独新政権、前面に「価値の外交」 理想主義か、現実的対中戦略か

独新政権、前面に「価値の外交」 理想主義か、現実的対中戦略か
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022010300235&g=int

『【ベルリン時事】昨年12月に発足したドイツの社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党による新連立政権は、民主主義や人権など西欧の「価値に基づく外交」を新機軸に掲げる。ベーアボック外相はじめ緑の党所属の政治家の「理想主義」を指摘する声がある一方、中国やロシアに対抗する現実的な戦略との評価もある。ドイツは今年、先進7カ国(G7)の議長国を務める。こうした新政権の外交の真価が問われる機会も多くなりそうだ。

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 「中国との長期的な経済協力の成功には、共通の価値についての合意が必要だ」。ベーアボック氏は昨年12月の独紙ツァイトとのインタビューで断言した。これ以外の機会でも、頻繁に「価値」に言及。3党の政策合意書の中国の項目では、新疆ウイグル自治区での人権侵害など、民主主義や人権を損なう行為を批判する表現が並んだ。

 若年層や市民活動家の支持が多い緑の党には、理想主義的でイデオロギー先行のイメージが付きまとう。41歳と若く外交の実務経験がなかったベーアボック氏はこうした批判にさらされやすく、SPD所属のシュレーダー元首相は独テレビで「(中ロとは)経済的理由で、無傷の関係が必要」であり、「緑で世界を癒やすモットー」は不要だとベーアボック氏をこき下ろした。

 一方、オランダのライデン大学の東アジア専門家、カスパー・ウィッツ氏は米政治専門紙ポリティコへの寄稿で、新政権の方針は「国際秩序に挑戦する大国に対抗する、最も現実的な方法だ」と評価。メルケル前首相が経済重視で人権侵害に戦略的沈黙を続けた結果、中国は安保・経済でドイツや欧州を脅かすまでに成長したと指摘した。

 価値の外交は、ドイツが中国以外のアジアの民主主義国との関係を重視し始めたという側面もある。ショルツ首相は就任前後から、日本や韓国など「価値を共有」するアジア諸国との連携に繰り返し言及。アジア外交を多角化する方針を示している。』