日米訓練、対中国に力点 米原子力空母を公開

日米訓練、対中国に力点 米原子力空母を公開
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA295NZ0Z21C21A1000000/

『海上自衛隊と米海軍は30日、関東南方の太平洋を航行中の米原子力空母「カール・ビンソン」上での共同訓練の様子を記者団に公開した。日米は中国への軍事的対処を想定したとみられる内容で相次ぎ訓練している。今回の公開も中国への抑止力強化の意味を持つ。
海自は21日から米国、オーストラリア、カナダ、ドイツの各国軍とともに潜水艦への共同対処の大規模訓練を実施した。海自の艦艇20隻、航空機40機と米空母をはじめとする各国の艦艇が参加した。

最終日の30日には海自と米海軍の幹部、日米の報道陣が輸送機オスプレイでカール・ビンソンに乗り込んだ。海自の護衛艦「いずも」と並走する米空母から最新鋭戦闘機「F35C」2機が発進・着艦し、演習を締めくくった。

海自の湯浅秀樹・自衛艦隊司令官は艦上での記者会見で中国を念頭に「力による現状変更が行われているのをひしひしと感じる」と語った。「日米の強固な連携が地域の安定に貢献すると確信している」と強調した。

米第7艦隊のカール・トーマス司令官は「強い姿勢を示してくる相手を抑止するため、私たちの強さを見せつける。きょうは侵略する日ではないと思わせる必要がある」と話した。

米空母の艦内で記者会見する湯浅秀樹自衛艦隊司令官(右)とトーマス米第7艦隊司令官(左)=30日、関東南方の太平洋上

日米は中国を念頭に南シナ海や東シナ海での対潜水艦戦や離島奪還などの訓練を進めている。10月初旬には自衛隊が沖縄の南西海域で米空母「ロナルド・レーガン」や英空母「クイーン・エリザベス」と合同で訓練した。

中国軍は前後して延べ150以上の航空機を台湾の防空識別圏に進入させた。台湾に近い海域に3隻の空母が集まる異例の状況に反応したとの見方が多い。

米軍が今回カール・ビンソンを公開したのも軍事力や多国間の連携を中国に示す意味が大きい。航空機が離着艦できる空母の存在は強い抑止力になる。

海自は11月には南シナ海で米海軍と初の対潜戦訓練を実施した。南シナ海は中国が「核心的利益」と位置づけて重視し、米軍に対抗する戦力として潜水艦を配備する。
米空母「カール・ビンソン」の甲板(30日、関東南方の太平洋上)

航空自衛隊は11月、沖縄県尖閣諸島に近い宮古島と石垣島北方の海空域で捜索救難訓練を開いた。陸上自衛隊は25日、海自と共同で鹿児島県種子島で離島奪還訓練を実施した。尖閣諸島周辺での訓練や離島奪還という内容は中国へのメッセージとなる。

一方で中国軍は10月にロシア軍と艦隊を組み、日本列島の周囲を一周した。11月には中ロの爆撃機が東シナ海や日本海上空を共同飛行した。

抑止力を強化すれば相手の対抗策はエスカレートしやすい。安全保障上、逃れられないジレンマとされる。』