豚の心臓を人体に移植、米メリーランド大が成功

豚の心臓を人体に移植、米メリーランド大が成功
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB110ML0R10C22A1000000/

 ※ 『人体が拒絶反応を起こさないよう遺伝子操作された豚の心臓を米国人男性に移植する』…。

 ※ もう、そこまで来ているのか…。

 ※ 『ゲノム編集技術によって免疫拒絶反応が起こらないように遺伝子を編集できるようになった』ということだ…。

『米メリーランド大学は10日、人体が拒絶反応を起こさないよう遺伝子操作された豚の心臓を米国人男性に移植する手術を成功させたと発表した。豚の心臓を人間に移植するのは世界で初めて。米国では臓器の不足が深刻な問題となっており、豚の臓器の移植に期待が高まっている。

豚の心臓移植をした医師㊧と患者=米メリーランド大提供

7日に移植手術を受けたのはメリーランド州に住み重い心臓病を患う57歳の男性。手術は8時間に及んだが、体調は良好だという。手術を行った医師は「手術は成功し見た目も正常だが、あすどうなっているかはわからない」と述べ、経過を注視していく方針だ。

東京慈恵会医科大学の小林英司特任教授(移植・再生医学)は「画期的な出来事だ。心臓のような生命維持に直接関わる臓器を豚から移植し、少なくとも数日間生存できていることの医学的な意義は非常に大きい」と指摘する。

米国ではドナーが不足している。米保健資源事業局によると現在約11万人の米国人が臓器移植を待っており、毎年6千人以上の患者が移植を受ける前に命を落としている。人間と似ている臓器を持つ豚の心臓や腎臓などの移植研究が進んでいた。

小林特任教授は「今後は患者の容体を注視する必要がある。短期的には拒絶反応が起きないよう制御できるかが重要だ。長期的には、豚の臓器を移植することによって新たな感染症にかかるリスクがあるのか、そして何より患者の生活の質がどのくらい改善するのか確認しなければならない。人工心臓による治療などと比べる必要があるだろう。臓器移植を待つ患者の選択肢が増えることを期待したい」と話す。

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為末大
元陸上選手/Deportare Partners代表
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ひとこと解説

福岡伸一さんが動的平衡という言葉で生命のありようを表現されています。細胞の単位で見れば人間の身体は数年で完全に入れ替わり完全に違う存在になっていますが、総体としては以前と変わらぬ同じ個人だと私たちは認識しています。このような技術が導入されることで、パーツは入れ替わりながらそれでも一貫している私とは何かという問いが社会に投げかけられるのではないでしょうか。諸法無我(全てはつながりながら変化している)という考えを私たちは直感するようになるのかもしれません。

2022年1月11日 11:59

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高橋祥子
ジーンクエスト 代表取締役
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ひとこと解説

臓器移植の臓器不足のため他の動物からの異種間臓器移植は1980年頃から研究されていましたが、安全性をヒトで確認するのはハードルが高いです。

そんな中、昨年には世界で初めてブタ腎臓をヒトに移植成功した事例があり、脳死状態の患者に対して家族が生命維持装置を外す直前に実験に参加した例でした。

今回は、他の選択肢がなく死ぬか移植するかという選択だったため実施されたとのことで、移植3日後も順調に進んでいるとのことです。

ゲノム編集技術によって免疫拒絶反応が起こらないように遺伝子を編集できるようになったことや、今後も事例が増えて安全性が確認されるとより一般的な選択肢として普及するようになるかもしれません。

2022年1月11日 15:36

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山崎大作
日経BP 日経メディカル 編集長
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別の視点

米国以上に日本はドナー不足です。そのため、このような研究は日本が先行してもおかしくないのですが、そうなっていません。

以前、ヒトの臓器を動物の体内で作る研究を進めている東京大学の中内啓光教授が兼務する米スタンフォード大で研究を進める理由として日本での研究の規制の厳しさを上げておられました。研究倫理をおろそかにしないことは極めて重要ですが、新しい試みだからといって規制されることがないようにしていくべきでしょう。

2022年1月11日 14:06 』