EU、独自の安保・防衛追求 NATOと両立課題―22年

EU、独自の安保・防衛追求 NATOと両立課題―22年
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021123000452&g=int

『【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)は2022年を「欧州の防衛の年」(ミシェル大統領)と位置付ける。中国が台頭しロシアの脅威も高まる中、米国に依存せず欧州の利益を守れるよう独自の安全保障・防衛体制を強化する方向だ。ただ、多くの加盟国が重なる北大西洋条約機構(NATO)との両立が課題となる。

 来年前半のEU議長国を担うフランスのマクロン大統領は9日の演説で「自ら運命を切り開き、世界的に力を持つ欧州に変わる必要がある」と強調。「主権のある欧州」確立を目標に掲げた。

 安保・防衛面では、共同演習や防衛産業育成のほか、海事や宇宙、サイバー空間でEUの戦略共有を進めると表明。来年3月の首脳会議でEUの新戦略決定を目指す。

 EUのボレル外交安全保障上級代表(外相)が先月提示した戦略の原案には、危機時に最大5000人を投入するEU独自の即応部隊創設案も盛り込まれた。

 背景には米国の欧州離れへの危機感がある。NATOの集団防衛義務を軽視し自国優先に徹したトランプ前米政権に続き、親欧州とされるバイデン現政権も、欧州よりインド太平洋地域を重視する姿勢は明らかだ。

 8月には欧州の懸念をよそに駐留米軍のアフガニスタン撤収を強行。市民らの国外退避をめぐって混乱が生じ、EU内では「自ら主導権を握らなければならない」(ボレル氏)と機運が高まった。ドイツの新政権も「主権のある欧州」を標ぼう。EUの統合司令部創設などを訴える。

 一方、ロシアの脅威が間近に迫る北欧や東欧諸国には米国の軍事力が頼りで、過度な独自路線への警戒も残る。EUはNATOとの連携強化の必要性でも一致はしており、近くNATOとの共同声明をまとめる予定だ。

 ブリンケン米国務長官は3日、ボレル氏との共同声明でEUの新戦略の意義は認めつつ「(NATOと)一貫性があり補完的な能力整備が必要だ」とくぎを刺した。』