米国務長官「中国が3兆ドルの物流脅かす」 南シナ海で

米国務長官「中国が3兆ドルの物流脅かす」 南シナ海で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN145SK0U1A211C2000000/

『【ワシントン=中村亮】東南アジア歴訪中のブリンケン米国務長官は14日午前(米東部時間13日夜)、ジャカルタ近郊でインド太平洋をテーマに演説した。中国が南シナ海の実効支配を進めて「年3兆ドル(約340兆円)以上に相当する物流を脅かしている」と主張した。東南アジア各国と協力し、中国の海洋進出に対抗する考えを示した。

演説後、ブリンケン氏はインドネシアのルトノ外相と会談し、外務・防衛担当の局長級協議の創設で一致した。ルトノ氏が会談後の共同記者発表で明らかにした。中国の進出を念頭に、安全保障や資源保全など海洋協力に関する両国の覚書を2026年まで延長することも確認した。

ブリンケン氏は演説で、米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の対面形式の首脳会談を数カ月以内に米国で開く計画も表明した。米国とASEANは10月にオンラインの首脳協議を開いたばかりだ。オースティン米国防長官も22年初めに東南アジアを訪れる予定で、中国が影響力を拡大するこの地域への関与を強める。

ブリンケン氏は米中関係をめぐり、バイデン米大統領が中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に11月のオンライン協議で「我々は両国の競争を紛争に発展させない重大な責任を共有している」と伝えたと強調した。南シナ海などでの米中衝突を懸念する東南アジアに配慮した。

経済分野では、ブリンケン氏が22年に世界各国や民間企業を集めたサプライチェーン(供給網)を巡る国際会議を開くと明らかにした。インド太平洋地域の国が供給網の強靱(きょうじん)化で中核を担うと指摘した。

中国のインフラ投資を念頭に「インド太平洋の政府や企業などから懸念を聞く機会が増えた」と指摘。不透明な投資決定プロセスや環境破壊を理由にあげた。これに対し、米国は「質の高いインフラ投資」を推進すると改めて訴えた。

バイデン政権はインド太平洋で新しい経済枠組みをつくる方針を示している。ブリンケン氏は供給網、環境配慮型エネルギー、デジタル経済などを対象にすると説明したが、詳細には触れなかった。

演説では主にこれまでの取り組みを紹介し、新味に欠いた。バイデン政権はASEANへの関与を強化するが、経済面でASEANに実質的なメリットを提供できなければ中国との競争で優位に立ちにくい。』