カザフスタンが非常事態宣言 ロシアなどに部隊派遣要請

カザフスタンが非常事態宣言 ロシアなどに部隊派遣要請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05CUZ0V00C22A1000000/

『【モスクワ=桑本太】中央アジアのカザフスタンは5日、燃料高を受けた抗議デモの広がりに伴う非常事態宣言を全土に拡大した。インタファクス通信がカザフスタンの国営テレビの報道を引用して伝えた。トカエフ大統領は、ロシアが主導する旧ソ連諸国の集団安全保障条約機構(CSTO)の部隊派遣を要請した。

治安当局とデモ隊の衝突で、当局は200人以上を拘束した。ロシアメディアなどによると、警官ら8人が死亡、300人以上が負傷したという。

非常事態宣言の期間は19日までで、トカエフ大統領は先んじてアルマトイと西部マンギスタウ州、首都のヌルスルタンに非常事態宣言を出していた。年初に発生した抗議デモの動きが広がっており、デモ隊の一部は5日に同国最大都市のアルマトイの国際空港を占拠し、全便の運航が一時的にできなくなったという。

トカエフ氏は同日のテレビ演説で自身が安全保障会議の議長に就任し、これまで議長を務め2019年まで長期政権を敷いていたナザルバエフ前大統領を解任すると表明した。抗議デモは22年からの燃料高を契機に発生したが、デモ隊の一部はナザルバエフ氏を批判していた。デモが沈静化に向かうかどうかは不透明だ。

燃料として幅広く使われる液化石油ガス(LPG)の価格が年初から21年比で約2倍に引き上げられ、2日に西部で抗議デモが発生し、その後にアルマトイなどに広がった。

デモの沈静化と経済安定のため、カザフスタンはLPGに加えてガソリンなどにも一時的に統制価格を導入し、燃料価格を21年並みに抑制することを決めた。トカエフ氏はこのほか、生活必需品である食品の価格上昇を抑えるための規制の検討などを表明した。

CSTOの集団安全保障会議議長を務めるアルメニアのパシニャン首相はフェイスブックへの投稿で、CSTOの部隊をカザフスタンに一定期間派遣することを決めたと明らかにした。同国の「状況を安定させ正常化させるため」と説明している。

【関連記事】カザフスタン内閣総辞職 燃料上げでデモ、大統領宅占拠

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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別の視点

旧ソ連の一員でありロシアと国境を接するカザフスタンの政変については、ウクライナ情勢などを巡り今週開催される米国とロシアの協議への間接的な影響も注目点になる。

英経済紙フィナンシャルタイムズは6日、モスクワのジャーナリストらが今回の政変に関し、西側との勢力画定をロシアが目指す協議を控える中で国外の勢力がカザフスタンの暴徒を扇動したと非難しているという。

仮にロシアの東側の国境が不安定化すれば、そちらも警戒する必要があり、ロシアは米国との妥協に傾くかもしれない。一方で、国境を巡る安保体制構築の重要性を再認識したロシアが西側への強硬姿勢を強める結果、妥協は難しくなるとも考えられる。動向を注視したい。

2022年1月6日 8:20

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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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ひとこと解説

アルマトイの混乱が最もひどいようで、すでにロシアの空挺団が入っているという報道もあります。

ただ、ロシア側はこの件に関して公式には表明していないので、今のところはなんとか静かに処理したいのでしょうが、事態がその程度で収まるかどうかです。

カザフスタン国内ではインターネットや携帯が通じないところが多くなっているようで、正確な情報が伝わってきません。現地アメリカ大使館はアラート情報を出していますがhttps://kz.usembassy.gov/demonstration-alert-u-s-mission-kazakhstan-4/ 日本大使館の情報は年初より全く更新されていません。

場合によっては邦人退避などにつながる可能性もあり、外務省と現地大使館は、正確な情報の迅速な発信を心がけて頂きたいです。

2022年1月6日 18:46

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秋田浩之
日本経済新聞社 本社コメンテーター
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別の視点

カザフスタンで起きている反政府デモを一歩引いてみると、「ソ連帝国」の解体プロセスがいまも続いていると言えるでしょう。

ソ連という連邦国家は20年前に崩壊しましたが、盟主のロシアは今も旧ソ連諸国を自分の裏庭とみなし、時には軍事的に脅してでも影響下に置こうとしています。

典型例がウクライナです。そのロシアが最も嫌うのが、西側的な民主化運動が広がること。

今回の抗議デモがどこまで過熱するのかわかりませんが、ロシアとっては気が気ではないはず。

同時に、近隣の中国もカザフの民衆デモが自国民にどのような影響を及ぼすか、心配でしょう。今夜のBSテレ東『日経ニュース プラス9』でも詳しく解説します

2022年1月6日 17:23 (2022年1月6日 17:38更新)

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志田富雄
日本経済新聞社 編集委員
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別の視点

カザフスタンは有力な産油・産ガス国です。

現在、原油相場が高止まりしている理由のひとつに「一部の産油国の生産能力が低下し、OPECプラスが計画通りに生産を増やせない」ことがあり、政情不安がカザフフスタンの原油の生産・輸出に影響してくるようだと、市場が強材料ととらえる可能性があります。

2022年1月6日 11:32 (2022年1月6日 11:39更新) 』