アフガニスタン難民はどこに行くのか

アフガニスタン難民はどこに行くのか 受け入れる国と拒否する国
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-58302951

『アフガニスタンのタリバンが、米軍主導の連合軍によって権力の座を追われてから20年たって復権した。それを受け、同国から何千人もが国外へ逃れようとしている。

アフガニスタンではすでに、継続中の衝突や政情不安によって、220万人が難民となって隣国にいる。さらに350万人が国内で住む場所を失っている。

タリバン復権で出国を望む人の急増は、こうした人たちとは別に生じている。』

『何人が出国しようしている?

現時点では明らかにではない。

タリバンは、アフガニスタン国境の主要な検問所を支配している(下地図参照)。これまで、国民を出国させたくない意向を表明している。報道によると、貿易商と有効な渡航許可証を持っている人だけが通行を認められている。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報道官は20日、「アフガン人の大多数は通常の方法で出国できない」と述べた。「今日時点で、危険な立場にいる人たちに明確な出口はない」。』

『しかし、どうにかして国外に出た難民もいる。

数千人のアフガニスタン人は、タリバンがカブールを制圧して間もなく、国境を越えてパキスタンに入ったとされる。また、約1500人がウズベキスタンに逃れ、国境付近のテントで暮らしていると報じられている。

カブールでは何千人もが、何とかして国外に退避しようと国際空港へと向かっている。現在機能している空港はそこしかない。

北大西洋条約機構(NATO)関係者は20日、タリバンが権力を握って以降、同空港から1万8000人以上が出国したと明らかにした。うち何人がアフガニスタン人なのかは不明。』

『何人が家を追われた?

政情不安と紛争に見舞われた国から外国へと移動する人々の動きは、長年にわたってみられている歴史的な現象だ。今回のアフガニスタンの状況は、その1つといえる。

UNHCRによると、同国では今年、タリバンが復権する前から、紛争によって55万人以上が住む家を追われた。

このことは、推定350万人が現在、国内で住む場所を失っていることを意味する。』

『さらに隣国では、昨年末の時点で、約220万人の難民と亡命希望者が安全な場所を探し求めていた。

アフガニスタンでは今年、地で厳しい干ばつと食料不足が各発生。国連の世界食糧計画(WFP)は6月、国民の3分の1以上に当たる1400万人が飢えに苦しんでいると報告した。

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『難民はどこに行く?

隣国のパキスタンとイランは昨年、亡命を希望するアフガニスタンからの難民が過去最多となった。

UNHCRによれば昨年、パキスタンには約150万人、イランには78万人が渡った。』

『3番目に多かったのはドイツで18万人超だった。トルコには約13万人が難民として到着した。

亡命希望先として挙げられている人数だけでみると、トルコ(約12万5000人)、ドイツ(約3万3000人)、ギリシャ(約2万人)が上位だった。

イランへの亡命希望者は存在しないが、公的な難民カードを所持している人は、イランで保健と教育の制度を利用できる。』

『各国はどんな支援を提供?

アフガン難民に避難場所を提供している国がある一方、そうした場所を用意するつもりはないとしている国もある。

イラン

イランはアフガニスタンと接する3つの州で、緊急避難用のテントを設置している。しかし、内務省の関係者は、イランに逃れてきたアフガニスタン人は、「状況が改善すれば帰国する」ことになるとしている。国連によると、イランはすでに350万人近いアフガニスタン人を抱えている。

パキスタン

イムラン・カーン首相は6月、タリバンが権力を握ればアフガニスタンとの国境を封鎖すると述べた。しかし報道によれば、数千人のアフガニスタン人がパキスタンへと入国しており、少なくとも1カ所の国境検問所が通行可能な状態にある。タリバンは貿易商と有効な通行許可証を持っている人のみ、通行を認めているとされる。

タジキスタン

正確な人数は不明だが、少なくとも数百人のアフガニスタン人がここ数日でタジキスタンに入国した。アフガニスタン国軍兵士も含まれている。タジキスタンは7月、アフガニスタンからの難民を最大10万人受け入れる用意を進めていると表明していた。

ウズベキスタン

約1500人のアフガニスタン人が国境を越えてウズベキスタンに入り、難民キャンプを設立したといわれている。報道によると、タリバンは有効な査証(ビザ)を持つ人だけに、正式な国境検問所を通っての出国を認めているという。

イギリス

イギリスは長い時間かけて2万人のアフガン難民を受け入れると発表している。政府の「アフガン国民の再定住計画」では、1年目に5000人のアフガニスタン人を定住させることを目指す。女性、子ども、宗教的少数派など、タリバンの危害が及ぶ恐れが非常に大きい少数派らを特に対象とする。
Afghans sit inside a US military aircraft waiting to leave Afghanistan, at the military airport in Kabul – 19 August 2021

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画像説明,

カブール空港の米軍機内で離陸を待つアフガニスタンの家族たち(19日)

アメリカ

ジョー・バイデン大統領は、「予期せぬ緊急の難民、難民の移住で必要な出費、紛争の犠牲者、特別移民ビザ申請者らアフガニスタン情勢で危険な立場に置かれたその他の人々」のために、5億ドル(約550億円)の予算を承認した。だが、何人の難民を受け入れるのか、アメリカは公表していない。

カナダ

カナダは2万人のアフガニスタン人を再定住させるとしている。政府関係者や女性指導者ら、タリバンが危害を加える恐れがある人を主な対象とする。

オーストラリア

オーストラリアは、人道ビザ制度として、国外に逃れたアフガニスタン人のために3000枠を提供するとしている。ただ、これらの枠は現存の制度であるものを利用する予定で、全体数を増やすものではない。

欧州連合(EU)

EU加盟数カ国の関係者は、2015年の移民危機の繰り返しは避けたいと述べている。当時、大人数の難民をEU域内に受け入れ、各国で国民らが反発した。

ドイツ

ドイツは一定のアフガニスタン人を受け入れるとしているが、人数は明らかにしていない。2015年の移民受け入れ政策で厳しい批判に直面したアンゲラ・メルケル首相は、難民が「アフガニスタン近隣諸国で安全な滞在」をできるよう、政府として注力する考えを示した。

フランス

エマニュエル・マクロン大統領は、ヨーロッパがアフガニスタンからの「不法移民の大きな波から自らを守る」必要があると述べた。フランスは「非常に危険な立場にいる人を保護する」としたが、「ヨーロッパが単独で、現状の結果を受け入れることはできない」と付け加えた。

オーストリア

オーストリアは、アフガン難民を受け入ないとしている。同国内相は、亡命希望が認められなかったアフガニスタン人を送還する方針について、継続すべきだと主張。さらに、アフガニスタンに送還できない場合に備えて、近隣国に「送還センター」を設立するよう訴えている。

スイス

スイスは、アフガニスタンから直接到着する大規模な難民集団は受け入れないと表明している。
Turkish security forces patrolling the border with Iran help an exhausted Afghan family – 6 August 2021

画像提供, Getty Images
画像説明,

イラン国境付近をパトロールしていたトルコ治安部隊が、疲れ果てたアフガニスタン人家族を救助した(8月6日)

トルコ

レジェプ・タイイップ・エルドアン大統領は、パキスタンと協力してアフガニスタンの安定化を図り、難民の新たな波がトルコに押し寄せるのを防ぐとしている。トルコ政府はまた、移民を防ぐため、イラン国境における壁の建設を急いでいる。

北マケドニア、アルバニア、コソヴォ

北マケドニアは450人、アルバニアは300人の難民を一時的に受け入れると表明している。難民は、米移民ビザの申請手続きの調整がつくまで滞在するとみられる。一方コソヴォは、アメリカを目指す難民に一時的なシェルターを提供する予定。人数は明示していない。
ウガンダ

東アフリカのウガンダは、2000人のアフガン難民を受け入れることで合意している。ウガンダは難民の受け入れ人数がアフリカで最も多く、世界でも3番目に多い。』