OPECプラス、原油増産ペース維持 WTI一時5%安

OPECプラス、原油増産ペース維持 WTI一時5%安
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『【カイロ=久門武史】石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は2日、現行の原油増産を2022年1月も続けると決めた。毎月日量40万バレルずつ増産する従来の方針を維持する。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」による需要減を警戒し増産を停止する案も取り沙汰されたが、見送った。ニューヨーク市場の原油先物は同日、需給の緩みを警戒した売りで一時、前日比5%下落した。

現行の原油増産ペースを維持するのは、増産を訴えてきた米国など消費国との摩擦を避けるのが得策と踏んだためだ。11月に米国が日本や中国、インド、韓国、英国と国家備蓄の一部放出に動いたのを受け、産油国側には増産の見直し論も浮上していた。

バイデン米政権が主導した備蓄放出の発表直後に増産停止を打ち出せば、消費国との対決色が強まるとの判断が働いたもようだ。10月に原油相場が7年ぶり高値まで上昇するなかでも、OPECプラスは米国などが求めた追加増産を重ねて拒んできた経緯がある。

増産をやめれば相場に上昇圧力がかかり、インフレを懸念する消費国の反発が高まりかねない。新型コロナ禍から回復しようとする世界経済の足かせとしてやり玉に挙がるのを避ける思惑もあったとみられる。

サキ米大統領報道官は11月30日に「我が国は需要に見合った供給を期待していると伝え続けている」と改めてけん制していた。ナイジェリアなど一部のOPEC加盟国で生産能力が低下し、現行の増産でさえ計画に届かない事情もあった。

半面、OPECプラスはオミクロン型の拡大を警戒する姿勢も強調した。2日にオンラインで開いた閣僚協議後の声明で「市場を注視し続け、必要なら直ちに調節する」とした。次回協議は2022年1月4日に開く。

OPECはかねて、22年には原油の供給が需要を上回るとみていた。世界の需要は例年、ガソリン消費や暖房機器の燃料向けが増える12月にかけて拡大する一方、1月は減りやすい。ロイター通信によるとOPECは内部分析で1月の供給過剰が日量200万バレル、2月は340万バレル、3月は380万バレルに膨らむと予測する。オミクロン型の影響でアフリカや欧州を中心に航空燃料の需要がしぼむとみる。

ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は増産継続の情報を受けて急落した。10月の高値と比べて2割以上安く、歳入を石油輸出に頼る産油国にとっては苦渋の決断だったともいえる。市場では22年1月のOPECプラス協議で増産見送りなどの措置を打ち出すとの見方が多い。

【関連記事】米、増産維持の産油国と「休戦」 オミクロン型が打ち水

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高島宏平
オイシックス・ラ・大地 代表取締役社長
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別の視点

世界的な脱炭素の流れを受けて産油国もカーボンニュートラルを表明し、脱原油依存を進めています。

例えばUAEは2050年カーボンニュートラルを目指し再生可能エネルギーに邁進しています。

まずは石油は輸出に特化し自国内は再生可能エネルギーで賄い、将来的には砂漠に敷き詰めた太陽光発電を使用しグリーン水素エネルギーの輸出で稼ごうとしています。生き残りをかけたUAEの転換戦略は驚くばかりです。

COPでは産油国も含めて脱炭素の合意を迫りつつ、短期的には先進国から産油国に石油の増産を交渉しているのは非常に面白い構図ですが、原油需給の問題は短期的に解決しても、長期的にはずっと続く課題と思われ備えが必要です。

2021年12月3日 8:22

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

OPECプラスのうちOPECの盟主であるサウジアラビアが、40万バレルずつの増産方針をそのまま維持することに異を唱えなかった背後には、安全保障面でスンニ派王制国家のサウジが置かれている立場があったのではとみている。

バイデン米大統領が石油備蓄の放出をアナウンスした際は、規模の小ささやOPECプラスのカウンターでの増産見送りから無意味との見方もあった。

だが、社内のミニ会議で筆者は、米国にはこの王制国家への安全保障面での支援を減退させるという外交カードがある点を指摘した。原油という資源を巡る国家間の駆け引きは、今後も注視したい。

2021年12月3日 9:15

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小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
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ひとこと解説

OPECプラスは、オミクロン株の影響を大いに懸念しながらも、消費国との間でこれ以上の摩擦の発生は得策でない、という判断にも重きを置いたのだろう。

この一週間余りの期間、国際石油市場は米国主導の協調備蓄放出、オミクロン株の影響懸念の急速な高まり、そしてOPECプラスの増産維持、と目まぐるしい展開を続け、原油価格は極めて不安定な状況が続いた。

今後は実際にオミクロン株の影響がどう広がり、深刻化するのか、その下で世界経済にどのような影響が出るのか、交通需要を中心に世界の石油需要がどうなるのか、に関心が移る。

とりあえず増産維持を決めたOPECプラスも、市場展開次第で機動的な対応を考えていくことになろう。

2021年12月3日 7:59

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志田富雄
日本経済新聞社 編集委員
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分析・考察

欧米の原油相場はその後上昇に転じ、米原油先物(期近)で1バレル67ドルほど、欧州のブレント先物は70ドル強で推移しています。この水準で変異型ウイルス拡大の影響や今冬の北半球の寒さなどを探ることになります。

来年の供給過剰が鮮明になり、相場がさらに下げるようだと増産幅の縮小や一時停止の可能性が浮上することになります。米国の増産ペースもさらに緩やかになったり、横ばいに転じたりすることが考えられます。

2021年12月3日 7:02 』