〔移民・難民は、どこでも厄介者…。〕

 ※ 人道主義、理想主義は、「美しく」「耳に心地よい」が、現実の問題を解決する力(ちから)は、ほとんど無い…。

 ※ 「主義(イズム)」に走れば、「現実」との乖離(かいり)がドンドン広がって、問題をさらに悪化させるだけだ…。

移民・難民の命が軽んじられることでは英仏も同じ アメリカでは「メキシコ待機」政策が復活
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『*****「英仏当局、救助来ず」 遭難事故の生還者が証言 国境付近で沈没**** 

英仏海峡で移民ら27人が死亡した遭難事故で、生還者がクルドメディアの取材に応じ、「英仏両当局に救助要請したが、救助に来ることはなかった」と証言した。

仏海上保安庁は2日、朝日新聞の取材に「遭難を覚知したのは(遺体を発見した)漁船からの通報が初めてだった」としつつ、海上憲兵隊が調査を進めていることを明らかにした。
 
証言したのは、イラクから英国を目指したクルド人男性ムハンマドさん(21)。証言によると、ムハンマドさんは密航業者の手配で、11月23日夜に仏海岸からゴムボートで出発。33人が乗っていたという。
 
3時間半ほどすると、英国とフランスの領海の境界付近で右舷に穴が開き、水をかき出したがボートは沈没した。この間、同乗者が仏当局に電話で位置を知らせて遭難を告げると、「そこは英領海だから救助にいけない。英国に要請を」と指示された。

英国に要請しても、救助に来ることはなかったという。ムハンマドさんは家族の病気の治療費用を稼ごうと、ベラルーシ経由で英国を目指していた。
 
もう一人の生還者のソマリア人男性は、「海で10時間泳いで生き延びた」と同メディアに語った。遭難した移民らは波でフランス側に流された。翌24日午後2時ごろ、移民らの遺体を発見した仏漁船が仏当局に通報し、ムハンマドさんらは救助された。なお行方不明者がいる可能性がある。
 
仏検察は1日、密航業者の特定などに向け、捜査していることを明らかにした。遭難時の状況も調べる方針だ。
 
遭難をめぐっては、ジョンソン英首相が再発防止策として、英仏が共同でフランス沿岸でパトロールすることを提案。AFP通信は2日、フランスのカステックス首相がジョンソン氏に書簡を送り「我々の主権だ」として断ったと報じた。【12月4日 朝日】

『【トランプ前政権の「メキシコ待機」政策復活を余儀なくされるバイデン政権】

押し寄せる移民・難民への対応に政治が苦慮し、その間にも多くの命が失われているのは欧州だけでなく、アメリカも同様です。

“米税関・国境取締局によると、トランプ前政権下の2019会計年度(9月末までの1年間)、米南西部国境での拘束者数は97万7509人だった。それが21年度は173万4686人と、過去最多を記録したことが先月下旬に判明した。9月には政情不安と災害が重なったハイチから1万人以上がデルリオに殺到した。
バイデン政権は、「甘い対応が急増を招いた」などと批判にさらされている。【11月8日 読売】』

『****メキシコから越境図る移民の死亡最多、年間557人 米*****

米税関・国境警備局は30日までに、メキシコから越境を試み死亡した移民は計557人に達し、過去最多になったと報告した。死亡者数は先月に終了した2021会計年度内の記録。

20会計年度は254人、19会計年度は300人だった。越境件数に関する記録収集は過去30年続き、死亡者の場合は1998年から開始した。

同局によると、国境線での移民の死因の大半は熱波に過度にさらされたことで、危険な経路を選んだり、途中で道に迷ったりすることが背景要因となっている。

記録された死亡者数の拡大には複数の要因が絡むが、越境者の増加や税関・国境警備局が他の法執行機関と協力し、越境の試みに関するデータ収集を強化していることも一因。

死亡者のデータ収集は要員が遺体を見つけたり、緊急事態への対応を迫られたりした場合が対象となっている。
把握した死亡者のデータが必ずしも正確とは言えず、同局が関与せずに他の州や地方当局の機関が遺体を収容する事態も考えられ、実際の死者数がより高い可能性もある。

バイデン政権は対メキシコ国境線で不法越境を試みる移民のかつてない増加への対策に苦慮している。収容場所の確保などにも困り、新型コロナウイルスの感染拡大のリスクも抱えている。

2021会計年度内の逮捕件数は約166万件で、会計年度としては過去最多。救出のための出動は1万2854件で、過去の4会計年度の水準をはるかに上回った。この件数は今年6月に急増したが、密航業者が途中の遠く離れた危険な地点に移民を置き去りにする事例が目立ったことが原因でもあった。【10月30日 CNN】
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メキシコから国境を越えて米国に不法入国した難民申請者についてバイデン大統領は、審査期間中にメキシコに移送し待機させるトランプ前政権時代の政策を運用を停止する大統領令を出していましたが、連邦最高裁が8月にこれを認めない判断を下し、バイデン政権はトランプ前政権の政策再開を余儀なくされています。

バイデン政権は移民に寛容な姿勢をアピールしてきましたが、政策後退を迫られた形となっています。』

『****米政府、トランプ政権の移民政策を復活へ バイデン氏に非難****

米政府は2日、ドナルド・トランプ前大統領が導入し、ジョー・バイデン大統領が就任後に撤回した移民政策「メキシコ待機」プログラムを再開すると明らかにした。

この政策は、亡命を希望する移民を、申請手続きを行う間メキシコ側に待機させるもので、治安の悪い環境に移民が置かれることが問題となっていた。

再開をめぐり、バイデン氏を非難する声が上がっている。
移民関連団体は、「メキシコ待機」政策の復活は、国境にある移民キャンプでの犯罪や暴力行為を誘発しかねないと指摘する。

バイデン氏は1月の大統領就任後、この移民政策を「非人道的」だとして撤回する大統領令に署名した。しかし連邦裁判所はこれを認めず、同政策の再開を命じていた。

アメリカとメキシコの両政府は、この政策を再開させることを認めた。

バイデン政権は、トランプ政権時代のもう1つの主要な国境政策「タイトル42」を維持している。これは、公衆衛生上の理由があれば移民を迅速に追放できるというもの。

なぜ「メキシコ待機」が復活するのか

トランプ前大統領は、当時「移民保護プロトコル」と呼ばれていたこのプログラムを導入し、6万人以上の亡命申請者をメキシコに送り返した。メキシコ側で待機する亡命希望者は、時には犯罪組織の餌食になることもあった。

慈善団体ヒューマンライツ・ファーストによると、メキシコに戻された移民に対する誘拐やレイプ、拷問、そのほかの虐待行為の事例が1500件以上報告されている。

バイデン氏はトランプ氏が打ち出した強硬な移民政策を撤回するという選挙公約の一環として、大統領就任後すぐに同プログラムを停止する大統領令に署名。アレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官が6月に終了させた。

ところが連邦裁判所のマシュー・キャズマリク判事は8月、制作が不適切に取り消されたとの判断を下した。同判事はトランプ氏によって任命された。
バイデン政権はこの決定を不服として上訴している。

ホワイトハウスのジェン・サキ大統領報道官は1日、同プログラムによる「不当な人的損失」に関するバイデン氏の考えは、過去の主張と変わっていないと説明。
「ただ、我々は法に従うことにもなる」とした。

「メキシコ待機」政策は、メキシコの懸念に対処するため、亡命申請1件あたりに費やす時間を6カ月に制限するなど内容を修正したうえで、来週からテキサス州とカリフォルニア州の入国地点で再開される。

「暗黒の日」
「メキシコ待機」政策の再開の動きをめぐっては、移民支援団体やバイデン氏率いる与党・民主党の議員から非難の声が上がった。

米国移民評議会は、「メキシコ待機プログラムをより人道的な方法で管理できる」というバイデン政権の主張を一蹴し、「今日はアメリカと法の支配にとって暗黒の日だ」と付け加えた。

同プログラムの対象を西半球からのあらゆる移民(ハイチ人など非スペイン語圏のグループを含む)に拡大することで、バイデン氏は「プログラムをトランプ政権下よりもさらに広範なものにした」と、同評議会は指摘した。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)もこの動きを非難しており、「メキシコ待機」政策の実施に協力することを拒否した。

米自由人権協会(ACLU)は、この政策の再開は「拷問やレイプ、死を含む恐ろしい虐待」につながるとした。

ヴェロニカ・エスコバル下院議員(民主党、テキサス州)は米政治専門紙「ザ・ヒル」に対し、この政策は「国としての我々の価値観をむしばむ」ものであり、「亡命手続きに反する」ものだと述べた。

エスコバル氏は裁判所の命令に対して積極的に法廷で闘うようホワイトハウスに求めた。また、バイデン氏は大統領就任から1年近くたとうとしているのにこのシステムを修正していないと批判した。

ボブ・メネンデス上院議員(民主党、ニュージャージー州)は、「この外国人嫌悪で反移民的な政策を永久に覆すために、あらゆる努力を行うよう」バイデン氏に求めた。

一方、野党・共和党のケヴィン・マカーシー下院院内総務は同政策の再開を歓迎した。
「バイデン政権にこの常識的な措置を適用させるために、訴訟を起こさざるを得なかったのは残念なことだ」【12月3日 BBC】』

『【バイデン政権に立ちはだかる保守化した司法の壁】

“裁判所の命令に対して積極的に法廷で闘うようホワイトハウスに求めた”とは言っても、最高裁判事がトランプ前大統領によって保守派で固められていますので、結果はあまり期待できないでしょう。

司法によってバイデン政権の政策が押し戻されているのは、アメリカ国論を二分するもうひとつの対立軸である人工中絶についても同様です。

****「妊娠15週以降は中絶禁止」 アメリカ連邦最高裁が認める公算 ****

妊娠15週以降の人工妊娠中絶を禁じる米南部ミシシッピ州法をめぐり、連邦最高裁が1日、審理を開いた。州法を容認する公算は大きくなっており、来年6月までに出される最高裁の判断次第で、米国における中絶の基準が約半世紀ぶりに変わる可能性がある。

米国における中絶をめぐっては、最高裁が1973年、合衆国憲法によって保障された権利だと初めて判断した。胎児が子宮外で生きられるようになる「生存能力」を基準に、その前を中絶可能な時期と規定。現在では「妊娠22〜24週」と考えられ、最高裁は92年にも、別の訴訟でこの基準を再確認している。
 
ミシシッピ州法は2018年に可決され、州内唯一の中絶クリニックが州法は違憲だとして提訴した。最高裁が州法の合憲性を認めれば、73、92年の両判決が骨抜きになり、米国内の20州以上で、従来の中絶基準よりも厳しい法律が有効になることが予想される。
 
最高裁の判事9人のうち、保守派は6人でリベラル派は3人。1日の審理では、リベラル派のソトマイヨール判事が「憲法とその解釈が単なる政治的行為であるという世間の認識をつくる『悪習』に、裁判所は耐えられるか」と述べるなど、3人とも、州法を認めない姿勢を示した。
 
73年判決の維持には、保守派判事6人のうち、少なくとも2人がリベラル派に同調する必要がある。ただ、ロバーツ長官は「(中絶が)選択の問題ならば、なぜ15週では不十分なのか」、カバノー判事は「憲法はこの(中絶)問題について、各州の人びとや議会が民主的なプロセスで解決するよう委ねている」とそれぞれ語るなど、保守派の判事から原告側に有利な意見は出なかった。
 
ジョージワシントン大ロースクールのソニア・サトラー教授は取材に「最低でも73年判決は形骸化する。有名無実になるか、完全に覆されるかだ」と今後の見通しを語る。「中絶が禁止できる時期を各州に任せることになれば、線引きは受胎にどんどん近づき、(多数の州で)事実上の中絶禁止になる」という。
 
最高裁周辺ではこの日、中絶容認派と反対派が計数千人集まり、「女性の権利を守れ」「中絶は暴力だ」などと声を張り上げた。
 
容認派のアリス・ロブソンさん(68)は過去に2度、流産を経験した。審理後は「私の経験も、ミシシッピでは中絶とみなされるかもしれない。若い世代にとっては本当に難しい時代になってしまう」と落ち込んだ様子を見せた。【12月2日 朝日】』