「習近平は毛沢東になりたがっており、しかもアメリカを甘く見ている」

ラッド元豪首相の警告「習近平は毛沢東になりたがっており、しかもアメリカを甘く見ている」──米外交誌
Xi Wants To Emulate Mao, Thinks U.S. Will Back Down on Taiwan: Kevin Rudd
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/02/post-95654_1.php

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ 非常に重要な視点を、出している…。

 ※ 『「中国は習近平の下でより独裁的になった。厳しい国家安全保障法が施行され、野党政治家が逮捕され、メディアの自由が制限された香港を見て、台湾を『一国二制度』の形で中国に再統一するという楽観論も消え失せた」と、ラッドは指摘する。』

 ※ まず、「香港事態」を見て、「台湾の平和的な統一」の楽観論は、消滅してしまった…、と分析する。

 ※ 次に、『だが、中国政府に最大の誤算があるとすれば、台湾有事の際のアメリカの出方だろう。中国はそれを予測できずにいる。

勝てないと思ったらアメリカ政府は戦わないだろうと予測することは、中国政府の「体にしみこんだ独自の戦略的リアリズムの投影」だとラッドは述べ、軍事作戦が失敗するとアメリカの威信と地位が失われる可能性があると、中国政府幹部は信じている、という点を指摘した。』

 ※ 『「中国が計算に入れていないのは、その逆の可能性だ。第2次大戦以来アメリカが支持してきた民主主義国のために戦わなければ、アメリカも自滅しかねない。特にアジアにおけるアメリカの同盟国が、長い間信頼してきたアメリカの安全保障があてにならないと認識すれば、今度はそれぞれが中国と独自に取り決めをしようとするかもしれない」』…。

 ※ まさに、ここだ…。

 ※ 「陣営国」は、雪崩を打って、中国との妥協に走るだろう…。

 ※ 「台湾有事」を救済しないことは、「パクス・アメリカーナ」の瓦解に直結する…。

 ※ 別に、「台湾事態」に限った話しじゃ無い…。

 ※ 「ウクライナ事態」でも、構図は同じだ…。

 ※ 他国からの「武力の行使」を、阻止できないならば、「陣営」とか「同盟」とかの意味は、相当に低下する…。各国において、「親玉」中心に結束するというベクトルは無くなり、それぞれが「てんで勝手に」自衛策に走るだろう…。

 ※ 人は、「完全に”他人の頭”になること」は、できない…。

 ※ 生まれてこの方、「”自分の頭”以外になったこと」は無いからだ…。

 ※ 「読み間違えて、悲惨な事態に」ならないことを、祈るよ…。

 ※ まあ、そういう「事態」になったとしても、素早く立ち上がって、冷静に情勢を読んで、「次の一手」を考えて、実行していけばいいだけの話しだ…。

 ※ 重要なのは、あくまで、「冷静で精度の高い情勢分析」と、それに基づく「次の一手」を淡々粛々と実行して行く「胆力」だ…。

 ※ それを、磨くために、今日も励もう…。「昨日の我に、今日は勝つべし。」…。

『<米中両国が危機管理に失敗すれば、台湾をめぐる軍事衝突が10年以内に起こる可能性があると、ラッドは言う>

中国の習近平国家主席は、台湾との再統一を果たすことで故毛沢東国家主席並みの地位を中国共産党内で獲得することをめざしており、そのために今後10年で米軍を上回るほどの軍事力を手に入れようとするだろう、とオーストラリアのケビン・ラッド元首相は述べた
現在、ニューヨークでアジア・ソサエティー政策研究所長を務めるラッドは、外交問題専門誌フォーリン・アフェアーズの3月・4月合併号に自説を発表。これからの10年を「危険な10年」と呼んだ。

台湾はアジア太平洋地域における紛争の火種のひとつであり、2020年代にアメリカと中国が台湾をめぐって衝突する可能性は高い。ラッドによれば、中国政府指導部がアメリカを「衰退の一途をたどる」超大国と見なす一方で、中国の最高指導者である習は自信を深めている。

米国防総省はその報告書で、今後数十年にわたる中国政府の軍事的野心を明らかにした、とラッドは指摘。そこには、2027年までに人民解放軍(PLA)を米軍に匹敵する「世界クラス」の近代的な戦闘部隊に増強するという中国政府の計画があることも明記されている。
台湾政府独自のセキュリティ分析によると、PLAは、海上軍事戦略「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」を目的とした兵器の大量使用によって台湾海峡紛争から米軍を締め出そうとしている。東シナ海と南シナ海における中国政府の領有権の主張と軍事行動は、その戦略の一環だ。

台湾海峡から米軍を排除

習をはじめ中国政府当局者は、台湾の本土への「統一」を中国の中核的な目標の一つであると唱えてきた。だが、中国指導部は「台湾問題」に対する平和的解決が過去70年のどの時点よりも可能性が低いことを知っていると、1980年代に外交官として北京に駐在したラッドは述べる。

「中国は習近平の下でより独裁的になった。厳しい国家安全保障法が施行され、野党政治家が逮捕され、メディアの自由が制限された香港を見て、台湾を『一国二制度』の形で中国に再統一するという楽観論も消え失せた」と、ラッドは指摘する。

中国は、少なくともアジア地域においては、米軍に代わる存在となり、台湾海峡において圧倒的な軍事力を誇示することで、米軍に手を引かせることに成功するかもしれない。

「アメリカの支援がなければ、台湾は降伏するか、自力で戦って負けるだろうと習は考えている」とラッドは書き、台湾を制圧するという「最も重要な目標」を達成すれば、「習は毛沢東と同じレベルにのぼりつめるだろう」と付け加えた。』

『習近平はあくまでも強気だが、中国政府中枢の意思決定者は重大な課題に直面しているとラッドは見る。ドナルド・トランプ前大統領の下でアメリカから武器を購入することによって台湾自身の防衛能力が底上げされている。民主的な台湾を軍事力で占領することから生じる中国支配の正統性に対する「取り返しのつかない損害」も問題だ。

だが、中国政府に最大の誤算があるとすれば、台湾有事の際のアメリカの出方だろう。中国はそれを予測できずにいる。

勝てないと思ったらアメリカ政府は戦わないだろうと予測することは、中国政府の「体にしみこんだ独自の戦略的リアリズムの投影」だとラッドは述べ、軍事作戦が失敗するとアメリカの威信と地位が失われる可能性があると、中国政府幹部は信じている、という点を指摘した。

「中国が計算に入れていないのは、その逆の可能性だ。第2次大戦以来アメリカが支持してきた民主主義国のために戦わなければ、アメリカも自滅しかねない。特にアジアにおけるアメリカの同盟国が、長い間信頼してきたアメリカの安全保障があてにならないと認識すれば、今度はそれぞれが中国と独自に取り決めをしようとするかもしれない」

立ちはだかるバイデン政権

ラッドの議論に関連するが、アメリカがアジアの安全保障に介入することに対するアメリカの有権者の認識は、戦略国際研究センター(CSIS)による2020年夏の世論調査で明らかになっている。同調査では、台湾、日本、韓国を含むインド太平洋の同盟国に対するアメリカによる安全保障をどの程度支持するかを問いかけた。

その結果、台湾の安全保障を支持する割合は10段階評価で6.69、日本と韓国はそれぞれ6.88、6.92となった。

国家主席の任期の制限を撤廃した習近平は2035年まで政権を維持するつもりだ、とラッドは予測した。任期の終わりには82歳になり、毛沢東の没年齢と同じになる。

習の野望を妨げる最大の問題は、アメリカと短期的にはジョー・バイデン政権だろう。国務省と国防総省だけでなく、情報機関にも経験豊富な中国専門家がいる、とラッドは言う。国際機関、貿易、テクノロジーに対する中国の脅威に対抗するために、世界の主要な民主主義国家を団結させるというバイデンの主張の説得力も、中国政府にとっては脅威となる。

中国指導部がトランプの再選を望んでいたのはまさにこのためだと、ラッドは言う。トランプなら、とくに外交におけるその失敗を習は利用することができたはずだった。』

『アメリカと中国両政府の最近の発言からすると、中国が戦術としてアメリカとの緊張関係を緩和しようとしても、バイデン政権が世界の2大経済大国間の戦略的競争を減速させる可能性は低いことが明らかだ、とラッドは見る。

「アメリカが衰退に向かい、復活の目はないという中国政府の評価が間違っていることをバイデンは証明するつもりだ」

ラッドは結論として、アメリカと中国が「管理された戦略競争」の枠組みを策定することを求めた。それは現在の情勢では難しいが不可能ではない、と彼は言う。

このような合意は「世界秩序に対するきわめて現実主義的な方法」といえるが、米中両政府の最高レベルでの同意を必要とするだろう、とラッドは述べた。

そのためには、双方が譲れない線を主張しつつも、ある程度の譲歩は認めるとこになる。たとえばアメリカ政府は中国政府の「一つの中国」の立場を厳密に順守し、台北への外交的訪問を止めるべきだと示唆した。

その見返りとして、中国政府は台湾海峡における軍事活動を減らし、南シナ海の島々の軍事拠点化を中止すべきだ。そうすればアメリカの「航行の自由作戦」も縮小する可能性がある、と述べた。

紛争回避の賭け

多くの人はこのような取り決めの実現可能性を疑うかもしれないが、それは紛争や戦争を防ぐために必要なことだと、ラッドは言う。

「このような枠組みを構築するのは難しいが、それはまだ可能であり、これに代わる案は最悪の結果を招く可能性がある」と、彼は書いた。「まったくルールがないよりは、両国が管理された競争という共同の枠組みの中で活動する方がよい」

2030年までに台湾海峡での軍事衝突が起きなければ,それは成功を期待できる兆候になるだろう、とラッドは予想する。その反対であれば、「失敗したアプローチの最も明らかな例」となる。

<参考記事>米爆撃機2機が中国の防空識別圏に異例の進入
<参考記事>中国の傲慢が生んだ「嫌中」オーストラリア 』