中東欧、言論の自由を封じ込め ポーランドは外資規制

中東欧、言論の自由を封じ込め ポーランドは外資規制
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR20B380Q1A221C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『【ウィーン=細川倫太郎】欧州連合(EU)に加盟するポーランドの議会は自国メディアの外資規制を強化する法案を可決した。米メディアが実質的に保有しているポーランドのテレビ局の弱体化が狙いにあるとみられ、米国は猛反発している。ハンガリーも言論の自由を脅かしており、中東欧で民主主義の土台が揺らいでいる。

ポーランドは欧州以外の企業が自国メディアの49%以上の株式を保有することを禁じている。米メディア大手ディスカバリーは、オランダに設立した会社を通じて、ポーランドの独立系大手放送局「TVN」を所有し、規制適用を回避してきた。

17日に可決した法案はこうした間接的な所有に規制を強める内容で、ディスカバリーはTVNの株式の売却を迫られる可能性がある。TVNはポーランド政府に批判的な報道で知られている。与党「法と正義」は外資が国内で大きな力を持ちすぎて、国民の議論をゆがめていると批判してきた。ドゥダ大統領が署名すれば、法案が成立する。

米国務省のプライス報道官は「報道の自由とポーランドの外国投資環境に深刻な影響を与えることになる」と警告した。自由で独立したメディアは民主主義を強化し、2国間関係を支えるものだと強調し、法案の撤回を求めた。19日には首都ワルシャワなど各地で市民の大規模な抗議デモが起き、「メディアの自由を」などと訴えた。
ハンガリーのオルバン政権もメディア統制を強めている=ロイター

ハンガリーもメディアへの介入を強めている。

欧州メディアによると、オルバン政権は、政府に批判的なメディアには公共広告を削減して経営を弱らせ、政権に近い人物が買収に動くことが繰り返されてきた。2020年には1日100万人近くが閲覧する独立系のニュースサイト最大手の編集長が解任された。現在は大半のメディアが与党の支配下にあるといわれている。

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)の21年の報道自由度ランキングによると、ハンガリーは180カ国・地域のうち92位。オルバン政権が発足した10年の23位から急低下している。国連で言論と表現の自由を担当するカーン氏は「民主主義において、情報の独占はありえない」と非難する。

冷戦を経て民主化を果たしたポーランドとハンガリーは04年にEUに加盟した。08年の金融危機や、15年の欧州難民危機を機に、西側の価値観を疑う国民が増えると、ポピュリズム(大衆迎合主義)を前面に打ち出し、強権的な政権運営に傾斜した。近年は都市部の若者を中心にこうした強権政治を批判する声も多く、来春に総選挙があるハンガリーは与党と野党が接戦を繰り広げている。オルバン政権はメディア統制を強めることで選挙で負けない状況をつくるのに躍起になっているとの見方もある。』

リビア大統領選、実施「不可能」 議会が表明

リビア大統領選、実施「不可能」 議会が表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR22B7I0S1A221C2000000/

『【カイロ=久門武史】国が分裂状態のリビアで東部を拠点とする代表議会の委員会は22日、24日に予定していた大統領選が「実施不可能」と表明した。選挙手続きが整わない中で、2011年まで独裁政権を率いた故カダフィ大佐の次男らの出馬表明によって混乱に拍車がかかり、民兵による選挙妨害も懸念されていた。

大統領選は内戦後の和平に向けた一歩として国連などが実施を促してきた。代表議会の委員会は22日「技術的な面や安全面の報告を検討した結果、12月24日の選挙実施は不可能」とする書簡を議長に送った。新たな期日は示していない。選挙管理当局は22日、来年1月24日まで延期するよう提案した。

リビアではカダフィ政権崩壊後、民主化が混迷し内戦に陥った。東西の勢力が戦闘を重ねたが20年10月に停戦で合意し、国連の仲介で今年3月に発足した暫定統一政権の下で選挙実施を目指してきた。』

ヴァレリー・ペクレス

ヴァレリー・ペクレス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B9

『ヴァレリー・ペクレス(Valérie Pécresse、1967年7月14日 – )は、フランスの政治家。現在、イル=ド=フランス地域圏知事。ヌイイ=シュル=セーヌ出身。共和党所属。知日派としても知られる[1]。

目次

1 来歴
2 パーソナル
3 外部リンク
4 出典

来歴

父親はボロレ・テレコム(英語版)の社長を務めたドミニク・ルー(フランス語版)。HEC経営大学院(HEC School of Management)とフランス国立行政学院(ENA)を卒業後、国務院(コンセイユ・デタ)に勤務する。1998年大統領府に入り、ジャック・シラク大統領の演説原稿の起草を担当する。

2002年の下院議会選挙にイヴリーヌ県を選挙区として国民運動連合(現在の共和党)から立候補し初当選。2004年からは、イル=ド=フランス地域圏議会議員に選出されたほか、国民運動連合の報道官も担当した。2007年フランソワ・フィヨン内閣の高等教育・研究大臣として入閣し、2011年まで在任。その後、財務相(2011-2012年)に転じた。2015年よりイル=ド=フランス地域圏知事。

2021年7月、2022年4月に実施されるフランス大統領選挙の共和党候補を選ぶ党予備選への立候補を表明[2]。12月4日の決選投票で61%の票を獲得して勝利し公認候補に決まる。同党が大統領選で女性候補を擁立するのは初めて[3]。

パーソナル

日本語を学び、ソニーでインターン経験もある知日派として知られ、現在も基本的な日本語を話せる。2021年11月には日仏の相互理解に寄与したとして、日本政府より旭日中綬章が授与されることが決定した[1][4]。

二男一女の母。 』

仏大統領候補ゼムール氏 支持者酔わす極右の「歴史家」

仏大統領候補ゼムール氏 支持者酔わす極右の「歴史家」
パリ支局 白石透冴
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR02FAM0S1A201C2000000/

『フランスの極右評論家エリック・ゼムール氏(63)が2022年大統領選に出馬する。黒人・アラブ系住民の差別、女性蔑視の発言を繰り返し「フランスのトランプ大統領」とも言われる同氏だが、世論調査では3位圏と主要候補としての位置づけを維持する。なぜ一定数の支持を集めるのか。支援者集会の取材を通して探った。


選挙スローガンはナポレオンの言葉

「私は人種差別主義者ではないし、みなさんも違う。ただフランスを守ろうとしているだけだ」。ゼムール氏は5日、パリ郊外の支援者集会で声を張り上げた。背後には選挙スローガンのナポレオンの言葉「IMPOSSIBLE N’EST PAS FRANCAIS(余の辞書に不可能の文字はない)」のパネルが掲げられている。主催者発表では約1万3千人が参加し、フランスの三色旗を持ち熱狂的に支持を表明した。

ゼムール氏はパリ郊外出身のアルジェリア系ユダヤ人だ。優秀な学生だったが、エリート養成校の最高峰である国立行政学院(ENA)への入学は2度失敗した。ジャーナリストとして中道右派大手紙フィガロなどに勤務した後、テレビ出演で知名度を高める。

仏メディアが18日に報じた世論調査によると、支持率はマクロン大統領が24%で首位、次に中道右派共和党のペクレス氏が17%で2位、ゼムール氏と極右国民連合のルペン党首が14.5%で同率3位で追う。

11月、仏西部ボルドーで開かれた支援者集会は、ボルドー駅から北に5キロメートルほど離れた会議場が会場で、周辺には警官や憲兵があちこちに立ち警戒にあたっていた。
支援者集会の参加者はほぼ白人系

訪れた支援者約1400人はほぼ全員が白人系だ。人種差別発言を繰り返す同氏なので不思議はない。女性と若者に人気がないとの指摘を意識したのか、スタッフには女性と若者を積極的に起用している。会場では帽子やマグカップなど「ゼムールグッズ」も並べられた。
会場には「ゼムールグッズ」が並べられた。スタッフには若者が多い(仏ボルドー)

演説前に支援者に話を聞くと、まず治安対策や黒人・アラブ系の敵視をとなえる同氏の戦略が共感を呼んでいることがわかる。「ボルドー郊外は、夜になると薬物取引の連中がうろうろするから危なくて外に出られないんだ。変えられる政治家が必要だ」と男性会社員、オレリアンさん(32)は語る。「人種差別をしたいんじゃない。治安のために何かしなくちゃいけないんだ」と力説した。

ゼムール氏は治安悪化の原因は移民であるとして、大幅に制限すべきだと語ってきた。不法入国などでフランスにいる若者は「追い返すか、そもそもフランスに来させてはいけない」と主張する。


移民敵視で支持を得る極右的手法

移民をスケープゴートにして自身の支持を高めるのは、ドイツ、イタリア、スペインなど各地でみられる極右政治家の典型的な手法だ。皮肉なことに移民系住民を敵視する考え方は、自身のルーツであるユダヤ民族がフランスで受けてきた差別とも似通う。

仏内務省の統計では、治安が急激に悪化している事実はない。性犯罪、暴行事件が増える一方、強盗、空き巣、車上荒らし、器物損壊などは減る。殺人はほぼ横ばいだ。だが散発するテロ事件も手伝って、治安悪化の感覚を持つ人はいる。

気付くのは、ゼムール氏がルペン氏に失望した有権者を取り込んでいることだ。ルペン氏が党首を務める国民連合は1972年に前身の国民戦線が作られ、仏国内の極右勢力をまとめてきた。しかし大統領選の決選投票にルペン氏が1回、父ジャンマリ・ルペン氏が1回それぞれ進んだのみで当選にはほど遠い。「長年ルペン氏を支持してきたけどね。彼女じゃ大統領就任は無理だな」。定年退職して無職のクリスチアンさん(63)は今回大統領選はくら替えすると語った。


理知的な印象をアピールする演説スタイル

ゼムール氏が会場に到着した。立って演台に両手をついて原稿を読み上げるスタイルで、動きが少なく堅苦しい印象も与えるが、理知的との印象を与える戦略だ。
演台で原稿を読むゼムール氏の形式は堅苦しい印象も与える(仏ボルドー)

「哲学者モンテスキューは、ボルドー近郊に生まれた。彼は『ガロンヌ川沿いのワイン、ガスコーニュ地方の気質があれば気分が落ち込むことはない』と著書で述べている」――。スピーチには不自然なほど歴史上の人物や地名をちりばめる。

これが支持を支えるもう一つの要素だ。誇り高き自国の歴史を知っているとの印象を与え、自らをナポレオンや戦中・戦後に指導力を発揮したシャルル・ドゴール将軍などと重ね合わせる。フランスの地位が下がっていると不満を持つ極右の知識層を取り込むのが狙いだ。会場に来た名門ボルドー政治学院の学生アドリアンさん(18)は「フランスはイスラム教との内戦状態にあると思う」と語り、ゼムール氏の持論に同調した。女性会社員(23)は「彼は歴史をよく知っている。この知性に引かれる」とほれぼれした様子だった。支援者は同氏は歴史家と考えるが、誤りや曲解が多いと指摘される。

ここに来て、ゼムール氏は発言に慎重になっている。支援者から「銃規制を緩めてフランスも個人が銃を持てるようにすべきでは」と聞かれると「まずは治安当局が治安を守るのを優先したい」と応じた。支持に結びつかないと判断した話題では踏み込まない。
会場に集まったのは白人系の支援者がほとんどだ(仏ボルドー)

約30分の演説後、国歌「ラ・マルセイエーズ」を斉唱して締めくくった。右派系の集会は国歌を歌って団結を確認するのがお決まりだ。

フランスは戦後の高度経済成長期、北アフリカなどから労働力として移民を多く受け入れた。それはイスラム教徒の増加も意味し、豚肉を食べない、男女で握手を原則しないなどの一部教徒の習慣が、仏文化と衝突を起こすようになる。19年の世論調査では「イスラム教はフランスの価値観と相いれない」と答える人が6割に上った。文化が脅かされているという不安感もゼムール氏に追い風となる。


トランプ前米大統領に似るメディア対応

トランプ前米大統領と似通うのは、メディアを利用しつつ敵対する姿勢だ。9月のテレビ討論で、ゼムール氏は数字の誤りを訂正した記者に「バカな数字を持ち出してきたあなたはバカ丸出しだ」と侮辱した。

移民や治安の主張に注力する一方で、特に外交についての言及は少ない。同氏は支援集会前にボルドー駅前の喫茶店でジャーナリスト向け懇談会を開いたので、ちょうどいい機会と思い、対ロ関係、対中関係について尋ねてみた。

「ロシアはソ連ではなく、敵でもない。同盟関係を探らなければいけない」。ゼムール氏は親ロ派であることを示唆した。中国については「警戒しなければいけない。ナイーブな気持ちで臨んではいけない」との回答だった。やはり具体論には踏み込まなかった。

実はゼムール氏の支持率は伸び悩んでいる。女性市民に中指を立てるなどの行動が批判されたことや、ペクレス氏の人気が急上昇したことが理由だ。巻き返しのためにどんな発言をしてくるか、ゼムール氏の今後の動きに注目が集まっている。』

台湾国防部、中国軍機の侵入が今年940機超と公表

台湾国防部、中国軍機の侵入が今年940機超と公表
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM22B1U0S1A221C2000000/

『【台北=中村裕】台湾の国防部(国防省)は22日、2021年に防空識別圏に侵入した中国軍機の延べ数が、940機を超えたことを明らかにした。立法院の外交・国防委員会の求めに応じ、提出した中国関連の報告書の中で示した。日本経済新聞の調べでは、中国軍機は1年で230日以上にわたって侵入していた。

報告書では、中国が台湾への武力侵攻を諦めていないとも指摘した。スパイ活動やサイバー攻撃を通じたいわゆる「グレーゾーン作戦」にも強い危機感を示した。

報告書では具体例は避けたが、特に台湾内部の協力者を通じたスパイ活動が近年、脅威を増している。ロイター通信は20日、過去10年間に、台湾でスパイ容疑で有罪判決を受けた台湾軍の現役や退役した大尉以上の軍人が少なくとも21人に上ったと報じた。蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の警護の機密情報にもスパイ活動が及んだと指摘した。現在、少なくとも9人が裁判中か調査中としている。

これを受け、国防部トップの邱国正・国防部長は同委員会の出席前、報道陣の取材に応じた。「軍内部では一貫してスパイ防御の観点から意識の強化を図ってきた。最も重要なのは『早期発見』だ」と強調し、今後も組織の強化を一段と図る考えを示した。』

習氏、香港選挙「成功裏に実施」と評価 行政長官と会談

習氏、香港選挙「成功裏に実施」と評価 行政長官と会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM22A9C0S1A221C2000000/

『【北京=羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は22日、北京市で香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官と会談した。習氏は親中派一色になった香港立法会選挙の結果について「選挙が成功裏に実施され、香港人が主人公になることを体現したものだ」と高く評価した。

香港メディアが伝えた。19日投票の香港立法会選挙は親中派が99%にあたる89議席を得た。今回は習指導部が「愛国者による香港統治」を掲げて見直した新制度で初めての選挙となった。

習指導部は香港の民主化を目指す勢力の裏に「外国勢力との結託がある」(中国外務省)とみて、2020年に香港国家安全維持法を制定。選挙制度も見直して事実上、民主派を排除した。習氏の発言には香港の「中国化」に一定のめどをつけたとの自負が表れている。

香港政府の行政長官は毎年、習氏に年間報告をすることになっている。習氏は「中央政府は香港政府の活動を十分肯定している」と話した。』

欧州天然ガス最高値、2割超急騰 逼迫不安が長期化

欧州天然ガス最高値、2割超急騰 逼迫不安が長期化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2200X0S1A221C2000000/

『【ロンドン=篠崎健太】21日の欧州エネルギー市場で天然ガスの値上がりが加速した。翌月物の取引価格は前日比で一時25%上げ、過去最高値を大幅に更新した。ロシアからの供給不足の不安が解けないまま気温が下がり、冬季の需給が逼迫するとの懸念がさらに広がっている。市場は需給の引き締まりが春以降も続く可能性を意識しており、物価高に拍車をかけて景気への逆風が強まりかねない。

金融情報会社リフィニティブによると、欧州の指標価格であるオランダTTFは2022年1月渡しの取引で一時、前日より37.55ユーロ(25%)高い1メガワット時あたり184.95ユーロまで値上がりした。10月6日につけた翌月物としての最高値(155ユーロ)を大きく塗り替えた。20年末と比べて10倍近い水準だ。

欧州では本格的な冬を迎えて気温の低下が進んでいる。英調査会社エナジー・アスペクツの欧州ガス部門責任者、ジェームス・ワデル氏は「今週に入り非常に寒くなった。1月まで低温が続けば在庫が急減して1~3月期後半に底をつきかねない」と話す。

ユーロ圏では11月の消費者物価指数の前年同月比上昇率が約5%と、統計開始以来の最大の伸びを記録した。エネルギー高は物価をさらに押し上げかねず、企業業績や家計の圧迫につながる。

21日の急騰に拍車をかけたのは、欧州が輸入を頼るロシアからの供給をめぐる新たな動きだ。ロイター通信によると主要パイプライン「ヤマル・ヨーロッパ」で、欧州方面の西向きの流量が前週末以降に急減し、21日には流れが逆であるロシア方面の東向きへと転じた。

このパイプラインはベラルーシとポーランドを経てドイツに向かう主要な供給網の一つ。独運営会社ガスケードによると天然ガスはドイツからポーランド方向へ流れ始めたが、詳しい背景は明らかにしていない。根底にはロシアからの供給減があるとみられ「ロシアでも気温低下で需要が高まっているためではないか」(市場関係者)との声が聞かれた。

欧州の貯蔵能力に占める天然ガスの在庫率は20日時点で59%と、直近10年間の平均を17ポイント近く下回る。供給が増えなければ在庫の取り崩しが加速しかねない。ロシアが国境に兵士を大量動員するウクライナとの緊張も尾を引いている。

21日は幅広い年限で天然ガスが買い進まれた。22年2月物は180ユーロ台、同3月物は160ユーロ台に乗せてそれぞれ2割超上げたほか、同4~6月物も120ユーロ台後半まで4割近く跳ね上がった。22年後半以降の期先の取引も軒並み急伸した。高騰に歯止めがかからなければインフレの長期化をもたらす。

フランスで原子力発電所がメンテナンスのため一部停止していることも、代替エネルギー源として天然ガスの需要を高めているもようだ。主要国では卸電力のスポット(随時契約)価格も騰勢を強めている。

天然ガスの値上がりを受けて世界的に液化天然ガス(LNG)の引き合いが増えている。調達で競合するアジアの相場にも波及しており、日本のエネルギー価格にも上昇圧力がさらに強まりそうだ。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版は21日、欧州での天然ガスの値上がりを受け、LNGの仕向け先を欧州に急きょ切り替える動きが出ていると報じた。アジアに向かっていた米国発のタンカーが途中で欧州へ進路変更したり、オーストラリアから10年以上ぶりにLNG運搬船が欧州へ出航したりする行動が観測されているという。

【関連記事】

・欧州ガス高騰、アジアに波及 国内の電気代も高止まり
・欧州天然ガス最高値 ロシアの供給減を警戒、再び騰勢
・プーチン氏、欧米が敵対的行動継続なら「軍事的措置」

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

天然ガスの高騰は電力料金の上昇につながっておりコロナ禍で市民生活を直撃しているのは事実だ。

ただしEUでは現在の化石燃料価格の高騰や価格変動が大きいこと、およびロシアの天然ガスへの大きく依存していることが中長期的にEUの経済にはマイナスだとの認識がある。

だからこそ再生可能エネルギーの供給拡大を急ぐべきであり、現在の天然ガス価格の高騰を脱炭素に向けた移行に責任があるとの考えは間違いだと考えているようだ。

極端な自然災害は直近の東南アジアの洪水のように毎年世界各地で見られており、再生可能エネルギーの供給の多様化や技術革新を進めることが価格低下につながっていくという基本的な考えを我々も崩してはならない。

2021年12月22日 7:37

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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別の視点

風力など再生可能エネルギーは発電量が不安定かつ現状では不十分であり、ヨーロッパ経済は発電燃料として、バックストップ的な部分を含め、ロシアという専制主義国家からの供給への依存度が高くなっているのが実情である。

今回起こった再度の天然ガス価格高騰劇はその点を如実に示している。端的に言えば、資源国ロシアに欧州経済は首根っこを握られている。

そうした中で、米バイデン政権が主導する「民主主義国家の団結・専制主義国家との対決」路線に、欧州諸国がどこまで歩調を合わせることができるだろうか。

メルケル退場後のドイツ政府の対ロシア姿勢が1つの注目点になる。

2021年12月22日 8:04

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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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別の視点

天然ガスの需給逼迫と価格高騰が長引けば、世界の2050年カーボンニュートラル実現に向けて天然ガスをトランジションエネルギーに位置付けることも難しくなる恐れがあります。

とはいえ、この事態で世界の天然ガスの供給体制の脆弱さも露呈してしまいました。

こうなると天然ガスをトランジションエネルギーとして確立するには、その開発促進と安定供給を天然ガスを含めた化石燃料の新規開発への強い逆風が吹く中でも世界に説き前進を試みるしかないのかもしれません。

この厳しい現実を再生可能エネルギーへの転換を加速させる欧州での天然ガスの価格高騰で気付かされるとは、何とも皮肉です。

2021年12月22日 20:33

志田富雄のアバター
志田富雄
日本経済新聞社 編集委員
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分析・考察

商品市場全体を見れば変異型の感染拡大や中国経済への不安、米国の早期利上げ観測といった材料が上値を抑える格好になっています。

その中で、欧州の天然ガス価格は供給不安が押し上げています。今日の別な記事でロシアのプーチン大統領が示唆する「軍事的措置」が現実になればさらなる価格高騰だけでなく、真冬の欧州が深刻なエネルギー不足に陥るリスクがあります。

日本などのアジア各国も無縁ではありません。アジア地域の液化天然ガス(LNG)先物気配値が、2023年春まで持ち上がってきていることを見ると天然ガスの需給逼迫は長期化する可能性もあります。

2021年12月22日 7:20 』

[FT]LNG船、航海途中で欧州へ進路変更 上乗せ金高額に

[FT]LNG船、航海途中で欧州へ進路変更 上乗せ金高額に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB224N50S1A221C2000000/

 ※ 『「欧州は明らかに大量のLNGを入手できるよう価格を設定しており、それだけのLNGが必要だ。これがなければ、天候次第で供給の状況が非常に深刻になりかねない。在庫水準はすでに低く、冬の終わりまでには極端に低くなっている」』…。

 ※ ということで、なりふり構っていられなくなったんだろう…。

 ※ 口では、「キレイなことを言って」いても、やってることはこういうものだ…。

 ※ 最後は、「カネに物を言わせる」ことになる…。気候変動対策、脱炭素はどうなった…。

 ※ まあ、「ワクチンかき集め」見てても、そういうものだな…。

『欧州各地でガス価格が過去最高値に急騰するなか、液化天然ガス(LNG)を積んでアジアへ向かっていた船が、大幅なプレミアム(上乗せ)を払う用意のある欧州の消費者に供給するために航海の途中で進路を変えている。

欧州は天然ガス価格の急騰を受けて、タンカーによる調達を急いでいる=ロイター

今年はおおむね、電力を生産するために発電所で使われるLNGの出荷を巡り、中国や日本、韓国のバイヤーが欧州勢より高い値段をつけて供給を確保してきた。

だが、アジア各地で貯蔵タンクが満杯になった今、大西洋海盆からアジアに向かっていた出荷先未指定のLNGが荷主によって目的地を変更され、急騰する価格と需要に便乗するために欧州へ向けられている。主要パイプラインでロシア産ガスの供給が止まると、欧州のガス価格は21日に23%高騰し、1メガワット時あたり182ユーロの最高値を付けた。

米調査会社S&Pグローバル・プラッツのキーラン・ロウLNGグローバルディレクターは「欧州のガス市場は今、節目を突破した」と話す。「LNGの輸出先となるあらゆる主要市場が欧州の主要ガス拠点を下回っている」という。

プラッツのデータによると、欧州市場とアジア市場の価格差は現在、記録に残る限り最大に達している。

欧州向けとアジア向けLNG価格が逆転

スポット(随時契約)の欧州向けLNG出荷価格は100万BTU(英国熱量単位)当たり約48.5ドルで、アジアでは同41ドルだ。プラッツによれば、10月、11月にはアジアの価格が欧州の価格を平均5ドル上回っていた。

LNGタンカーの動向を調査している調査会社ICISアナリストのアレックス・フローリー氏は、「欧州のガス・スポット価格高騰を受け、珍しい荷動きが起きている」と話す。

アジアに向かっていた米国のLNGタンカーが進路変更して欧州の港へ向かったケースもあれば、オーストラリア産のLNGが十数年ぶりに欧州へ出荷されたケースもあった。

米国のLNGタンカー「ミネルバ・チオス」は12月15日にインドの近くを東に向かい航行していたが、その後進路変更し、今ではスエズ運河に向かう航路を進んでいる。欧州への引き渡しを示唆する動きだとフローリー氏は言う。

2隻目の米国のLNGタンカーは先週、マラッカ海峡の近くで進路変更しており、3隻目は今月、積み荷のオーストラリア産LNGの大半を中国で降ろした後、残る一部を24日にスペインのバルセロナに届ける予定になっている。

フローリー氏は「オーストラリア産LNGが欧州に入荷するのは、英国とフランスに何度か届けられた2009年以来初めてだと見られている」と話す。

大量調達のための価格設定

世界最大の独立系LNG商社グンボルの創業者兼最高経営責任者(CEO)のトルビョルン・トルンクビスト氏は、今月は通常の出荷以外に15~20カーゴ(1カーゴは約7万トン)が追加で欧州に向かい、1月も同量になると予想していると説明する。

「欧州は明らかに大量のLNGを入手できるよう価格を設定しており、それだけのLNGが必要だ。これがなければ、天候次第で供給の状況が非常に深刻になりかねない。在庫水準はすでに低く、冬の終わりまでには極端に低くなっている」

ICISのフローリー氏は、南米ペルーのパンパ・メルチョリータ地区にあるLNGターミナルと長期購入契約を結んでいる英蘭石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルが19年以来初めてペルー産LNGを英国へ出荷していると話す。10月末以降、こうしたシェルの積み荷が7カーゴ英国に到着しており、「向こう数週間」でさらに4カーゴの到着が予定されていると言う。

大陸欧州と同様、英国のガス価格も年初来およそ650%高騰しており、24社以上の国内エネルギー業者が破綻に追い込まれた。

英国の卸売価格と連動する先物契約は15%上昇し、1サーム(約29・3キロワット時に相当)あたり4.29ポンドの最高値をつけている。今月で77%の上昇で、原油換算で1バレル320ドルに相当する価格だ。ブレント原油は現在、1バレル72.41ドルで取引されている。

ガスは英国の発電量の約40%を占め、英国家庭の大半が暖房にガスを使っている。英国は供給全体の約2割をLNG運搬船による入荷に依存している。

By Tom Wilson, Neil Hume and Valentina Pop

(2021年12月22日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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[FT]米国のLNGを求める中国 エネルギー・環境は協力

[FT]米国のLNGを求める中国 エネルギー・環境は協力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB220KP0S1A221C2000000/

『天然ガスへの需要が旺盛な中国が米国の液化天然ガス(LNG)大手と相次ぎ輸入契約を結んでいる。米中関係は緊張が高まっているが、二大国のエネルギー貿易は拡大している。
中国は今年日本を抜いて世界最大のLNG輸入国となる一方、米国は今年1〜9月の中国向けLNG輸出で豪州に次ぐ2位となった(中国・大連にあるLNG輸入施設)=ロイター

20日には米ルイジアナ州で輸出プラントを2カ所建設中の米ベンチャーグローバルLNGが、中国最大のLNG輸入企業である国営の中国海洋石油(CNOOC)と年350万トンを輸出する2つの契約で合意したと発表した。

これにより今年10月以降に米企業と中国の顧客が締結した大型契約は7件となった。一部の契約期間は数十年に及ぶ。アナリストは中国が今年日本を抜いて世界最大のLNG輸入国となると見ている。一方、米エネルギー情報局(EIA)によると、米国のLNG輸出能力は来年オーストラリアとカタールを追い越す見込みだ。

新疆ウイグル自治区でのウイグル族の迫害、香港の民主化運動の弾圧、台湾近海での軍事活動など様々な問題をめぐり米中関係は緊迫の度を増している。これに対して中国は、米国が覇権主義的な行動を取り両国間で新たな冷戦を始めようとしていると非難する。
COP26の気候変動対策で合意した米中

その半面で両国はエネルギーや気候変動問題で協力関係にあり、相次ぐLNG契約はその証しでもある。先月開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)でも、両国は予想に反して気候変動対策で合意した。また原油価格の高騰を抑えるため、各国と協調して戦略石油備蓄を放出した。

「米中関係は多くの面で最悪の状態にある」。米コロンビア大学気候変動研究大学院の院長で、オバマ政権でエネルギー担当の大統領特別補佐官を務めたジェイソン・ボードフ氏はこう述べた。「だが緊張や対立があっても、エネルギーと気候変動は協力を深められる可能性がある分野だ」

ベンチャーグローバルは11月、国営の中国石油化工(シノペック)と年400万トンのLNGを20年間供給する契約を結んだ。また同社の商社部門ユニペックとの間でも計350万トンを供給する複数の短期契約を交わしている。CNOOCとの契約の一つも期間は20年だ。

ベンチャーグローバルのマイク・セイベル最高経営責任者(CEO)は、中国が二酸化炭素(CO2)排出削減のために火力発電所の燃料を石炭からLNGに転換していることが契約の背後にあると述べた。シノペックとの契約はCOP26の前に良いメッセージを発信できるようタイミングが計られたという。

「中国は他のアジア諸国に先駆けて契約すべく素早く動いている」とセイベル氏はフィナンシャル・タイムズ(FT)に述べた。「だが我々が契約を発表している間にも他の国々は対応するだろうし、すでに動き始めている国もある。さもなければ中国がますます有利になるからだ」

「世界中で米国産LNGの需要が高まり、また最も早く手に入るのが米国産LNGという異例の事態が起きている」
ガス供給源の確保急ぐ中国企業
中国海洋石油は20日、米ベンチャーグローバルLNGと年350万トンのLNGを輸入する2件の契約を結んだ。このうち1件は期間20年に及ぶ長期契約だ=ロイター

米LNG最大手のシェニエール・エナジーは中国が成長を下支えしてくれると期待する。同社は最近、国有化学大手の中国中化集団(シノケム)などに合計で年間300万トンを供給する契約を結んだ。

「今後数十年にわたり、アジアのLNG需要が業界の成長を支える原動力になるだろう。中でも中国は最大の顧客だ」とシェニエールのアナトール・フェイギン最高商務責任者(CCO)は10月にFTに述べている。

トランプ政権下では米国による中国製品への追加関税の報復措置として中国が米国産ガスに関税を課したため、LNG契約や輸出は低調だったが、次第に回復しつつある。中国では電力不足により経済活動が停滞し、世界的にガス価格が高騰しており、中国企業はガスの供給源確保を急いでいる。

金融情報会社リフィニティブによると、今年1〜9月の中国向けLNG輸出で米国は2位だった。1位はオーストラリアだが、米国と同様に対中関係は悪化している。

「中国はLNGの半分を米国とオーストラリアから輸入している。中国政府には歯がゆい状況だろう」。米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のエネルギー・地政学部門を率いるニコス・ツァフォス氏はこう指摘した。「だが開発案件があれば行かざるを得ないのだから、致し方ない」
米国は重要な燃料供給源

中国外務省が発表した11月の米中首脳電話会談の要旨によると、習近平(シー・ジンピン)国家主席はバイデン米大統領に「天然ガス分野での協力関係を強化したい」と伝えた。中国が米国を重要な燃料供給源とみている証しだ。

しかし天然ガスの米国内価格が100万BTU(英国熱量単位)あたり6ドル(約680円)を上回り2008年以来の高値を付ける中で、ガス輸出は政治的に慎重な対応が求められる問題になりつつある。

米民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は米エクソンモービルや英BPなど主要天然ガス企業11社のCEOに書簡を送り、「国内価格の高騰を抑えるため天然ガス輸出の削減、一時中止または終了を検討したことがあるか」と尋ねた。

一部のCEOはLNGを輸出すれば他国が火力発電所の燃料を石炭から天然ガスに切り替えるのを米国が支援する機会になると反論した。
不都合な現実

コロンビア大のボードフ氏は輸出削減に動けば「信頼できるエネルギー供給源」としての米国に対する信頼が低下すると述べた。また欧州各国がロシアへの天然ガス依存に懸念を抱いていることを引き合いに出し、「どちらにも政治的、地政学的側面がある」と指摘した。

米経済を化石燃料への依存から脱却させようとしているバイデン政権にとって、天然ガス貿易の活況は政治的にいたたまれない面もある。CO2排出量が石炭より少ないとはいえ、天然ガスも温暖化ガスの主要な排出源だからだ。

これは世界が依然として化石燃料に大きく依存しており、米国が石油・ガスの主要生産国であるという「非化石燃料への転換を進める際の不都合な現実」を映し出しているとCSISのツァフォス氏は指摘した。「実際、この現実が米中両国を後ろめたくさせている」

By Justin Jacobs and Derek Brower

(2021年12月21日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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1月にロシアと2国間協議、米国務省高官が見通し

1月にロシアと2国間協議、米国務省高官が見通し
ウクライナ侵攻なら、国際金融網から排除も選択肢
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2211N0S1A221C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】ドンフリード米国務次官補(欧州・ユーラシア担当)は21日の電話記者会見で、2022年1月にウクライナ情勢をめぐるロシアとの二国間協議を実施するとの見通しを示した。「具体的な日程は決まっていないが、1月中に動きがあるだろう」と述べた。

ドンフリード氏は「ウクライナ国境にロシア軍が駐留していることに引き続き深い懸念を抱いている」と表明した。ロシアがウクライナに軍事侵攻すれば「即座に行動する準備ができている。厳しい代償を伴うことになる」と強調した。

具体的な措置として世界の銀行の送金システムを運営する国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアを排除する可能性があるかを問われ「制裁措置の選択肢がないわけでなく、ロシアの経済や金融システムに深刻な影響を与える話をしているのは事実だ」と否定しなかった。「具体的な内容を伝えるつもりはない」とも語った。

ロイター通信は21日、米政府関係者の話としてロシアがウクライナに侵攻した場合、スマートフォンや航空機、自動車などの部品の対ロ輸出を停止する対抗措置を検討していると報じた。「この措置はロシアの消費者、産業活動、雇用に大きな影響を与える可能性がある」と伝えた。

米欧はロシアが隣国ウクライナとの国境付近に軍を集結し、14年に続いて再び侵攻すると警戒を強める。ロシアは今月に米欧に欧州安全保障の新たな合意案を提示した。北大西洋条約機構(NATO)の東方への拡大停止や東欧からの事実上の軍撤収などを求める内容で、米欧との協議は難航しているもようだ。

ブリンケン米国務長官は21日の記者会見で、バイデン大統領とロシアのプーチン大統領による再協議について「現時点で予定はない」と語った。ロシア側に軍の撤退による緊張緩和を求めており、ブリンケン氏は「進展があるかどうか見極める必要がある」と話した。』

ソ連崩壊30年、再燃した東西冷戦 裏切り説が生んだ敵意

ソ連崩壊30年、再燃した東西冷戦 裏切り説が生んだ敵意
編集委員 池田元博
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD219L80R21C21A2000000/

『冷戦時代の東側陣営の盟主で、米国と並ぶ超大国だったソ連が崩壊して25日で30年がたつ。当時は東西冷戦の終結に続く歴史的な激変のもと、ソ連を継承した新生ロシアは早晩、西側の一員になるとみられていた。だが民主主義や市場経済は根付かず、ロシアは強権国家として復活。かつての東西冷戦時のように、米欧との対決姿勢を強めつつある。

「わが国民は繁栄した民主主義社会で暮らすことになるだろう」。1991年12月25日、苦渋の表情を浮かべたゴルバチョフ・ソ連大統領は国民向けテレビ演説を締めくくり、辞任を表明。ソ連は消滅した。

1991年12月25日、辞任の署名をするゴルバチョフ・ソ連大統領=ロイター

ゴルバチョフ氏はペレストロイカ(改革)を旗頭に、巨大な停滞国家の立て直しに挑んだ。国家独立に突き進む連邦構成共和国の圧力などで途中退陣となったが、「繁栄した民主主義社会」の実現はあながち夢物語ではないと考えていたようだ。政敵とはいえ、新生ロシアの初代大統領だった故エリツィン氏は西側志向が強く、急進改革を主張していたからだ。
ソ連崩壊を決定づけたロシア、ウクライナ、ベラルーシ共和国首脳による独立国家共同体(CIS)設立宣言の署名式(1991年12月8日、ベラルーシ)=AP 

実際、エリツィン氏が率いたロシア政権は翌92年の年初から、大胆な改革に踏み込んだ。とくに経済政策では、価格自由化を一気に断行した。民営化小切手を全国民に無償配布するなどして、国営企業の民営化も推進。市場経済を早期に定着させようとした。

急進的な改革、混乱招く

だがショック療法と呼ばれた急進改革は、社会を混乱のどん底に陥れた。ソ連末期と一変してモノが出回ったが、未曽有のハイパーインフレで年金生活者らは日々のパンの調達にも苦労した。

後に「オリガルヒ」と呼ばれる新興財閥などが有望企業を手に入れる一方で、多くの一般市民は失業や給料の未払い、遅配にあえいだ。プーチン大統領は国営テレビが今月放映したドキュメンタリー番組で「話すのは嫌」としつつ、90年代は生活苦から時々、自家用車に客を乗せる「白タク」で稼いでいたと明かした。

ロシアでは今でも、ソ連に郷愁を覚える国民が少なくない(13日、サンクトペテルブルクでソビエト社会主義共和国連邦のロシア語略称「CCCP」のTシャツに見入る人々)=AP 

国民の大半はほどなく米欧との統合の夢を捨て、「市場経済やリベラル改革、民主主義社会の構築を否定するようになった」(民間世論調査会社レバダ・センターのレフ・グトコフ前所長)。

米欧から専門家が改革に参加

西側の「裏切り」説も広がった。ロシアの改革には、米欧の多くの専門家が参加した。彼らの真の目的はロシアの再生ではなく、二度と米欧に対抗できない水準まで国力を弱体化させることにあったという見方だ。プーチン氏は民営化部門を含む当時のロシア政府内で、「米中央情報局(CIA)の工作員が活動していた」と述べている。

とりわけロシアが米欧への不信感を募らせたのは外交分野だ。代表例が冷戦期、ソ連に対抗する米欧の軍事同盟だった北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大だろう。エリツィン氏は早々に、新生ロシアが「NATOに加盟する意思がある」と表明していた。

だが米欧はロシアではなく、かつてソ連の勢力圏だった東欧諸国のNATO加盟を推進。99年にチェコ、ハンガリー、ポーランド、2004年には旧ソ連の構成共和国だったバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)を含む7カ国を加盟させた。

米国のクリントン大統領(当時、左)はロシアの主要国首脳会議入りを約束し、見返りとしてポーランドなど東欧3カ国のNATO加盟をエリツィン・ロシア大統領に認めさせた(1995年、モスクワでの米ロ首脳会談)=AP

プーチン氏によれば、かつてソ連が東西ドイツの統一とNATO残留を容認した際、西側の首脳は「NATOの東方拡大はしない」と確約していたという。ロシアにとっては、まさに米欧の「裏切り」で、軍事面でのロシアの一層の弱体化を狙ったとしか映らない。

ロシアではエリツィン氏の後継者で、2000年から国を率いるプーチン政権下で「改革の方向性は正反対になった」(カーネギー財団モスクワセンターのアンドレイ・コレスニコフ氏)。とりわけ14年にウクライナ領クリミア半島を併合して以降は、米欧との対決姿勢を一気に強めつつある。

プーチン大統領(右)の政権下で、エリツィン氏の大統領時代の改革路線は一変した=ロイター

直近では、新たな「東西冷戦」の最前線ともいえるウクライナの国境付近にロシアが軍部隊を集結。意図的に軍事緊張を高め、NATOの拡大停止、東欧での軍配備を東方拡大前の状態に戻すことなどを文書で保証するよう米欧に迫っている。最も警戒するウクライナのNATO加盟阻止に加え、いわば米欧への”積年の恨み”を晴らす思惑だろう。

ロシアの世論調査では、ソ連崩壊を「残念だ」とする人々が65%前後に上る。自らもソ連消滅を「悲劇」とするプーチン氏は、国民感情に乗じてソ連に回帰したかのような強権的な大国主義を掲げ、米欧の「裏切り」に反撃しているようにみえる。ロシアは「強権体質が長らく続く」(コレスニコフ氏)と予想され、今後も国際秩序の波乱要因となる恐れは否定できない。』

米議会「デジタル貿易協定を」 対中政策で政権に圧力

米議会「デジタル貿易協定を」 対中政策で政権に圧力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16E8Z0W1A211C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成】中国がインド太平洋の経済連携で攻勢をかけるなか、米議会はバイデン政権に中国への対抗策を打ち出すよう圧力を強めている。与野党の議員はデジタル分野を含めた貿易協定の締結を求めるが、政権は慎重な姿勢を崩さない。議会は中国に主導権を奪われるとの懸念を深めている。

下院外交委員会でアジアを担当する小委員会のベラ委員長(民主党)はこのほど日本経済新聞の取材に「米国がインド太平洋の同志国とデジタル貿易協定を結ぶことを強く支持する。経済連携を深める好機になる」と語った。

ベラ氏は11月、野党・共和党の下院議員らと共同で米通商代表部(USTR)のタイ代表に貿易協定の締結を求める書簡を送った。データを保管するサーバーやアルゴリズム(計算手法)の扱いなど、デジタル貿易を安全で円滑に進めるためのルールづくりを想定する。

バイデン大統領に近い民主党のクーンズ上院議員は16日、共和党の上院議員と計6人で政権に送った書簡で「インド太平洋に複数のデジタル貿易協定があるが、米国はどれにも入っていない」と危機感を表した。

下院で通商政策を担う共和党のラフード下院議員は12月上旬、インド太平洋で貿易協定を結ぶよう政権に指示する法案を提出した。声明で「中国がインド太平洋で影響力を行使するなか、米国はこの地域の貿易を主導しなければいけない」と訴えた。

議会がバイデン政権に圧力を強める背景には、中国の活発な動きがある。

中国は9月に環太平洋経済連携協定(TPP)、11月にはシンガポールとニュージーランド、チリが結ぶ「デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)」への加盟をそれぞれ申請した。中国を含む東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は2022年1月に発効する。

バイデン政権はTPPを含む自由貿易協定(FTA)に慎重だ。議会が政府に交渉を委ねる権限は7月に失効したが、政権は権限の延長すら議会に求めなかった。

バイデン政権は代わりに「インド太平洋経済枠組み」を22年初めに立ち上げると表明した。レモンド商務長官は「伝統的な貿易協定にならない」とクギを刺す。

新たな枠組みはデジタルのほか、技術、インフラ投資、サプライチェーン(供給網)、サイバーセキュリティーなどの分野で各国・地域がルールづくりで協力する。

詳細は今後詰める。例えばサプライチェーンでは生産能力や在庫などの情報を共有して、どの地域に弱点があるかを把握する取り組みを想定する。

レモンド氏は有力な連携相手として日本のほか、シンガポールやマレーシア、タイ、ベトナム、インドネシアなど東南アジア諸国を挙げる。

新たな枠組みは現時点で議会承認が必要な貿易協定を想定しておらず、法的拘束力を持つ協定に劣る。クーンズ氏らは書簡で、新たな枠組みを包括的な貿易協定に発展させるよう注文をつけた。

バイデン政権が協定の締結に慎重なのは、民主党の支持基盤である労働組合やリベラル派が貿易の自由化に反対するからだ。新たな枠組みの検討対象には、国内で賛否が割れない無難なテーマが並ぶ。

オバマ政権でTPP交渉官を務め、TPP復帰をバイデン政権に進言してきたウェンディ・カトラーUSTR元次席代表代行は「デジタルが議論されるのはいいことだが、どれくらい本格的に取り組むのかはっきりしない」と話す。

議会の圧力を受けて、バイデン政権が既存のデジタル協定への加盟など本腰を入れる可能性はある。ただ看板公約の歳出・歳入法案が民主党内の対立で暗礁に乗り上げており、他国との交渉に政治的なエネルギーを割きづらいという事情もある。』

11月の全米活動指数 低下、プラス圏は維持

11月の全米活動指数 低下、プラス圏は維持
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22E4X0S1A221C2000000/

『【ワシントン=長沼亜紀】米シカゴ連邦準備銀行が22日発表した11月の全米活動指数はプラス0.37で、前月の改定値から0.38ポイント低下した。2カ月連続のプラス圏だが、伸びは鈍化した。

同指数はゼロを上回ると米経済の成長ぶりが過去の平均を上回っていることを示す。

指数を構成する4分野すべてが低下した。特に「生産関連」がプラス0.21で0.21ポイント低下し全体を押し下げた。また「消費・住宅関連」はマイナス圏となった。消費に関する指標が全般に弱まった。

米経済成長の実態により即しているとされる3カ月の移動平均はプラス0.37で0.12ポイント上昇した。』

12月の米消費者信頼感指数 3.9ポイント上昇

12月の米消費者信頼感指数 3.9ポイント上昇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22ETJ0S1A221C2000000/

『【ワシントン=長沼亜紀】米調査会社コンファレンス・ボードが22日発表した12月の消費者信頼感指数は115.8(1985年=100)で、上方修正された前月(111.9)から3.9ポイント上昇した。111.0程度を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測を上回った。

「現在の景況」は144.1とほぼ横ばいだったが、「短期の見通し」が96.9で6.7ポイント上向いた。住宅や自動車、大型家電の購入やバケーションを計画する人の割合も増加した。
コンファレンス・ボードによると、前月に13年ぶりの高さに達した物価上昇への懸念が低下したほか、新型コロナウイルスへの懸念も下がった。調査は16日に締め切られ、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン」型の感染拡大の影響を十分に反映していない可能性があるが、コンファレンス・ボードのエコノミストは「年末にかけて景気の勢いは持続し、2022年初めも成長が続く」との見方を示した。』

米の平均寿命、コロナ下で1.8年短く 20年

米の平均寿命、コロナ下で1.8年短く 20年
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22EQH0S1A221C2000000/

『【ニューヨーク=吉田圭織】米疾病対策センター(CDC)は22日、米国の2020年の平均寿命が新型コロナウイルスの感染拡大などで、19年より1.8年短くなったとの確報値を発表した。第2次世界大戦時以来、最大のマイナス幅となった。

CDCが7月に発表したデータより寿命がさらに0.3年短くなった。20年の平均寿命は77.0歳だった。19年の米国の平均寿命は78.8歳で、第2次世界大戦の影響を受けた1943年(前年比2.9歳減)以来のマイナス幅となった。男性は74.2歳(同2.1歳減)、女性は79.9歳(同1.5歳減)だった。

新型コロナによる死亡は心臓病とがんに次いで3番目に多かった。死者数は35万人超と、全体の10.4%を占めた。CDCは寿命の縮小について、新型コロナに加えて心臓病や糖尿病、殺人、医療用麻薬「オピオイド」の過剰摂取や交通事故による死亡などが増えたことが影響したとみている。』