[FT]18日に台湾住民投票、党勢回復を目指す野党・国民党

[FT]18日に台湾住民投票、党勢回復を目指す野党・国民党
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 ※ 『「仮に国民党の退潮がはっきりすれば、台湾独立派を勢いづかせかねず、非常に懸念される状況になるだろう。中国としては、(台湾との)平和的な統一ができるとの見通しが失われるといわざるを得なくなる」と、匿名で取材に応じた中国の台湾問題の専門家は指摘する。』…、ということだ。

 ※ けっこう重要な「政治イベント」になるようだ…。

 ※ 結果を注目しておこう…。

『台湾では18日、4つの提案について住民投票が実施される。国民党は4件の全てに賛成票を投じるよう訴えており、17日の集会が世論の支持を高める最後の機会となる。住民投票で問われるのはすべて国内問題だが、その結果は国民党が今後も政界で影響力を維持できるかどうかを左右する試金石になるとみられている。そうなると、当然のことながら、中国も住民投票の行方を注視する。

「仮に国民党の退潮がはっきりすれば、台湾独立派を勢いづかせかねず、非常に懸念される状況になるだろう。中国としては、(台湾との)平和的な統一ができるとの見通しが失われるといわざるを得なくなる」と、匿名で取材に応じた中国の台湾問題の専門家は指摘する。

国民党は中国共産党との内戦に敗れ、1949年に台湾へ逃れるまで、中国を支配していた。台湾は中華ナショナリズムのイデオロギーで統治した。台湾は90年代に民主化を果たし、国民党も政策を修正したが、いまでも、台湾と中国本土は「1つの中国」に属するという原則を堅持している。

この国民党の基本政策は、現状との乖離(かいり)を一段と広げている。台湾住民の大多数が中国との統一を拒否しているからだ。これまでの10年間で、国民党は多くの支持を失った。国立政治大の選挙研究センターによると、国民党に共感する有権者の割合は18.7%に低下し、与党・民進党の支持率(31.4%)を大きく下回る。
4つの提案のすべてに「賛成」呼びかけ

国民党は18日の住民投票で、台湾住民に根強い食品の安全性への不信に訴え、1月に全面解禁したばかりの米国産豚肉の輸入を、再び制限させようとしている。民進党の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権は2020年、一部に成長促進剤のラクトパミンを含む米国産豚肉の輸入を解禁すると決めた。だが、国民党は、蔡政権が米国との関係を重視し、台湾住民の健康を危険にさらそうとしていると非難した。

台湾総統府直轄の最高学術研究機関、中央研究院で政治学を担当するネーサン・バットー氏は「(米国産)豚肉輸入の是非は、台湾の有権者の大多数が国民党の立場を支持する数少ない重要案件の一つだ」と解説する。

住民投票のもう一つの提案は、(将来の)総選挙と住民投票の同日実施だ。これは国民党のアイデアで、民進党が実現した改革を覆す内容になっている。

国民党が支持を訴えるほかの2つの提案は、稼働しないまま閉鎖された第4原子力発電所(新北市貢寮区)を動かすことと、液化天然ガス(LNG)受け入れ基地の建設予定地を変更し、台湾の西海岸の藻礁を保護するという内容だ。

これらの4つの提案は、(18日の)住民投票の実施が決まった際は、すべて賛成多数になると予想されていた。そうなれば蔡政権が進める米国との貿易関係の強化、エネルギー政策には大きな打撃となる。

ところが、世論は与党になびいた。世論調査機関フォルモサによると、第4原発の稼働とLNG受け入れ基地の建設予定地の変更については、反対が賛成を大きく上回っている。総選挙と住民投票の同日実施の復活については賛成が反対を上回るが、差は大きく縮まった。

米国産豚肉の輸入の再制限に関しては賛成の割合が高いが、実際に住民投票に参加すると決めた有権者に限れば、賛成のリードはかなり縮小する。
中国の圧力は与党・民進党に追い風

世論が変わってきた背景には、中国から台湾への圧力が高まるなか、蔡政権へ国際社会の支持が広がっている事実があると、複数のアナリストは考えている。

中国は台湾を国土の一部とみなし、台湾が(中国との)統一をこれからもずっと拒むという方針を打ち出すならば武力侵攻も辞さない構えだ。戦闘機などを繰り返し、台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入させている。これについて、オースティン米国防長官は「将来の台湾侵攻のリハーサル」のように見えると発言した。

中国はまた、さかんに偽情報を流し、国際社会のなかで台湾が孤立するように仕向けている。

「地政学の観点から、足元の環境は1年前から様変わりしている」と、米ハーバード大の台湾政治の専門家、レブ・ナックマン氏は話す。「今年は総選挙の年ではないが、中国要因の影響は大きい」

民進党は台湾住民が中国に対して抱く反感に訴える戦略を採用している。台湾の安全保障を犠牲にしても蔡政権の評判を落とそうとしていると、野党を非難する。

「国民党は(18日の)住民投票を蔡政権と民進党に対する事実上の不信任投票にしようともくろんでいたが、逆に民進党が、蔡政権への信任投票にする勢いだ」と、中央研究院のバットー氏は分析する。「住民投票によって国民党が盛り返し、再び政権を担う可能性が生じるとは思えない」

国民党の朱氏はそう考えていない。14日には「国民党が(中国寄りで)台湾住民の側に立っていないというのなら、誰がそうすると言うのか」と主張した。

「私は再び民衆と国民党の支持者に訴えたい。勇気を持って立ち上がり、蔡政権に言ってほしい。あなたたちは間違ったことをしてきたと!」

By Kathrin Hille

(2021年12月16日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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