[FT]北京五輪スポンサー企業を突き上げる人権団体

[FT]北京五輪スポンサー企業を突き上げる人権団体
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『クレジットカードのビザや米飲料大手のコカ・コーラ、米民泊仲介のエアビーアンドビー、スイスの時計大手のオメガなど、北京冬季五輪の有力スポンサー企業が自らの影響力を行使して中国の人権抑圧状況を非難するよう人権団体から突き上げられている。

9月には200を数える人権団体の活動家が連名で北京五輪の放送権契約を破棄するよう求める書簡を国際的なTV放送局に送った=ロイター

米国に本部を置く国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)によると、5月に主要スポンサー企業に対して北京五輪への対応を問う書簡を送付したものの、どこからも回答を得られなかった。

HRWの中国部長ソフィー・リチャードソン氏は「北京五輪まで3カ月しかないのに、スポンサー各社は中国のぞっとするような人権侵害に対してどう影響力を行使するのかについて口をつぐんでいる」と懸念を表明。「このままでは人権基準への強い支持を示す好機を逸するのと引き換えに、検閲や抑圧に毒された五輪に関与してしまう恐れがある」とスポンサー各社を非難した。

HRWが世界で最も有名な消費者ブランドをキャンペーンの標的にする背景には、北京五輪を巡る国際的社会の激しい反発がある。

このキャンペーンは各国の政府や企業、アスリートに対して、中国とどうかかわるべきかについて、もやもやとした倫理上の問題を突きつけている。
広がるボイコットの呼びかけ

人権団体や欧米の政治家は中国が五輪のホスト国になったのを利用して、新疆や香港における住民弾圧など同国の人権侵害や抑圧の問題に光を当てようとしている。

北京五輪へのボイコットが広がれば、ウイグル族などの少数民族に対する中国の姿勢が変わるのかどうかについては様々な議論がある。

そうした中で、英国、米国、欧州連合(EU)などの議会議員はここ数カ月間、各国の政治家や高官などにボイコットを呼びかけてきた。

対中強硬派の国際ネットワーク「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」は開催地の変更を提案した。アスリート全員にボイコットを呼びかけた団体もある。

米国務省のネッド・プライス報道官は4月、ボイコットが1つの選択肢として「議題に上っている」と述べた。15日に予定される米中首脳のオンライン会談では、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がバイデン米大統領を北京五輪に招待する見込みだ。

HRWは12日、スポンサー企業に書簡を送り、新疆への国際調査団の受け入れと、拘束されている人権活動家の解放に向けて中国に圧力をかけるよう求めたことを明らかにした。

9月には、200を数える人権団体の活動家が連名で国際的なTV放送局に書簡を送り、北京五輪の放送権契約を破棄するよう求めた。書簡では、五輪を中継すれば「厳しさを増す人権侵害から目をそらすためにスポーツを利用しようとする中国の計画に加担する重大なリスク」に直面すると警鐘を鳴らした。

中国政府はすでに、五輪を観戦するための外国人の入国を認めない方針を決定している。新型コロナウイルスの感染ゼロを目指す厳格な水際対策や地方都市のロックダウンなどの対策の一環だ。

HRWはまた、五輪に参加するアスリートや観客が五輪開催中に中国政府や共産党を批判する活動をすれば「取り締まりや処罰」の対象になりうると注意喚起した。
広がる新世代アスリートのメッセージ

国際的な北京五輪ボイコット運動と軌を一にするように、新世代を代表する著名アスリートが積極的にメッセージを発信している。

米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)でクオーターバックとして活躍したコリン・キャパニックが黒人に対する警察の暴力に抗議して、試合前の国歌斉唱中に片膝をついて起立を拒否してから4年間を経て、このトレンドはさらに勢いを増し国際的に広がっている。

最近では人気テニスプレーヤーの大坂なおみが、人種的な不公平やアスリートの心の健康についてのメッセージを発信し、国際的な称賛を受けた。

By Edward White

(2021年11月12日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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