中国、対リトアニア「制裁」苦慮 台湾の代表機関開設

中国、対リトアニア「制裁」苦慮 台湾の代表機関開設
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR308SE0Q1A131C2000000/

 ※ 『輸出額に占める中国向けの割合が20年に約1%と経済の中国依存が低く、「失うものがほとんどない」(米政治専門サイトのポリティコ)点も厳しい対中姿勢を裏打ちする。』…。ここが、ポイントだな…。

 ※ 経済で、「中国依存度」を高めると、どうしても「顔色を窺わざるを得なく」なる…。

 ※ 別に、中国に限った話しじゃないが…。

 ※ さらには、「経済」に限った話しじゃ無い…。

 ※ 資源、安全保障で、どっかの国への依存度が「物凄く高い」どっかの国のことが、危惧される…。

『中国が、台湾と急接近する欧州の小国リトアニアへの対応に苦慮している。同国で台湾の代表機関が開設されたのに反発し、中国は外交関係を格下げしたものの、断交などの踏み込んだ措置は見送った。背景には、リトアニアに追随する動きが欧州で広がることへの警戒がある。中国による対立国への経済的な圧力の限界も浮き彫りになっている。

「あしき前例をつくった。代償を払わなければならない」。中国外務省の趙立堅副報道局長は11月下旬の記者会見で、リトアニアにこう警告した。

中国が激怒した直接の原因は、11月に台湾がリトアニアに開いた事実上の大使館となる「台湾代表処」にある。欧州に置く代表機関で初めて名称に「台北」ではなく「台湾」の採用を認め、台湾を不可分の領土とする中国が駐リトアニア大使の召還を8月に発表するなどして反対していた。

中国による報復措置は、現段階では政治的なメッセージの意味合いが大きい。リトアニアとの外交関係を格下げし、大使を送らず代理大使にすると11月に決めた。中国共産党系メディアの環球時報が可能性を指摘していた断交には踏み切らなかった。

リトアニアへの圧力を巡る混乱もうかがえる。11月に領事業務の一時停止を発表した在リトアニア中国大使館は、ウェブサイトに載せた発表を公開後まもなく削除した。8月にもリトアニアと結ぶ貨物列車の運行を中国が一時停止すると欧州メディアが報じた後で、中国の鉄道運行会社が環球時報などへのコメントで打ち消した経緯がある。

背景には、欧州との対立が先鋭化するのは避けたい中国の考えがある。

欧州連合(EU)は人権問題で中国を非難しつつも、中国と経済関係が深いドイツのメルケル首相が対中外交をけん引してきた。同氏の退任でEU内の力のバランスが変わりかねず、中国は「欧州との関係を全体的に安定させる必要がある」(北京の国際関係学者)。EU加盟国のリトアニアへの報復を小出しにしながら、ほかの国々の反応を見極めているとみられる。

リトアニアと台湾は、バイデン米政権が9~10日に開く「民主主義サミット」にも招待された。この時期のリトアニアへの制裁は参加国の結束を強めてしまうとの懸念も中国にはありそうだ。中国外交学院の蘇浩教授は「中国にとって越えてはならない一線をリトアニアは踏みつつあるが、まだ越えてはいない。外交関係の格下げが現時点では適当だ」と指摘する。

リトアニアは強気の姿勢を崩さない。11月末には同国を中心とするバルト3国の議員団が訪台して台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談し、対中国を念頭に関係強化で一致した。

リトアニアでは2020年12月に人権擁護などを重視する連立政権が発足した。旧ソ連による武力併合を経て1990年に独立回復を宣言(91年にソ連が承認)した歴史を有し、強権国からの圧力への警戒が強い。輸出額に占める中国向けの割合が20年に約1%と経済の中国依存が低く、「失うものがほとんどない」(米政治専門サイトのポリティコ)点も厳しい対中姿勢を裏打ちする。3日には少なくとも同国の5社の製品が中国の税関を通らなくなっていることが明らかになったが、大きな影響はないとみられる。

リトアニアは経済面でも台湾との関係強化に活路を見いだす。10月には台湾と半導体などで経済協力の覚書を結んだ。リトアニアはレーザーや光学機器に強みがあり、台湾との取引拡大を狙う。中国と対立する米国もリトアニアに「鉄壁の支持」(ブリンケン国務長官)を表明して後ろ盾につく。

中国による経済圧力の脅威は過大評価されているとの見方も浮上している。代表例として注目されているのが、輸出額の3割以上を占める中国との関係が悪化し、農産品への高関税など貿易制限措置を課されたオーストラリアだ。

フライデンバーグ豪財務相によると、制限措置の対象となった部門では21年6月までの1年間で対中輸出が前年同期比で推定54億豪ドル(約4300億円)減った一方、他国への輸出が44億豪ドル増えた。同氏は9月の講演で「経済への全体的な影響は比較的小さい」と明言し、開かれた国際市場の意義を強調した。(小川知世、北京=羽田野主、ウィーン=細川倫太郎) 
「戦狼外交」裏目に 東野篤子・筑波大准教授

対リトアニア関係で中国は挑発的な言動をする「戦狼外交」の効果を読み違えた。圧力は裏目に出てリトアニアの方向修正は得られず、同国が加盟する欧州連合(EU)と中国の対立といった様相も帯びつつある。

中国と中・東欧の経済協力の枠組み「17+1」は中国の市場開放や対等な関係を求めるリトアニアのような国々にはなじまなかった。中国の顔色をうかがうより、台湾との関係深化が利益になるとの考えだ。
東野篤子・筑波大准教授

台湾側も経済面で具体的な見返りを示そうとしている。中国による偽情報対策も台湾と欧州の連携分野に浮上している。対立の根幹にある人権問題で中国の譲歩は望めず、欧州での中国との距離の見直しは今後も少しずつ進むだろう。

従来欧州諸国にとって安全保障上の脅威はロシアであり、中国への警戒感は薄かった。ロシアがウクライナ国境近くで軍を増強しており、仮にウクライナを侵攻すれば、中国が混乱に乗じて台湾海峡で挑発行動に出るリスクも欧州で指摘され始めた。中国を欧州情勢と切り離せない国際安保上の脅威として認識すべきだとの議論が盛んになる可能性もある。』