電」が実用段階に入った。JR系の研究機関がコストを大幅に減らした世界最長級の送電線を開発し、鉄道会社が採用の検討を始めた。欧州や中国でも開発が進む。送電ロスを減らしエネルギーの利用効率を高められれば地球温暖化対策につながる。

送電ロスは主に電線の電気抵抗により電気が熱に変わることで起こる。送電線を冷やして超電導状態にすると、電気抵抗がゼロになるため損失をほぼなくせる。

課題はコストだ。かつてはセ氏マイナス269度に冷やす必要があったが、マイナス196度でも超電導の状態にできる素材の開発が進み、冷却剤を高価な液体ヘリウムから、1キログラム数百円と1割以下の液体窒素に切り替えられるようになった。超電導送電線の費用の相当部分を占める冷却コストが大きく減ったため実用化が近づいた。

JR系の鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)は送電線を覆う形で液体窒素を流し、効率よく送電線を冷やす技術を開発。世界最長級で実用レベルの1.5キロメートルの送電線を宮崎県に設置して実証試験を始めた。鉄道に必要な電圧1500ボルト、電流数百アンペアを流せる。送電線の製造は一部を三井金属エンジニアリングに委託した。

通常の送電に比べて冷却コストはかさむが「送電線1本の距離を1キロメートル以上にできれば既存設備を活用でき、送電ロスが減るメリットが費用を上回る」(鉄道総研)。複数の鉄道会社が採用に関心を示しているという。採用されれば、鉄道の送電線で超電導送電が実用化されるのは世界で初めてとなる。

超電導送電はこのほか風力発電など再生可能エネルギー発電分野でも利用が期待されている。電力会社や通信会社などに広がる可能性がある。

超電導送電は電圧が下がりにくいため、電圧維持のための変電所を減らせるメリットもある。変電所は都市部では3キロメートルおきに設置し、維持費は1カ所で年2000万円程度とされる。鉄道総研はより長い超電導送電線の開発にも取り組んでおり、実現すればコスト競争力がより高まる。

日本エネルギー経済研究所によると国内では約4%の送電ロスが発生している。全国の鉄道会社が電車の運行に使う電力は年間約170億キロワット時。送電ロス4%は、単純計算で一般家庭約16万世帯分に相当する7億キロワット時程度になる。

送電ロス削減は海外でも課題だ。鉄道以外も含む全体でインドでは17%に達する。中国では2021年11月、国有の送電会社の国家電網が上海市に1.2キロメートルの超電導送電線を設置した。ドイツでは経済・気候保護省主導で、ミュンヘン市の地下に12キロメートルの超電導送電線を敷設する「スーパーリンク」プロジェクトが20年秋に始まった。

日本は超電導送電に使う送電線を昭和電線ホールディングスが手がけるなど素材に強みがある。JR東海のリニア中央新幹線も超電導を使っており、鉄道総研の技術基盤が生かされている。

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