北京五輪いばらの道 開催1カ月前、コロナ再拡大

北京五輪いばらの道 開催1カ月前、コロナ再拡大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM287A80Y1A221C2000000/

『【大連=渡辺伸、北京=羽田野主】中国で2月に開催される北京冬季五輪まで1カ月となった。習近平(シー・ジンピン)国家主席は「準備ができている」と強調するが、大会組織委員会は依然として観客の動員規模を明らかにしていない。国内で新型コロナウイルスの感染が再拡大するなか、成功裏に開催するために当局が目指す徹底した感染抑制と観客動員の両立は困難さを増している。

北京五輪は2月4日から20日までの期間中、冬季五輪としては最多の109種目が実施される。約2900人の選手が参加する見通しだ。パラリンピックは3月4~13日に開かれ、約600人の選手が参加予定だ。

「国内客へのチケット販売はいま検討中だ。ふさわしい時期に公表する」。組織委員会幹部の韓子栄氏は12月下旬、記者会見でかねての説明を繰り返した。

組織委と国際オリンピック委員会(IOC)は9月末、観客は中国居住者のみとする方針を公表した。だが現在も観客数やチケットの販売方法、コロナワクチン接種の有無などの入場条件は発表されていない。

詳細を決定できない背景には、感染力が強い変異型「オミクロン型」などの拡大への懸念がある。中国は厳しい措置を駆使した「ゼロコロナ」政策を続けているが、足元では感染が拡大。中部の西安市は12月23日に事実上のロックダウン(都市封鎖)に追い込まれた。
中国外務省は11月末の記者会見で「中国には新型コロナの対応で経験がある。五輪を予定通りに開催し、成功できると信じる」と強調していた。習指導部には、無観客やごく少数の観客を入れる形式になれば自らが誇った新型コロナ対策で感染を抑え込めていないとのイメージが広がり、国威の失墜につながりかねないとの危機感がある。

当局は観客動員と「ゼロコロナ」を両立させるため、徹底した感染抑制策を打ち出している。組織委は12月13日、選手と外部との接触を絶つ「バブル環境」など一連の感染対策をまとめた規定集の第2弾を公表した。バブル内では毎日のPCR検査が必須だ。「選手らは競技中、歌や声援は避け、拍手をして応援するように」。こうした細かい規定がずらりと並ぶ。

東京夏季五輪では関係者がバブルの外を出歩く姿が問題視された。北京五輪では「バブルの外には絶対に出られない」と組織委幹部は断言する。厳しい監視・警備体制が敷かれ、選手らが規定に違反した場合、参加資格を剝奪される可能性がある。

会場がある3地域の一つ、河北省張家口市。崇礼区にある7カ所のスキー場は1月4日から3月30日まで一般客を受け入れず、バブル環境に組み込まれる。五輪会場となるスキー場はこのうち1カ所だけで、他のスキー場は犠牲になる格好だ。五輪向けの感染対策を最優先する当局の姿勢が鮮明になっている。

IOCのバッハ会長は12月31日に公開した動画で、北京五輪に関して「国際社会の支持は明らかであり、非常に歓迎されている」と指摘した。ただ、米国や英国などは新疆ウイグル自治区などの人権問題を問題視し、外交ボイコットを決めた。日本政府も閣僚らによる政府代表団を派遣しないと表明した。習指導部にとっては米欧への対抗という観点からも、成功裏の開催を演出する必要性が高まっている。

【関連記事】
・「日中のリアル」若者が発信 2つの〝故郷〟つなぐ
・首相、対中外交「したたかさ問われる」』