ロシア、米欧と緊張緩和遠く 一方的提案で「取引」狙う

ロシア、米欧と緊張緩和遠く 一方的提案で「取引」狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1836B0Y1A211C2000000/

『【モスクワ=石川陽平】ロシアは17日に欧州安全保障の新たな合意案を公表した。北大西洋条約機構(NATO)の拡大停止や東欧からの事実上の軍撤収などを一方的に求めている。米欧との協議が難航するのは必至で、緊張緩和は見通せない。

ロシアが公表したのは米国との条約とNATOとの協定の2つで、両案でNATOの東方拡大停止を求めた。米国との条約案には旧ソ連諸国との軍事協力を発展させないことや、中距離ミサイルや核兵器の配備を自国内に限ることを盛り込んだ。

NATOとの協定案では、欧州での軍配備について、NATOの東方拡大前の1997年までの状態に戻すことを求めた。ロシアのプーチン大統領はかねて東方拡大をしないとの約束をNATOが破ったと批判していた。ロシアは16日までに両案を米国とNATO加盟国に提示した。

ロシアが新たな合意を提案したのは、対立する米欧の軍事力が迫り、自国の安全保障が脅かされているとの懸念を強めているためだ。隣国のウクライナがNATO加盟の動きを強め、ロシア側との東部紛争でも武力解決を試みているとも批判する。

これに対し、米欧はロシアがウクライナへの軍事侵攻を計画していると警戒を強める。欧州連合(EU)は13日の外相理事会でさらなる厳しい制裁が必要になるとの認識で一致。「政治的、経済的代償を伴う」(ボレル外交安全保障上級代表)とロシアをけん制した。

米欧はロシアとの安全保障を巡る協議は拒否していない。米ロ首脳は7日のオンライン協議を通じて対話を継続することで合意した。タス通信によると、17日には米バイデン政権高官がロシアと協議する用意があると語った。

米欧はロシアとの安全保障を巡る協議は拒否していない。米政府は来週にも協議の進め方についてロシア側に通知する見込み。両国は早期の首脳協議も模索する。

問題はロシアの要求のハードルがあまりに高く、歩み寄りが難しいことだ。同高官は17日「受け入れられない項目がいくつかある」と指摘した。特に、NATOの東方拡大の停止などは原則的に容認できない内容だ。

ロシアの外交専門家アンドレイ・コルトゥノフ氏は「義務を伴う合意文書の締結を求めるのは非現実的だ」として、プーチン政権が米欧との「取引」を狙う可能性があると分析する。東部紛争でのウクライナの軟化や、同国のNATO加盟の事実上の見送りなどが示されれば、ロシアが当面の緊張緩和に応じるとの見方もある。』