中国、22年成長率目標引き下げ 「5.5~6%案」浮上

中国、22年成長率目標引き下げ 「5.5~6%案」浮上
党大会控え内需底上げ急ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM215470R21C21A2000000/

『【北京=川手伊織】中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は2022年の実質経済成長率の目標を21年より引き下げる方針だ。21年は「6%以上」としたが、22年は「5.5~6%」とする案などが浮上している。中国景気は停滞感を強めているが、目標は小幅な引き下げにとどめる。5年に1度の共産党大会を来秋に控え、新たな減税や金融緩和で内需を底上げして目標達成の道筋を描く。

中国政府の成長率目標は、22年3月に開く全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の政府活動報告で公表する。

21年の成長率は通年で8%前後となる見通しで、目標達成はほぼ確実な情勢だ。新型コロナウイルスの打撃を受けた前年の反動で、1~6月の前年同期比伸び率が12.7%となったことが大きい。ただ年後半は景気が減速し、10~12月は同4%を割り込むとの見方もある。

22年は前年の反動増という特殊要因がなくなることもあり、政府系も含めたシンクタンクの成長率予測は5~5.5%に集中している。中国社会科学院や中国人民銀行(中央銀行)は、経済の「地力」を示す22年の潜在成長率を5.5%程度と試算するが、政府関係者は「目標は見通しより楽観的になる」と語る。

やや強気な目標で調整に入った背景には、22年秋に開く党大会がある。習総書記(国家主席)が3期目続投をめざす節目の会議となるだけに、雇用創出に向けて一定の成長を確保する必要があるためだ。

22年の経済運営方針を決めた中央経済工作会議では、内需の拡大を急ぐ方針を確認した。具体的な項目は明らかになっていないが、新たな減税や社会保険料の軽減で企業のコスト負担を和らげる。資源高などで悪化した収益の立て直しを支援する。民間投資の増加も期待する。

緩和的な金融政策も充実させる。人民銀は20日、事実上の政策金利と位置づける最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)を引き下げた。利下げに先立ち15日には、市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す「預金準備率」も下げて、市中に流通するお金を増やす措置もとった。

政府関係者は「22年も物価情勢を見極めながら、追加利下げで景気を刺激する可能性は大きい」と語る。

財政面では「専項債」と呼ぶインフラ債の発行も前倒しする。中国財政省は、22年の発行枠の一部となる1兆4600億元(約26兆円)を今年から前倒しで発行する権限を地方政府に与えた。22年3月までの発行で早期に公共事業に着手させ、新たな需要を生み出す狙いだ。

不動産規制の修正も景気に配慮した政策だ。バブルの抑制を目的とした政府の規制強化で最近の不動産市況は冷え込み、21年後半の経済成長の足を引っ張った。習指導部は金融リスクを高めかねない不動産投機は引き続き抑え込む一方、都市部で中低所得層向け物件の開発などを促す。不動産市場の新たな成長モデルを築き、景気を下支えする。

中国政府は2月開幕の北京冬季五輪や全人代をにらみ、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大への警戒を強めている。新規感染者を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策で、多くの地方政府が22年の正月や春節(旧正月)時の帰省や旅行を控えるよう呼びかけている。

21年の春節も政府の呼びかけで帰省や自粛が広がり、経済活動が鈍った。21年1~3月の実質国内総生産(GDP)は季節要因を調整した前期比の伸び率が0.2%増にとどまった。中国政府は年末年始の景気動向も注視したうえで、最終的な目標値を詰めるとみられる。』