中国EV、じわり欧州に浸透 上海汽車は英でシェア3.6%

中国EV、じわり欧州に浸透 上海汽車は英でシェア3.6%
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR178PO0X11C21A2000000/

『【フランクフルト=深尾幸生】中国メーカーの電気自動車(EV)が世界に攻勢をかけている。日本に先んじて進出しているのが欧州だ。他地域よりも早くEV市場が立ち上がりつつある欧州でじわりと浸透し始めた。

中国国有自動車大手の上海汽車集団は11月、中国で生産するEV「MG ZS EV」の新型車を発売した。1回の充電での航続距離が440キロメートルと前モデルより7割伸ばしたにもかかわらず、価格は補助金適用前で約3万5千ユーロ(約450万円)。独フォルクスワーゲン(VW)や仏プジョーの競合車種と比べて割安だ。

2019年10月に欧州に本格進出して以来、16カ国に約400の販売網を構築した。英国での2021年1~11月のMGブランド全体の販売台数は前年同期比73%増。ガソリン車などを含めた新車販売全体に占めるブランド別のシェアでは1.9%とホンダやマツダを上回っている。11月単月では3.6%で、日産自動車や米フォード・モーターといった英国で生産するブランドにすら迫る。

欧州では温暖化対策として、ドイツの9000ユーロなど各国が手厚いEV購入補助金を用意している。気候変動問題に対する消費者の危機感の高さもあり、主要18カ国の21年7~9月の新車販売に占めるEV比率は13%まで高まっている。こうした状況を中国勢は機会ととらえる。

もっとも現在のところ路上で存在感があるのはMGという英国の伝統ブランドを使う上海汽車と浙江吉利控股集団傘下のポールスターぐらいだ。だが多くの中国メーカーが後に続こうとしている。

10月には新興EVメーカーの上海蔚来汽車(NIO)がノルウェーにショールームをオープンし、本格的な欧州進出を始めた。独自の電池交換ステーションも同国で22年末までに20カ所設ける計画だ。小鵬汽車や第一汽車集団もノルウェーを足掛かりに進出する。長城汽車は9月のミュンヘン国際自動車ショーで、欧州で小型EVブランドの「欧拉(ORA)」の販売を始めると発表した。

中国勢は日本車や韓国車が低価格と低燃費を武器に欧米で存在感を高めた歴史の再現をEVで狙う。ガソリン車では安全性などが酷評され、欧州市場に食い込めなかった歴史があるが、EVでは性能を高めており、安全性評価の「ユーロNCAP」でMGやNIOが最高の5つ星を獲得している。

中国メーカーはテレビや携帯電話などで、高いコスト競争力により日米欧のメーカーを追い上げ、世界に浸透している。唯一難しかった自動車でもEVシフトを追い風にその入り口に立つ。

【関連記事】中国EV、乗用車でも日本進出 第一汽車やBYD  』