中国新規雇用18%減、3カ月連続 消費停滞に拍車

中国新規雇用18%減、3カ月連続 消費停滞に拍車
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1536E0V11C21A2000000/

『【北京=川手伊織】中国の雇用回復がもたついている。都市部の新規雇用は11月、前年同月比18%減り3カ月連続のマイナスとなった。新型コロナウイルスの感染再拡大でサービス業が打撃を受けたほか、中小零細企業は資源高で収益が悪化しているためだ。所得は伸びにくく、必需品も値上がりしており消費の停滞に拍車をかけている。

中国人力資源社会保障省によると、1~11月の新規雇用は前年同期比9.8%増の1207万人となった。すでに年間目標の「1100万人以上」は達成した。ただ単月でみると、9月から前年同月を下回る。最近の雇用回復の鈍さが浮き彫りになる。

理由の一つがサービス業の不振だ。10月下旬から新型コロナが再びまん延し、首都・北京市を中心に移動制限が強まった。11月の飲食店収入は前年同月比2.7%の減少に転じた。中国国家統計局がまとめた11月の購買担当者景気指数(PMI)をみると、外食や運輸、宿泊、娯楽は好不調の境目である50を下回った。

就業者の8割が働く中小零細企業の雇用吸収力も落ちている。資源高でコストが上がっても製品価格に転嫁しにくく、収益が悪化。調査対象に民営企業が多い長江商学院の経営状況指数は11月、1年5カ月ぶりに50を下回った。

政府の雇用統計には、都市部の調査失業率もある。11月は5.0%と、これまで5%前後で推移してきた。安定しているようにみえるが、仕事の見つからない出稼ぎ労働者は農村に帰るケースもある。実態とかけ離れているとの批判は根強い。

雇用の質も課題だ。配達員などネットで単発の仕事を得るギグワーカーは2億人に上る。給与や社会保障など待遇が不安定なら、就業者の心理は改善しにくい。2022年は大学や大学院の卒業生が1000万人を超える公算で、若年雇用も大きな問題だ。

雇用回復がもたつけば、個人の所得も増えにくい。さらに家計は、食品や燃料の価格上昇にも直面する。11月の社会消費品小売総額(小売売上高)は名目ベースで前年同月比3.9%増えた。ただ物価変動を加味した実質ベースでみると、0.5%増にとどまった。20年9月にプラスに戻って以降、最小の伸びとなった。必需品の値上がりも踏まえ、節約意識を強めた消費者が購入する数を抑えていることを示す。

企業部門も勢いを欠く。11月の工業生産は3.8%増えたが、昨年まで各年11月は5~7%伸びていた。政府の環境規制をうけセメントや粗鋼は減少が続く。電力不足は和らいだが、発電量は0.2%の伸びにとどまり、経済活動の鈍さを物語る。

政府が投機の抑制を強める不動産開発投資も、単月でみると3カ月連続で減少した。政府は銀行による不動産金融の過度な引き締めを是正するように指導したが、11月の企業向け中長期資金の貸し出しは4割落ち込み、5カ月連続でマイナスとなった。

中国共産党は8~10日に開いた経済政策の重要会議、中央経済工作会議で「中国経済の成長は需要縮小、供給ショック、先行きへの期待低下という3つの課題に直面している」と言及した。

政府系シンクタンクを含めて、前年同期と比べた10~12月の実質経済成長率は3%台に減速するとの予測は多い。7~9月の4.9%を下回る。当局は22年の景気を下支えするため、新たな減税や社会保険料など企業のコスト削減策で内需の拡大を促す方針だ。』