自分は優れていると信じ込んだ人は、「専門家の意見より自分の考えの方が正しい」と考えたりする…。

自分は優れていると信じ込んだ人は、「専門家の意見より自分の考えの方が正しい」と考えたりする…。

「人がワクチン接種を拒否するのは一体なぜ?」を心理学者が解説 – GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20211205-delay-vaccinated-denial-covid/

『ワクチンの接種を受けることをためったり拒否したりする「ワクチン忌避」は、新型コロナウイルス感染症の発生前からWHOによって「世界的な健康に対する脅威」のトップ10の1つに指定されているほど、公衆衛生の重大な課題となっています。そこで、人がワクチン接種をためらう理由について、心理学の専門家が解説しました。

Why do some people delay getting vaccinated or pretend COVID doesn’t exist? Paradoxically, denial of death
https://theconversation.com/why-do-some-people-delay-getting-vaccinated-or-pretend-covid-doesnt-exist-paradoxically-denial-of-death-168485

オーストラリアで行われた調査の結果、「ワクチンの接種を受ける可能性はない」もしくは「可能性は低い」と回答したオーストラリア人はわずか9%だったことから、同国のメディアは「ワクチンに対して恐怖を覚える人は記録的な少なさとなった」と報じました。
しかし、オーストラリアのシドニー工科大学で心理学を教えているロス・メンジーズ教授と、同校の臨床心理士であるレイチェル・メンジーズ氏によると、オーストラリアでは医療従事者をはじめ教師や建設労働者など幅広い職業でワクチン接種が義務づけられているため、前述のアンケートでは「ワクチンの接種に忌避感を覚える人が少なくなった」とは言えないとのこと。

またオーストラリアでは、ワクチンの接種が済んでいない人がジム・プール・小売店・美容院・ネイルサロン・パブ・動物園・映画館・劇場・美術館・ギャラリーなどに立ち入ることが禁止されています。こうした厳しい制限措置は、そこまでしなければオーストラリアでワクチンの接種者が増えないことの裏返しだと、メンジーズ氏らは指摘しています。
WHOは、ワクチン忌避が発生する原因の1つは「現状に対する満足感」であるとしています。2021年11月の時点で、新型コロナウイルス感染症により世界で500万人が命を落としているという現状は、とても満足できるようなものではないように思えますが、この矛盾は「恐怖管理理論(Terror management theory)」という理論で説明がつくとのこと。

「恐怖管理理論」とは、死という耐えがたい恐怖から逃れようとしている人は、「自分は正しくて優れている特別な存在だ」と考えるという理論です。例えば、恐怖管理理論について検証した164件の論文をメタアナリシスにより分析した2010年の研究では、死について考えた人は自分の自由や文化的・宗教的信念を守ろうとする防衛反応を見せることが分かっています。

自分は優れていると信じ込んだ人は、「専門家の意見より自分の考えの方が正しい」と考えたり、「他人は死ぬかもしれないが自分はきっと死なないはず」と思ったりします。実際に、新型コロナウイルス感染症の被害が最も大きいアメリカで実施された調査により、何らかの宗教を信じているアメリカ人の55%が、程度の差はあるものの「神がウイルスから自分を守ってくれる」と考える傾向を持っていることが判明しました。

死への恐怖を紛らわせるために自分の正しさや特別さに固執した結果、その人はワクチン接種の重要性を説く科学者の意見が受け入れられなくなり、死のリスクを低減させるはずのワクチンに対しても拒否感を覚えるようになります。このことからメンジーズ氏らは、「人々が自分自身の本当の姿を見ようとしない限り、ワクチン接種へのためらいは公衆衛生上の問題であり続けるでしょう」と結論づけました。』