メキシコ経済、先行き不透明 自動車不振が影響

メキシコ経済、先行き不透明 自動車不振が影響
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN260BQ0W1A121C2000000/

『【メキシコシティ=清水孝輔】メキシコ経済の先行きが不透明になった。7~9月期の実質国内総生産(GDP)の確定値は前年同期比4.7%増で、前四半期(19.6%増)に比べ回復ペースが鈍化した。自動車産業の落ち込みが響いた。バイデン米政権による国産の電気自動車(EV)優遇策が実現すれば、さらに大きな打撃を受けそうだ。

7~9月期のGDPは国立統計地理情報院(INEGI)が25日発表した。前の四半期比では0.4%減で、5四半期ぶりのマイナス成長に落ち込んだ。最大の要因はGDPの2割を占める自動車産業の落ち込みだ。INEGIによると、7~9月の自動車生産台数は66万6975台で、前年同期比で27%減った。半導体不足やサプライチェーン(供給網)の混乱などが影響した。

メキシコの自動車産業は今後も多難だ。バイデン政権は従業員が米国の労働組合に加盟する工場で生産したEVを購入するユーザーの税額控除を大幅に引き上げる法案の成立をめざす。実現すればメキシコから米国に輸出するEVが不利な扱いを受ける。

メキシコ経済のもう一つのエンジンはエネルギー産業だったが、産油量の減少傾向が続いており、2020年時点で石油・ガスがGDPに占める割合は2%程度だ。

中央銀行総裁の交代を巡る混乱もマイナス材料になり、通貨ペソが大幅に売られていることも不安材料だ。ペソ安は輸出拡大には有利だが、輸入価格を引き上げてインフレを促し、個人消費を抑える要因になる。

メキシコ自動車工業会(AMIA)の推定によると、21年の自動車の生産台数は280万台と生産能力全体の56%にとどまる見通しだ。メキシコ銀行(中央銀行)の8月時点の推計によると、供給網の混乱は21年のGDPを約1%下げる効果がある。

メキシコ銀が11月上旬に民間銀行など39機関の予測をまとめた調査は、21年通年の実質成長率を6.0%と予想した。10月公表(6.2%)から下方修正した。米ゴールドマン・サックスの専門家アルベルト・ラモス氏は「高いインフレや政策金利の引き上げ、政策・規制の不透明さによる下振れリスクがある」と指摘する。

経済協力開発機構(OECD)は、メキシコの22年の実質成長率を3.2%と予測する。自動車生産の回復が遅れれば回復ペースはさらに鈍る可能性がある。世界的な半導体不足は自動車に依存するメキシコ経済の危うさを浮き彫りにしている。』