米、ロシアに軍事演習・ミサイル配備制限を提案へ

米、ロシアに軍事演習・ミサイル配備制限を提案へ
ウクライナ情勢の緊張緩和が焦点
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0906E0Z00C22A1000000/

『【ワシントン=坂口幸裕、モスクワ=石川陽平】米政府高官は8日、ウクライナ情勢をめぐるロシア政府との10日の協議で、欧州各国とロシアの国境付近で米欧とロシアの双方が軍事演習やミサイル配備を制限する案を話し合うと明らかにした。ウクライナ国境地域へのロシア軍部隊の集結で高まる米欧とロシアの緊張の緩和につながるかが焦点になる。

10日にスイス・ジュネーブで開く2国間の「戦略的安定対話」には米国からシャーマン国務副長官、ロシア側はリャプコフ外務次官などがそれぞれ出席する。この問題については12日に北大西洋条約機構(NATO)とロシア、13日にはロシアも加盟する欧州安全保障協力機構(OSCE)もそれぞれ協議する。

ロシアは2021年12月に欧州安全保障に関する新たな条約案を米国に、NATOには協定案をそれぞれ示した。NATOの東方拡大の停止や核兵器配備を自国内に限定することなどを一方的に求めた。

米高官は8日、記者団に「ロシアの文書にあるいくつかの分野で進展が可能だと考えている」と説明した。具体案として「双方の領土に接近する戦略爆撃機の訓練や地上演習も含む軍事演習の規模、範囲を相互に制限する可能性を検討したい」と述べた。ロシアはウクライナ南部に面した黒海で米軍などが実施した軍事演習に強く反発していた。

ロシアが要求する自国の国境近くへの攻撃兵器の配備停止も議題になる。米高官は「ロシアも約束すれば合意できるかもしれない」と話した。欧州での米軍の兵力縮小や配置の見直しは「選択肢にない」と明言した。

ロシアはこれまで米欧に地上配備型の中距離ミサイルの配備をお互いに凍結するよう訴えてきた。米ロは19年に射程500~5500㌔㍍の地上配備型ミサイル廃棄を定めた中距離核戦力(INF)廃棄条約を失効させた。米国はロシアが条約に違反して配備したと非難。米国は失効を受けて開発に着手した。

一方、ロシアが求めてきたNATOの東方拡大停止などは拒否する。ブリンケン米国務長官は7日、ロシアが望むウクライナのNATO非加盟の確約を念頭に「加盟は常にNATOと加盟を希望する国との間で決定されるものだ」と指摘。米高官も8日「どの国と同盟を組むかをロシアが決めることはできない」と話した。

米ロ両国が核兵器の配備を自国に限定したり、東欧からNATO軍を撤退させたりする要求も米欧にとっては受け入れられない項目になる。米国の提案を踏まえ、ロシアがウクライナ国境付近に展開する軍を撤退させるかはなお予断を許さない。

米欧は21年10月末以降、ロシアが14年に続くウクライナへの再侵攻を計画していると警戒を強めており、一連の協議でも大規模な対ロ制裁発動などを示して改めて部隊撤収を迫る見通しだ。

米高官は8日、ロシアがウクライナに侵攻すれば①金融制裁②主要産業を対象にした輸出規制③中東欧を念頭に置いたNATO軍の態勢強化やウクライナへの軍事支援の拡充――に踏み切ると警告した。

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