米人口0.1%増、過去最低の年間伸び率 21年7月時点

米人口0.1%増、過去最低の年間伸び率 21年7月時点
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21E4E0R21C21A2000000/

『【ワシントン=大越匡洋】米国勢調査局が21日発表した2021年7月1日時点の人口推計によると、米人口は1年間で0.1%増え、3億3189万3745人となった。同局は「増加率は過去最低」としている。高齢化の進展と出生数の低迷で自然増が鈍り、移民の流入も細った。人口鈍化を上回る生産性の向上がなければ経済成長の土台が揺らぐ。

1年間の人口増加数は39万3000人弱となった。自然増が約14万8000人、移民の純増が24万5000人弱だった。1990年代は人口が年1%以上伸び、2010年代も年間200万人前後、0.5~0.8%程度の増加を続けてきた。新型コロナウイルス危機で移民増にブレーキがかかった。コロナ禍前の19年7月までの1年間の移民増は60万人近かった。

白人層の高齢化で出生数が停滞したことも大きい。全国の年間出生数は358万2000人弱で、死亡数は343万4000人弱だった。

地域別ではニューヨークやカリフォルニア、首都ワシントンなどで人口が減った一方、テキサスやフロリダなどの人口は大きく増えた。

米国の白人数は今世紀半ばに人口の半数を割り込む。主流から少数派へと転じる恐れは強硬な移民規制を唱えるトランプ前政権を生んだ。さらに新型コロナの感染拡大に伴い、移民の流入は鈍っている。先進国のなかでも人口が安定的に増え、新たな経済成長と競争力向上の源泉としていく循環が崩れつつある。

米国の65歳以上の高齢者人口の比率は全体の約16%。3割近い日本や20%前後の欧州先進国よりは低いものの、合計特殊出生率は人口維持に必要な2強を下回っている。

人口動態は国際秩序の将来にも影響を与える。中国は14億人の人口を抱え、経済がデジタル化するなかで膨大なデータを集められる優位を生かしている。ただ中国は一人っ子政策を続けてきた結果、急速に高齢化が進み、すでに生産年齢人口(15~64歳)は減っている。人口減に転じる現実味が増し、国を挙げてロボット導入などを急ぐ。

米中ともに労働力の投入量が鈍る分、次世代に向けた成長分野への積極投資など、生産性をいかに引き上げるかが長期にわたる覇権争いを決するカギを握る。
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大槻奈那
マネックス証券 専門役員チーフ・アナリスト
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人口学者も”驚異“とする「0.1%増」は、これまでの最低記録の1918~19のインフルエンザ大流行や第一次世界大戦時を下回り、合衆国の建国以来最低。

パンデミックの特殊要因があるとしても、長期に亘る出生率の減少傾向をみると、今後も人口は伸びないことを所与とせざるを得ません。

これに対する施策は世界共通で、文中のロボット等の力を借りることや成長分野への投資もあるでしょう。

しかし、同時に知恵を絞るべきは、今後一層”希少資源”となる人々の持つ能力をいかに引き上げるか。日本でいえば、例えば教育、リスキリング、働き手の適材適所等をもっと危機感を持って検討すべきではと思います。

2021年12月22日 8:37

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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米国経済には、移民を含む人口増加・それを背景とする旺盛な消費需要、世界各地から流入する多様な才能の持ち主が導く技術革新という2つの強みが、長く伴ってきた。

だが、それらの強みが続きにくくなっている。記事にある「先進国のなかでも人口が安定的に増え、新たな経済成長と競争力向上の源泉としていく循環が崩れつつある」という部分がポイント。

トランプ前政権の政策運営に顕著に表れた排外主義の強まり、コロナ禍をうけた出生率の低下などが、米国の人口動態に影響を及ぼしている。世界経済の先行きを考える際、人口面の視点は欠かせない。

2021年12月22日 7:55

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石塚由紀夫
日本経済新聞社 編集委員
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先進国が少子化に悩むなか、米国は最近まで高い水準の出生率を誇ってました。

その一因は移民労働者の存在です。家事・育児を廉価で担う労働力があったからこそ、家庭責任を移民に任せて、仕事と子育てを両立しやすい環境にあったのです。

その要であった移民が減少すれば、仕事と子育ての両立は困難になり、米国でも今後少子化がさらに進むかもしれません。

少子化は文明・経済の発展に伴い避けられない現象だといわれています。人口減少を前提として社会構造を再構築することが先進国の急務です。

2021年12月22日 12:33 』