米長期金利、再び1.8%台 「利上げ年4回」観測広がる

米長期金利、再び1.8%台 「利上げ年4回」観測広がる
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN103P50Q2A110C2000000/

『【ニューヨーク=斉藤雄太】金融市場で米連邦準備理事会(FRB)の早期の金融引き締めを織り込む動きが加速している。米欧の大手金融機関は金融政策の予測を相次ぎ見直し、利上げやFRBの保有資産縮小の開始時期を前倒しした。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は2022年内に4回以上の利上げが起きうるとの見解を示した。急激な引き締めへの警戒感から10日の米株式相場は一時、大きく売り込まれた。
10日の米債券市場では長期金利の指標になる10年物国債利回りが一時、1.81%近くまで上昇(価格は下落)した。米国債売りが広がり、先週に続き約2年ぶりの高水準を記録した。上げ一服後は1.7%台後半で推移した。

FRBは先週公表した21年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、利上げや保有資産の削減を「より早期に、速いペースで」進める姿勢を鮮明にした。7日発表の21年12月の米雇用統計は就業者数の増加が鈍かった半面、失業率の改善や平均時給の伸びが目立ち「米経済は(FRBがめざす)最大雇用を超えつつある」(バンク・オブ・アメリカのスティーブン・ジュノー氏)との受け止めが広がった。

JPモルガンのエコノミストは先週、利上げ開始の予想時期を6月から3月に前倒しし、その後四半期ごとに利上げするとの見通しを示した。同社のダイモンCEOは10日の米CNBCの番組で「予想以上にインフレが悪化し、人々が思っている以上に利上げが進む可能性もある」と指摘した。「個人的には年4回だけの利上げなら驚きだ」とも述べ、それ以上の引き締めが進む可能性もあるとの認識を示した。

ゴールドマン・サックスのヤン・ハチウス氏は22年の利上げ回数を従来予想の3回から4回に引き上げ、保有資産の縮小を始める時期も12月から7月に前倒しした。FOMCの議事要旨からは「バランスシートの正常化の議論が想定したより緊急性が高い様子が伝わってきた」という。

ドイツ銀行も予想を見直し、利上げを3月に始めて年内に4回実施すると見込む。バークレイズは10~12月期とみていた保有資産の縮小開始予想を7~9月期に変えた。同社のマイケル・ガペン氏は「FRBが資産購入の終了を1月下旬のFOMCで発表する可能性も出てきた」とみる。6月から3月に前倒しした資産購入の終了時期をさらに早めて「3月に利上げするという強い合図」を示すシナリオを視野に入れる。

米金利先物市場の動きから金融政策を予測する「フェドウオッチ」によると、3月半ばのFOMCで利上げするとの予想が10日昼時点で8割近くに達した。1週間前から2割ほど高まった。22年中に4回以上の利上げ予想も過半を超えている。

10日は米長期金利の上昇を受け、米株にも売り圧力が強まった。急な金利上昇は米景気や企業収益に逆風になるためだ。ダウ工業株30種平均の前週末比の下げ幅は一時600ドル近くに達する場面もあった。終値は約160ドル安だった。

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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別の視点

米国の利上げを考えた場合、特にコロナショック後の世界経済は、ワクチンや医療体制の格差などにより新興国の回復が遅れ気味ですから、米国の金融政策が出口に向かうことにより、これまでの景気回復期よりも深刻なレパトリが起こることで、新興国への懸念はより大きくなることには注意が必要でしょう。

2022年1月11日 7:48 』